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2013年1月10日木曜日

51回麻酔科専門医試験 症例6−2【肝部分切除(危機的出血)】

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【症例6−2】

73歳の男性、身長168cm、体重56kg、肝細胞癌に対して肝部分切除術を予定した。PT-INR1.55、ICGR:42%、血小板6.4万、血液型はO型Rh(+)である。

1)術前評価
①麻酔管理上の要点を述べてください。
②具体的な麻酔計画を述べてください。

2)危機管理
肝切除開始から約1時間で4000gに達する出血を認めました。
①危機的出血発生時に麻酔科医が行わなければならないことを述べてください。

患者と同型の十分な血液製剤がないことが判明しました。
②本患者の緊急時の赤血球濃厚液の適合血選択(不適合輸血の可否)について、血液型別に述べてください。
③本患者の緊急時の新鮮凍結血漿の適合血選択(不適合輸血の可否)について、血液型別に述べてください。
④本患者の緊急時のの血小板濃厚液の適合血選択(不適合輸血の可否)について、血液型別に述べてください。

輸血開始30分後、赤色尿が観察されました。
⑤何が最も疑われますか。

O型の患者にA型の濃厚赤血球液が輸血されていることが判明しました。
⑥本症例での対応を4つ述べてください。






73歳の男性、身長168cm、体重56kg、肝細胞癌に対して肝部分切除術を予定した。PT-INR1.55、ICGR:42%、血小板6.4万、血液型はO型Rh(+)である。

1)術前評価
①麻酔管理上の要点を述べてください。

  • 肝障害があり、凝固系延長傾向、血小板減少、ICGの延長がみられる。輸血の準備をしっかりと行なっておく。
  • 腹水が中等量異常あるようであればフルストマックとして対応する。
  • 肝硬変が進行しているようであれば、hyperdynamicな血行動態を呈していることが多く、心拍数・心拍出量は増加、末梢血管抵抗は低下している。またシャントの存在と血管拡張により有効循環血液量は減少している事が多い。適宜FFPなどの投与が必要。脱水も輸液過剰のどちらも避けなければならない。
  • 筋弛緩薬の効果は延長する可能性がある。
  • 肝静脈からの空気の流入には要注意

②具体的な麻酔計画を述べてください。

  • 腹水があるようなら迅速導入。
  • 筋弛緩薬はモニタリングを行いながら使用。
  • 動脈ライン、中心静脈ライン(フロートラックやプリセップ)を留置。CVPは低めで維持の依頼があることが多いが、下げすぎると肝静脈からの空気塞栓のリスクがあり。
  • 太い静脈ラインも最低一本留置。適宜FFPを投与。貧血を避け、早めに輸血を。


2)危機管理
肝切除開始から約1時間で4000gに達する出血を認めました。
①危機的出血発生時に麻酔科医が行わなければならないことを述べてください。

  • 基本的には【危機的出血のガイドライン】に則る。
  • 応援麻酔科医を呼び、チームとして対処する(基本的に主麻酔科医が司令塔に)
  • 輸血在庫確認、輸血部あるいは血液センターとの連絡を密にする。
  • 術者には可及的すみやかに止血を依頼する(やってるでしょうけど)。場合によってはガーゼパッキングを行い、二期的手術(戻ってこれれば)を勧めなければならない。

患者と同型の十分な血液製剤がないことが判明しました。
②本患者の緊急時の赤血球濃厚液の適合血選択(不適合輸血の可否)について、血液型別に述べてください。

  • O型のみ適合血

③本患者の緊急時の新鮮凍結血漿の適合血選択(不適合輸血の可否)について、血液型別に述べてください。

  • 全型適合

④本患者の緊急時のの血小板濃厚液の適合血選択(不適合輸血の可否)について、血液型別に述べてください。

  • 全型適合


輸血開始30分後、赤色尿が観察されました。
⑤何が最も疑われますか。

  • 急性溶血性輸血副作用

O型の患者にA型の濃厚赤血球液が輸血されていることが判明しました。
⑥本症例での対応を4つ述べてください。

  • 即座に輸血中止。
  • 輸血ラインを交換し、乳酸リンゲルなどを急速投与。輸血が必要であればO(-)のRCC、あるいはAB型のFFPを使用。
  • 適宜フロセミド、マンニトールなどの利尿薬を使用し尿量を保ち、できるかぎり腎不全を予防。
  • DICについての観察、検査を行う。
  • 溶血にはハプトグロビンを使用。
  • ほとんどが手続き上のミスで起こるのでその確認と、準備されていた血液製剤と患者血液を輸血部に送り再検査(クロスマッチ)を行う。






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