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【症例2−1】
78歳の男性。身長165cm、体重75kg。前立腺肥大のため経尿道的前立腺摘出術を予定した。既往歴と術前検査所見に突起すべきことはなかった。灌流液にソルビトール製剤を使用する。
質問
1)麻酔法の選択
①脊髄くも膜下麻酔を麻酔法として選択した場合の利点を3つ述べて下さい。
2)術中管理
①脊髄くも膜下麻酔で麻酔を施行しました。麻酔(感覚)レベルは最低どこまで必要ですか。
②灌流液として用いるソルビトール製剤の生食との違いについて2つ述べてください。
③本手術の術中合併症を4つ述べてください。
④本手術では灌流液が吸収されますが、その機序と吸収量の決定因子について述べてください。
3)危機管理
術中に患者が不穏状態になりました。血圧は150/50mmHg、心拍数は52/分でした。そのことを術者に告げると膀胱穿孔を起こした可能性が高いとの返事でした。
①どのような対処をしますか。
②低ナトリウム血症の治療では高張生理食塩水を使用することがありますが、使用時の中枢神経合併症を2つ述べて下さい。
78歳の男性。身長165cm、体重75kg。前立腺肥大のため経尿道的前立腺摘出術を予定した。既往歴と術前検査所見に突起すべきことはなかった。灌流液にソルビトール製剤を使用する。
1)麻酔法の選択
①脊髄くも膜下麻酔を麻酔法として選択した場合の利点を3つ述べて下さい。
- 局所麻酔薬中毒になりにくい
- 意識が保てるため、TUR症候群や膀胱穿孔による兆候がわかりやすい
- 高比重液を使用することで循環動態の変動を最小限にできる
- DVT発生率が低下する など
2)術中管理
①脊髄くも膜下麻酔で麻酔を施行しました。麻酔(感覚)レベルは最低どこまで必要ですか。
- Th10(膀胱頂部の支配)
②灌流液として用いるソルビトール製剤の生食との違いについて2つ述べてください。
- 生理食塩水に対して低張(165mOsml/kg)
- 大量に吸収されることで希釈性の低Na血症を起こす(TUR症候群)
③本手術の術中合併症を4つ述べてください。
- 希釈性低Na血症(TUR症候群)
- 膀胱穿孔、前立腺被膜穿孔
- ソルビトールによる高血糖
- 低体温(灌流液の温度が低いと)
- 菌血症
- 凝固障害
- 出血(灌流液のため出血量がなかなかわかりにくい)。特に前立腺が大きくなると。
④本手術では灌流液が吸収されますが、その機序と吸収量の決定因子について述べてください。
- 前立腺切除時に、開口した静脈洞から灌流液が吸収される。
- 決定因子は、灌流液の高さ(60〜70cm未満に抑える)
- 手術時間
- 前立腺の大きさ
- 膀胱の緊満
3)危機管理
術中に患者が不穏になり興奮状態になりました。血圧は150/50mmHg、心拍数は52/分でした。そのことを術者に告げると膀胱穿孔を起こした可能性が高いとの返事でした。
①どのような対処をしますか。
- 一旦手術は中止し、灌流も止めてもらう。
- 鎮静、気道確保。
- 動脈ライン留置と採血(電解質、血液ガス、血算、浸透圧など)
- CT撮影など?小さな穿孔であれば経過観察。大きければ開腹手術になる場合も。
②低ナトリウム血症の治療では高張生理食塩水を使用することがありますが、使用時の中枢神経合併症を2つ述べて下さい。
- 急速補正による合併症のことでしょうか。
- 浸透圧性脱髄症候群(以前は橋中心髄鞘崩壊症と呼ばれていた)
- ⇒弛緩性麻痺、構音障害、嚥下障害、閉じ込め症候群
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