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【症例6−1】
80歳の男性。身長168cm、体重70kg。下咽頭癌にて全身麻酔下に下咽頭癌粘膜切除術を施行し、抜管後に回復室で誤嚥をきたした。呼吸状態が悪化したため再挿管し、FiO21.0で volume control ventilationを開始した。動脈血液ガスpH:7.46、PaO2:88mmHg、PaCO2:38mmHg、HCO3:24mmol/L、BE;0.8mmol/l。心機能の異常は指摘されていない。
質問
1)評価
①一般的に、抜管後に誤嚥に注意すべき病態あるいは状態を3つ述べてください。
②1994年に定義されたAECC(米国ヨーロッパコンセンサス会議)のARDS診断基準を述べてください。
2)術中管理
①換気モードをvolume control ventilationとした場合、ARDS netoworkでは1回換気量をいくらに設定することが推奨されていますか。
②酸素化に著しい障害があり(FiO2>0.6)、かつ心疾患や腎不全、頭蓋内病変の合併がないとして、酸素化の目標はどれくらいにしますか。PaO2またはSpO2のどちらかで答えてください。
③ARDSの急性期にしばしば適用される自発呼吸を残した換気モードを3つ述べてください。略語でも正式名称でも可。
3)合併症と問題点
①低1回換気量ではどのようなことに注意しますか。2点述べてください。その解決法についても述べてください。
②人工呼吸による肺障害のメカニズムを2つ述べてください。
80歳の男性。身長168cm、体重70kg。下咽頭癌にて全身麻酔下に下咽頭癌粘膜切除術を施行し、抜管後に回復室で誤嚥をきたした。呼吸状態が悪化したため再挿管し、FiO21.0で volume control ventilationを開始した。動脈血液ガスpH:7.46、PaO2:88mmHg、PaCO2:38mmHg、HCO3:24mmol/L、BE:0.8mmol/l。心機能の異常は指摘されていない。
質問
1)評価
①一般的に、抜管後に誤嚥に注意すべき病態あるいは状態を3つ述べてください。
- 意識障害のある患者
- 老人
- 肥満、食道裂孔ヘルニア
- 糖尿病・透析患者など
②1994年に定義されたAECC(米国ヨーロッパコンセンサス会議)のARDS診断基準を述べてください。
- 急性発症
- 画像所見で両側肺浸潤影
- PaO2/FiO2:≦200mmHg
- 心機能:左房圧上昇なし(PAWP≦18mmHg)
2)術中管理
①換気モードをvolume control ventilationとした場合、ARDS netoworkでは1回換気量をいくらに設定することが推奨されていますか。
- 6〜7ml/kg程度(予測体重)
②酸素化に著しい障害があり(FiO2>0.6)、かつ心疾患や腎不全、頭蓋内病変の合併がないとして、酸素化の目標はどれくらいにしますか。PaO2またはSpO2のどちらかで答えてください。
- SpO2:90%(PaO2:60mmHg程度)
③ARDSの急性期にしばしば適用される自発呼吸を残した換気モードを3つ述べてください。略語でも正式名称でも可。
- BILEVEL
- APRV
- A/C
3)合併症と問題点
①低1回換気量ではどのようなことに注意しますか。2点述べてください。その解決法についても述べてください。
- 換気不十分による呼吸性アシドーシス。特に敗血症などで二酸化炭素産生が増加していたり、腎不全や乳酸アシドーシスなどの代謝性アシドーシスをきたしている場合に問題になる。換気回数を増加させることで対応する。
- 末梢気道の虚脱による無気肺など?十分なPEEPを使用する。
②人工呼吸による肺障害のメカニズムを2つ述べてください。
- 局所的な肺胞の過伸展(overdistension)
- 呼気終末に肺胞が周期的に虚脱し、強制換気により肺胞が再開通するときの剪断力による傷害(shearing injury)
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