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2012年3月29日木曜日

43回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例8


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68歳男性。身長168cm、体重57kg。前立腺肥大症で経尿道的前立腺切除術が予定された。既往歴に肺気腫と高血圧があり、咳と痰が多く気管支拡張薬(β2刺激薬)の吸入と去痰薬、降圧薬(ATⅡ拮抗薬)の内服をしている。階段を登る時は途中で一度休むことが多い。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください。
②術前の問題点をさらに評価するための検査について述べてください。
③術前の投薬について述べて下さい。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択し、その理由について述べてください。
②区域麻酔で行う場合、目標とすべき麻酔レベルについて説明してください。
3)周術期危機管理
手術開始後、徐々に患者の血圧が上昇し心拍数が減少していたが、1時間後に頭痛と吐き気を訴え、徐々に意識状態が低下した。瞳孔不同はないが対光反射がゆっくりしている。
①鑑別診断と、対処法について述べてください。
②TUR症候群の予防法について説明してください。







1)術前評価と管理
この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください
・肺気腫
・階段で休む⇒Hugh-Jones2度。4METsない。
・高血圧

術前の問題点をさらに評価するための検査について述べてください
・血液ガス
・スパイロ
・心エコーなど

術前の投薬について述べて下さい
・ATⅡ受容体拮抗薬のみ当日中止。

2)麻酔法および術中管理
麻酔法を選択し、その理由について述べてください
・脊髄くも膜下麻酔(+硬膜外麻酔)。鎮静はしない。
・TUR症候群のリスクもあるので意識は残しておきたい。
・肺気腫、運動耐用能も低下しているため全身麻酔は避けたい。
・脊髄くも膜下麻酔はS領域までしっかりと効果が出る。

区域麻酔で行う場合、目標とすべき麻酔レベルについて説明してください
・Th10〜S領域

3)周術期危機管理
手術開始後、徐々に患者の血圧が上昇し心拍数が減少していたが、1時間後に頭痛と吐き気を訴え、徐々に意識状態が低下した。瞳孔不同はないが対光反射がゆっくりしている。

鑑別診断と、対処法について述べてください
※TUR症候群
□疑ったらまず採血をして血算、電解質のチェックを
□術者に異常を伝え、できるだけ早く手術を終了してもらい、灌流液を生理食塩水に交換する
□必要なら呼吸管理を行う。
□生理食塩水の投与と利尿薬(フロセミド)の投与。高張食塩水を投与するなら100ml/h以下の速度で。一日に10mEq/l以上の補正を行わない。
□必要なら動脈ラインや中心静脈ラインを留置し、集中治療室管理。
※中枢神経系疾患
・脳出血
・脳梗塞
・クモ膜下出血など
※低血糖
※電解質異常 など

TUR症候群の予防法について説明してください
・灌流液の高さを下げる(1m以上でリスクアップ)。灌流液の使用量が10㍑以上でリスクアップ(要は短時間で!)
・手術時間を短くする。
・鎮静せず意識は清明な状態に。何か症状がないかどうか頻回にチェック。








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