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82歳女性。身長145cm、体重42kg。転倒により右大腿骨転子部を骨折し観血的固定術が予定された。高血圧の既往があり、5年ほど前から労作時の前胸部違和感を訴えている。胸部X線写真上、軽度の心胸郭比較(53%)と心電図で左室肥大が認められた。末梢血検査ではヘモグロビン濃度9.1g/dl、血小板15万/mm3であった。
質問
1)術前評価と管理①この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください。
②術前の問題点をさらに評価するための病歴、検査について述べて下さい。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択し、具体的に手技、使用薬剤などについて説明して下さい。
②それぞれの麻酔法の利点と欠点を述べて下さい。
3)術後管理
①脊髄くも膜下麻酔を0.5%比重ブピバカイン10mgで行ったところ、手術は50分で終了したが、緩徐な血圧低下が続いている。この場合の処置について述べてください。
4)周術期危機管理
①脊髄くも膜下麻酔を0.5%等比重ブピバカイン10mgで行ったところ、薬剤投与後20分で麻酔高がL3までしか得られなかった。
この場合の処置について述べてください。
②くも膜下穿刺で脊麻針を進めた所、患者は片側下肢に強い電撃的な放散痛を訴えた。
この場合の処置、術後の対処について述べてください。
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください。
・労作時の前胸部違和感:IHDの可能性高
・臥床中:DVTのリスク
・CTR拡大、ECG上LVH
・高血圧
・貧血
・高齢
②術前の問題点をさらに評価するための病歴、検査について述べて下さい。
・術前の活動状況(NYHA評価)
・心エコー
・CAGあるいは冠動脈CTをできれば
・Holter心電図
・下肢静脈エコー
・血液ガス
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択し、具体的に手技、使用薬剤などについて説明して下さい。
・脊髄くも膜下麻酔orCSEA
・等比重ブピバカインあるいはテトラカイン(蒸留水で低比重に)。量はブピバカインなら2cc前後、テトラカインであれば1.6~1.8cc程度。
※全身麻酔であれば、フェンタニル、ミダゾラムあるいは少量プロポフォールで導入し、LMA挿入。維持はセボフルラン、笑気(空気)、フェンタニルで維持。
②それぞれの麻酔法の利点と欠点を述べて下さい。
※脊髄くも膜下麻酔orCSEA
・CSEAなら術後も十分な鎮痛が可能
・呼吸器合併症の低下
・DVT発生率の低下
・局所麻酔の量が多いと術後も遷延する低血圧が生じる可能性がある(輸液、昇圧薬の頻回投与なども必要になる)
・術前術後抗凝固療法が予定されていると使用しにくい。
・あえて言うなら神経損傷や馬尾症候群などの神経系合併症リスク
※全身麻酔
・術前術後の抗凝固療法に気を遣う必要がない
・(麻酔薬、麻酔法によるが)循環動態の変化が上記に比べて少ない⇒調節性に優れる
・術後鎮痛が不十分になりやすい
・呼吸器合併症のリスクが上記より高い
3)術後管理
①脊髄くも膜下麻酔を0.5%比重ブピバカイン10mgで行ったところ、手術は50分で終了したが、緩徐な血圧低下が続いている。この場合の処置について述べてください。
・(心不全にならない程度に)輸液の負荷。尿量などチェック
・PACUあるいはICUで管理。
・低血圧が改善しないようであればカテコラミンなども考慮。
・深刻な低血圧が続くようであればPTEやAMIなど、麻酔以外の原因も検索。麻酔域の再チェックも。
・術後も骨の掘削部位からの出血は比較的多いので、循環血液量の不足には要注意
4)周術期危機管理
①脊髄くも膜下麻酔を0.5%等比重ブピバカイン10mgで行ったところ、薬剤投与後20分で麻酔高がL3までしか得られなかった。
この場合の処置について述べてください。
・再穿刺は避けて全身麻酔に切り替える
・硬膜外チューブを留置していれば局所麻酔薬を追加する。
②くも膜下穿刺で脊麻針を進めた所、患者は片側下肢に強い電撃的な放散痛を訴えた。
この場合の処置、術後の対処について述べてください。
・ 神経根あるいはそれに近い部分に針が進んだと思われる。すぐに針を抜去する。
・神経症状が持続しているか確認する。
・麻酔は全身麻酔に切り替える。
・術後も神経症状をチェック。しびれの持続や知覚、運動障害など出現がないか。
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