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2012年3月30日金曜日

43回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例10


72歳男性。身長160cm、体重72kg。胆石と診断され、腹腔鏡手術下胆嚢摘出術が予定された。洞不全症候群に対してDDDの永久ペースメーカーが埋め込まれている。血圧140/80mmHg、心拍数70回/分であった。
質問
1)術前評価と管理
①この患者における問題点を、重要と思われる順に列挙してください。
②この患者の麻酔上、ペースメーカーに関して注意すべき点について述べてください。
2)麻酔法および術中管理
ペースメーカーはDDDR60−120の設定であった。
①麻酔法について説明してください。
②術中のペースメーカーのモードは何にしますか。ペースメーカーに関する注意点について述べてください。
3)術後管理
①術後鎮痛について具体的に述べてください。
②術後鎮痛に持続硬膜外麻酔を使用したが、患者はまだ痛みを訴えている。次に行うべき鎮痛処置について述べてください。
4)周術期危機管理
術中に突然心拍数が40回/分の徐脈になった。
可能性のある鑑別疾患をあげてください。また、それぞれに対処する方法を述べてください。






1)術前評価と管理
この患者における問題点を、重要と思われる順に列挙してください
・ペースメーカー挿入患者(SSS)
・軽度肥満
・高齢
ペースメーカー患者については近日中にまとめます
この患者の麻酔上、ペースメーカーに関して注意すべき点について述べてください
・電気メス(モノポーラー)をできる限り使用しない。使用する場合はできるだけ短時間の使用に留める。
・ペースメーカー業者にプログラムを非同期の固定レートにしてもらう(AOO VOO DOOなど)。術中は普段の設定よりもやや増加させた状態にする。
・手術終了後は元に戻してもらう。
2)麻酔法および術中管理
ペースメーカーはDDDR60−120の設定であった。
麻酔法について説明してください
・特に禁忌となる麻酔方法はない。
・全身麻酔(+硬膜外麻酔)
術中のペースメーカーのモードは何にしますか。ペースメーカーに関する注意点について述べてください
・AOOもしくはDOO
3)術後管理
術後鎮痛について具体的に述べてください
・硬膜外チューブ留置していれば0.2%ロピバカイン+フェンタニルによるPCEA
・なければフェンタニルによるIV-PCA
・ポート挿入部に局所浸潤麻酔をしておけばさらに良い。
術後鎮痛に持続硬膜外麻酔を使用したが、患者はまだ痛みを訴えている。次に行うべき鎮痛処置について述べてください
・PCAキットであればそれを使用。
・効果があるが、それでも我慢出来ない場合はフェンタニルのIV-PCAを追加してもいいかもしれない・・。
・そもそも硬膜外麻酔自体が効いていない場合はIV-PCAに切替。硬膜外チューブは抜去する。
4)周術期危機管理
術中に突然心拍数が40回/分の徐脈になった。
可能性のある鑑別疾患をあげてください。また、それぞれに対処する方法を述べてください



・術者に知らせ手技を一旦中止(特に電気メスの使用を)。
・応援麻酔科医とペースメーカー業者を呼ぶ。
・ペースメーカー不全で、自己心拍のみであればアトロピンやカテコラミンを使用し、経皮ペーシングや経静脈ペーシングの準備。
・他には迷走神経反射
・肺塞栓
・心筋梗塞(特に右冠動脈)
・気腹圧が高すぎる(横隔膜による圧迫)  などでしょうか。


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