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2012年4月30日月曜日

まとめ:脊髄保護について


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現在のところ様々な脊髄保護の方法が提案、使用されているが、未だ確実な方法はない

基礎知識
・胸腹部大動脈置換術、下行大動脈置換術では、大動脈遮断により脊髄への血流が低下し、対麻痺などの神経学的合併症が発生する可能性が高い(発生率は報告により1%程度から数十%程度まで様々)
・脊髄循環は脳循環と同程度の自動調節能があり平均血圧50〜120mmHgではほぼ一定に保たれる
脊髄灌流圧=末梢側平均血圧−脳脊髄液圧(CVPとどちらか高い方)である。末梢側の平均血圧が低下すると脊髄灌流圧が低下するため、末梢側灌流圧は90mmHgを維持する。脊髄灌流圧は術中60〜70mmHg程度は必要とされる。
・脊髄の主要な栄養血管であるAdamkiewicz動脈は90%がTh8-L1のレベルで起始する。



現在行われている一般的な脊髄保護法
MEPモニター
脊髄虚血を察知するために、MEPがモニターされる。MEPは脊髄前角(運動)の機能を正確に反映するために使用される。吸入麻酔薬はMEPモニターに影響を与えるため、麻酔はTIVAで行う。筋弛緩モニターも使用する。振幅の低下が見られる場合には血圧を上昇させる。
脳脊髄液ドレナージ
・脊髄灌流圧を保つために、脳脊髄圧を下げる目的で脳脊髄液ドレナージを行う(穿刺留置は前日に行う)。脳脊髄液圧10mmHgを目標に行うが、過度の低下は脳ヘルニアを起こす可能性があるため、1時間あたり10~15ml以上のドレナージは避ける
低体温
低体温に脊髄保護作用があると言われている。大動脈遮断が不可能な症例では循環停止と超低体温法が行われるが、時間的制約と出血傾向の問題がある。
・軽度低体温法(冷たい輸血や冷たい生食の胃内注入など)も行われているようではあるが、コントロールが難しく一般的ではない。
脊髄の局所冷却(硬膜外腔からの冷却なども)を遮断前から開始し、再灌流まで継続する方法もある。
高血糖を避ける
遮断遠位側大動脈灌流(人工心肺F-F送脱血による)
・通常行われる。下肢、腹部臓器の灌流を行うことができるが、必ずしも脊髄虚血を防ぐことができるわけではない。
左心バイパス下の末梢灌流
肋間動脈再建と再建後の選択的灌流
・できるだけ多くの肋間動脈を再建するため、大動脈を順番に分節遮断する方法もある。
薬物
・ステロイド(脳脊髄液ドレナージと併用)
・バルビツレート
・塩酸パパベリン(くも膜下腔に投与)
・フリーラジカルスカベンジャー
・バルビツレート
・マグネシウム
・ナロキソン
・NMDA受容体拮抗薬
など様々使用されているが、確実な効果があるというエビデンスはまだない・・・。

ちなみに当院で行なっているのは、
①脳脊髄液ドレナージ
②MEPモニター
③CPBによるF-F送脱血による遠位側灌流
④肋間動脈再建+選択的灌流
⑤ステロイド投与
です。。
年間症例数が少ないですが、今のところほとんど対麻痺は見られていません。



□参考文献・書籍・Web
1)麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集各年度
2)MGH麻酔の手引き p426
3)心臓血管麻酔マニュアル p302
4)心臓手術の麻酔 p715-716
5)心臓麻酔ポケットマニュアル p281-282


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