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2012年3月27日火曜日

43回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例3


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68歳女性。身長152cm、体重48kg。腹痛を主訴に来院した。腸閉塞の診断で入院から4時間後、緊急開腹術が予定された。既往歴に気管支喘息があるが、過去1年は発作が起こっていない。血圧90/50mmHg、心拍数128回/分。術前イレウス管、末梢静脈ライン、右鎖骨下静脈より中心静脈ラインが挿入されていた。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください。
②フルストマックに対する術前処置について述べてください。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択し、その理由について述べてください。
②この症例での硬膜外麻酔の使用について述べてください。
③麻酔導入法について述べてください。
3)術後管理
①術後抜管できずに人工呼吸器による呼吸管理となった場合の、呼吸管理について述べて下さい。
4)周術期危機管理
①術中、気道内圧が上昇し、SpO2が低下してきた場合に、鑑別すべき病態について述べてください。
②緊張性気胸の特徴的病態について述べてください。
③緊張性気胸の治療法について述べてください。






1)術前評価と管理
この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください
・フルストマック
・ショックに近いバイタル。脱水もしくは穿孔などしておりsepsisに近い状態
・気管支喘息の既往
フルストマックに対する術前処置について述べてください
・胃管(太め)を留置し、出来る限り胃内容物を吸引する。
・H2ブロッカー投与。メトクロプラミドは消化管運動を亢進させるため、絞扼していた場合、症状を悪化させる場合があるためこの場合は用いない(通常のフルストマックならOK)
2)麻酔法および術中管理
麻酔法を選択し、その理由について述べてください
・上記の処置を行った後に・・・
・意識下挿管あるいは迅速導入による全身麻酔。
・意識下の場合はフェンタニル少量とAWSで。迅速導入はプロポフォール、ロクロニウムで。
理由:フルストマックであるため。
この症例での硬膜外麻酔の使用について述べてください
・下部消化管穿孔併発などがあり、汎発性腹膜炎から敗血症、DICに進展する可能性もあるため留置しない方が無難であると思われる。
・留置した場合も、バイタルが保てなくなる可能性もあるため、特に閉塞起点が解除されるまでは用いないかもしくは術後鎮痛にのみ用いるほうが無難であると思われる。
麻酔導入法について述べてください
・上述。
3)術後管理
術後抜管できずに人工呼吸器による呼吸管理となった場合の、呼吸管理について述べて下さい
・SIMV+PSあるいはBILEVELで。
4)周術期危機管理
術中、気道内圧が上昇し、SpO2が低下してきた場合に、鑑別すべき病態について述べてください
・回路トラブル(チューブの屈曲、分泌物による閉塞)、麻酔器トラブル(一方弁異常)、気管支挿管、
・気管支痙攣、喘息発作、アナフィラキシーショックによる気道浮腫
・気胸、筋弛緩が切れた状態での麻薬大量投与(レミフェンタニルの濃度急上昇させるなど)

緊張性気胸の特徴的病態について述べてください
・リーク部がチェックバルブとなり、漏れでた空気が排出されず、胸腔内に継続的に貯留し、胸腔内圧が著明に上昇する。またそれにより縦隔が圧排され最終的には心停止に至る。
・症状としては低血圧、頻脈、脈圧の減少、頸静脈怒張、低酸素血症など。
緊張性気胸の治療法について述べてください
・トロッカーの準備ができるまで、16~18Gを鎖骨中線上第2、3肋間より穿刺し脱気。
・トロッカーの準備ができたら挿入(中腋窩線上第5,6肋間より)。
・もちろん手術は一旦中止ししてもらって、応援の麻酔科医を呼んでおく。

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