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2013年1月7日月曜日

51回麻酔科専門医試験 症例5−1【小児の縦隔腫瘍】

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【症例5−1】

7歳の男児。身長123cm、体重25kg。呼吸困難の症状が最近、出現してきた。診察所見で、頸部リンパ節腫脹、顔面と上肢のむくみあり。胸部CTで縦隔に腫瘍が認められている。診断のための生検および中心静脈カテーテル挿入の麻酔管理の依頼があった。

質問
1)術前評価
①所見を述べて下さい。

②前縦隔腫瘍の麻酔管理上のリスクを判断するための診察および検査所見で重要な項目を4つ述べてください。

③術前に外科医とカンファレンスを行うことになりました。麻酔方法や治療に関してどのような検討が考えられますか。

④麻酔計画をたてる上での注意点を2つ述べてください。


2)術中管理
①全身麻酔導入後、気管挿管したが、全く換気ができず、血圧が低下しました。何を疑いますか。

②この事象が縦隔腫瘍による影響で生じている場合には、どのように対処しますか。


3)術後管理
①この患者の術後管理の要点を述べてください。







7歳の男児。身長123cm、体重25kg。呼吸困難の症状が最近、出現してきた。診察所見で、頸部リンパ節腫脹、顔面と上肢のむくみあり。胸部CTで縦隔に腫瘍が認められている。診断のための生検および中心静脈カテーテル挿入の麻酔管理の依頼があった。

質問
1)術前評価
①所見を述べて下さい。

  • 前縦隔に巨大な協会不明瞭なmassあり(胸腺?リンパ節?)
  • 気管は開通しているが、右側への偏移が見られる。食道は判別できない。
  • 左肺も若干圧迫されている。

②前縦隔腫瘍の麻酔管理上のリスクを判断するための診察および検査所見で重要な項目を4つ述べてください。

  • 上大静脈症候群の有無:上半身の静脈の拡張や怒張、頸部〜上肢の浮腫、チアノーゼなど。進行すると怒張した静脈や粘膜の浮腫による気道閉塞症状(呼吸困難、咳、起座呼吸)も見られる。
  • 気管・気管支系の圧迫の有無:聴診やCTや(可能なら)気管支ファイバー。圧迫が高度になると、自発呼吸下でかろうじて保たれていた気道の開通が、全身麻酔後に完全に閉塞してしまう可能性もある。
  • 肺動脈および心臓の圧迫の有無(非常にまれ)

③術前に外科医とカンファレンスを行うことになりました。麻酔方法や治療に関してどのような検討が考えられますか。

  • 術式・生検の方法の確認、CVカテの挿入経路
  • 今後の化学療法や放射線療法の有無⇒効果的であれば切除はそれから行うのか。

④麻酔計画をたてる上での注意点を2つ述べてください。

  • 気道確保困難の可能性。
  • 出血のリスクがあるため、輸液ルートの確保。

2)術中管理
①全身麻酔導入後、気管挿管したが、全く換気ができず、血圧が低下しました。何を疑いますか。

  • 食道挿管(爆)
  • (挿管がきちんとされていれば)気管支痙攣や腫瘍による閉塞がよほど強力か、挿管チューブ先端が圧迫された気管に接触している(特にスパイラルチューブの場合)など?

②この事象が縦隔腫瘍による影響で生じている場合には、どのように対処しますか。

  • 聴診。100%酸素。気管支けいれんであれば吸入麻酔濃度を深くする(血圧が下がっているなら昇圧も?)
  • 気管チューブの深さ調整。チューブより遠位側で気道が閉塞しているようであればより細いチューブをその先に思い切ってすすめる?浮腫状の気道であれば出血するかも・・。
  • 上部からの圧迫により気道が閉塞してしまっているのであれば、側臥位〜腹臥位へと体位変換を試みる。

3)術後管理
①この患者の術後管理の要点を述べてください。

  • 抜管後・術後の気管支けいれんや喉頭痙攣のリスクあり。鎮痛は確実に。
  • 挿入した中心静脈カテーテルの管理(引き抜き対策なども)





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