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2012年3月28日水曜日

43回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例5


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15歳の男児。身長150cm、体重40kg。2ヶ月前、脊椎側湾症手術のための全身麻酔導入後、高熱と筋強直を来たし、悪性高熱症が疑われ手術が中止となった。今回、再度手術が予定された。
質問
1)術前評価と管理
①術前検査には何を行いますか
②術前処置・術前準備で重要なことについて述べてください。
2)麻酔法および術中管理
①使用できる麻酔薬、使用を控えるべき麻酔薬を列挙してください。
②悪性高熱症を早期に発見する上で有用なモニターについて述べてください。
3)術後管理
①術後注意を要する点について述べてください。
4)周術期危機管理
①発熱などの悪性高熱症の症状が発生した場合の対処について述べてください。
②注射用ダントロレンナトリウムの性状と使用法を述べてください。






1)術前評価と管理
術前検査には何を行いますか
・筋生検でカルシウム誘発性カルシウム放出(CICR)試験要請であれば、揮発性吸入麻酔薬と脱分極性筋弛緩薬は禁忌。
・筋生検で陰性であればMHは否定的ではあるが、25%はCICR検査陰性であるようなので注意が必要。
・筋生検は最近は術中に行われることが多い。
・家族歴の聴取
術前処置・術前準備で重要なことについて述べてください
・スタッフ間での情報の共有
・ダントロレンの確保(溶解用蒸留水を)
・冷却生理食塩水や輸液の準備
・高流量酸素で洗い流した新品ソーダライム
・高流量酸素で洗い流した麻酔器(気化器は取り外しておく)
・各種循環作動薬、メイロンの準備など
・太い静脈ライン、動脈ライン、中心静脈カテーテルの準備など
2)麻酔法および術中管理
使用できる麻酔薬、使用を控えるべき麻酔薬を列挙してください
※使用可能な麻酔薬
・笑気
・各種オピオイド
・局所麻酔薬
・各種静脈麻酔薬
・非脱分極性筋弛緩薬
※使用不可の麻酔薬
・揮発性麻酔薬
・脱分極性筋弛緩薬
悪性高熱症を早期に発見する上で有用なモニターについて述べてください
・カプノメータ:異常上昇する(体温上昇よりも早い)
・尿:赤色尿(ミオグロビン尿)
・頻脈、不整脈
・身体所見:発汗、筋硬直(特に咬筋など)
3)術後管理
術後注意を要する点について述べてください
・悪性高熱症の再発または術後発症
・体温モニター
・異常な発汗や頻脈、過呼吸などに注意する
・もちろんICU管理
4)周術期危機管理
発熱などの悪性高熱症の症状が発生した場合の対処について述べてください
・吸入麻酔薬を使用していれば即中止。高流量純酸素で換気
・術者に知らせ手術の中止または早めの終了を要請する。
・応援麻酔科医やスタッフを呼ぶ
・ダントロレンの投与:1バイアル20mgを60mlの蒸留水で溶く。初回量は1~2mg/kgを10~15分かけて静注。心拍数が低下、筋緊張が低下、体温低下まで5分ごとに1mg/kg/minで持続投与。日本での総投与量は7mg/kgだが、こだわる必要なし。
・強力な冷却を行う(中枢温が38℃以下まで)
・不整脈にはリドカイン。Ca拮抗薬はダントロレンとの併用で心停止の報告あり
・アシドーシスには重炭酸ナトリウム
・十分な輸液と利尿薬(フロセミド)を投与し2ml/kg/hr以上の尿量を得る。
・高カリウム血症にはGI療法を
・ショックに陥ればショックに対する処置を
注射用ダントロレンナトリウムの性状と使用法を述べてください
性状:粉末 
使用法は上記の通り

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