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【症例2−2】
25歳の男性。身長160cm、体重約60kg。生来健康であった。友人と食事をした後、運転中、対向車と正面衝突し救急車で来院した。意識清明、ハンドルおよびシートベルト外傷で胸部・腹部の激痛があり、来院時、呼吸数25回/分、脈拍数120回/分、血圧80/50mmHg、超音波画像で腹腔内出血が疑われた。
1)術前管理
①来院時のX-P、X-CT写真の所見を3つとその対処を述べてください。
②外傷患者の評価と処置について優先順位、いわゆる外傷のABCDEを述べて下さい。
大量出血が予想されます。
③患者のSI(ショックインデックス)はいくつですか。
活動性出血があると予測されます。一次、大量輸液で血圧が160/80mmHgまで上昇しました。
④その後の輸液・輸血に関して、どのような転に注意しますか。3つ述べてください。
2)術中管理
胸腔ドーレン等の処置をし、手術室に入室となりました。麻酔導入薬としてケタミンを選びました。
①ケタミンの投与量はいくらですか。
②本症例でのケタミンの長所と副作用について述べて下さい。
フルストマックのため迅速導入をすることにしました。
③十分な酸素投与(10L/分)により、SpO2は98%を保っている。挿管操作で無呼吸にさらされSpO2が90%未満となるのは何分以内と予測されますか。
気管挿管の際、喉頭鏡を喉頭蓋上部まで進めると、透明な液体と食物残渣が食道入口部まで込み上げてきました。急いで気管挿管しましたが、挿管困難で失敗しました。
④どのように対処しますか。
3)術後管理
術後、誤嚥性肺炎が予測されます。また、肺挫傷、肋骨骨折を認めています。
①一般に、誤嚥性肺炎の病態を2つ述べて下さい。
②肺挫傷と肋骨骨折に対する術後の呼吸管理について要点を述べて下さい。
25歳の男性。身長160cm、体重約60kg。生来健康であった。友人と食事をした後、運転中、対向車と正面衝突し救急車で来院した。意識清明、ハンドルおよびシートベルト外傷で胸部・腹部の激痛があり、来院時、呼吸数25回/分、脈拍数120回/分、血圧80/50mmHg、超音波画像で腹腔内出血が疑われた。
1)術前管理
- Xpで左肺透過性の亢進、CTで血腫を思わせる像あり
- Xpでは判別しがたいが、CTで両側に気胸あり
- 肺挫傷
- 心陰影の縮小(元々?)⇒循環血液量の減少?
②外傷患者の評価と処置について優先順位、いわゆる外傷のABCDEを述べて下さい。
- Airway:気道の評価。頚椎、顔面、咽頭〜頸部の外傷など
- Breathing:呼吸の評価。状態、気胸、血胸、肋骨骨折など
- Circulation:循環の評価。循環虚脱の有無など。循環虚脱の原因としては、緊張性気胸や心タンポナーデ、心外傷、高度の低酸素血症など
- Disability/neurological Disfunction:神経機能評価。意識レベル評価(JCS、GCS、AVPU法)
- Exposure&Environmental control:脱衣と低体温防止。脱衣による開放創や出血の有無の確認、その後の低体温の予防。
大量出血が予想されます。
③患者のSI(ショックインデックス)はいくつですか。
- 1.5(1500ml程度の出血が予想される)
活動性出血があると予測されます。一次、大量輸液で血圧が160/80mmHgまで上昇しました。
④その後の輸液・輸血に関して、どのような点に注意しますか。3つ述べてください。
- 希釈性の凝固障害、血小板減少(出血継続でさらに増悪)
- 肺水腫
- 大量輸血するならば高K血症など?
- 輸血準備の確認と取り寄せ
2)術中管理
胸腔ドーレン等の処置をし、手術室に入室となりました。麻酔導入薬としてケタミンを選びました。
①ケタミンの投与量はいくらですか。
- 1mg/kg〜2mg/kg程度
②本症例でのケタミンの長所と副作用について述べて下さい。
- 血圧上昇、心拍数増加作用があるので、循環動態が不安定であれば利点となる。
- 頭蓋内圧上昇、眼圧上昇作用があるため、頭部外傷や眼外傷があれば禁忌。
- 喉頭痙攣のリスク有。
- 術中の悪夢や唾液、気道内分泌が多くなる。
フルストマックのため迅速導入をすることにしました。
③十分な酸素投与(10L/分)により、SpO2は98%を保っている。挿管操作で無呼吸にさらされSpO2が90%未満となるのは何分以内と予測されますか。
- 仰臥位全身麻酔下でのFRCを1.2L程度(これは純酸素)
- Hb6〜7程度、循環血液量を5L程度と過程すると450mlの溶存酸素。
- SpO2が90%時の動脈血酸素含量は5Lの循環血液量では700ml程度。
- 酸素消費量を250ml/分とするとおよそ4分・・。そんなにもたない気がする。
気管挿管の際、喉頭鏡を喉頭蓋上部まで進めると、透明な液体と食物残渣が食道入口部まで込み上げてきました。急いで気管挿管しましたが、挿管困難で失敗しました。
④どのように対処しますか。
- 食道挿管をしてしまっていれば、カフを限界まで入れそれ以上の逆流を防ぐ。ある意味太い胃管として留置して吸引。
- 別の挿管デバイス(気管支ファイバーやAWSなど)が用意されていればすぐにそれらを使用して挿管し直す。
- 酸素化が保たれていれば別のデバイスで挿管。とても、間に合いそうになければ輪状間膜穿刺キットなど使用。
3)術後管理
術後、誤嚥性肺炎が予測されます。また、肺挫傷、肋骨骨折を認めています。
①一般に、誤嚥性肺炎の病態を2つ述べて下さい。
- 胃液吸引による化学性肺臓炎と、口腔内常在菌による細菌性肺炎またはその両方。
- 化学性肺臓炎は2相性。誤嚥後1〜2時間で生じる胃酸による肺胞と毛細血管の直接障害と4〜6時間後に生じる好中球郵送による炎症反応。
②肺挫傷と肋骨骨折に対する術後の呼吸管理について要点を述べて下さい。
- frail chestである(数本折れているように見える)ため、落ち着くまでは人工呼吸管理(2〜3週間)。肋骨骨折部を内側から固定し、胸郭の整復と骨癒合を促進する。偏移がひどい場合には外固定を行うこともある。
- 十分な鎮痛が必要(フェンタニルなど)
- ARDSに準じた管理を。抹消気道を開通させ、過度の気道内圧を避ける。
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