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2012年3月27日火曜日

43回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例2


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52歳女性。身長155cm、体重68kg。前頭蓋底嗅窩部に直径4cmの髄膜腫を認め、腫瘍全摘術が予定された。性格変化、行動異常、朝方の頭痛、両側視力低下、視野狭窄を認める。自己血800ml貯血後の血液ヘモグロビン値は11g/dlである。頭痛に対して10%グリセリン液(グリセオール200ml/日)が5日間点滴投与されている。血圧160/100mmHg、心拍数62回/分である。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を重要と思われる順に列挙してください。
②その問題点について術前にさらに評価するための病歴、身体所見、検査などで必要なものについて述べてください。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法について述べてください。選択した麻酔法がほかの麻酔法に比べこの患者で優れていると思われる点および欠点について述べてください。
②脳圧調節のためにどのような処置を行いますか。
3)術後管理
①この患者が術後に起こす可能性が高い合併症について述べてください。
②覚醒直後(抜管前)に痙攣を起こした場合の対処法について述べてください。
4)周術期危機管理
2000ml出血した時点で、執刀医から静脈性の出血を抑えるために頭側を挙上したいとの依頼がありました。
①どのような対応をとるかについて述べてください。

②空気塞栓の予防法を列挙して下さい。










1)術前評価と管理
この患者の術前状態における問題点を重要と思われる順に列挙してください
・頭蓋内圧亢進症状がある(グリセオール投与中)
・肥満
・高血圧
その問題点について術前にさらに評価するための病歴、身体所見、検査などで必要なものについて述べてください
・他の頭蓋内圧亢進症についての診察
  頭蓋内圧亢進症状
(自覚症状)頭痛 嘔吐 かすみ目 複視などの評価
(他覚症状)うっ血乳頭 眼球運動障害(一側の外転運動障害が多い)徐脈 血圧上昇
瞳孔不同 意識障害
(CT)正中偏位 脳室・脳溝の圧排 脳浮腫
・気道の評価
開口の度合いやMallmpati分類、頸部可動性など
・血圧のコントロール状況
・その他
心エコーなど
2)麻酔法および術中管理
麻酔法について述べてください。選択した麻酔法がほかの麻酔法に比べこの患者で優れていると思われる点および欠点について述べてください
・プロポフォールとレミフェンタニル(またはフェンタニル)によるTIVA。
(利点)
・静脈麻酔薬(ケタミン以外)は脳血流量(頭蓋内圧)、脳代謝率を低下させる。
・プロポフォールの制吐作用⇒PONVの発生率を下げる。
(欠点)
・術中覚醒のリスクあり。BISモニターも使用する。
・長時間高濃度であると覚醒遅延を起こす可能性あり。
・点滴もれがおこった場合、気がつくのに遅れると覚醒するおそれがある。
脳圧調節のためにどのような処置を行いますか
・軽度頭部挙上
・マンニトール投与
・軽度過換気
・脳脊髄液ドレナージ
3)術後管理
この患者が術後に起こす可能性が高い合併症について述べてください
※手術によるもの
・術後出血 痙攣 意識障害 覚醒遅延
※肥満に伴うもの
・無気肺(それにともなう低酸素血症) DVT(それにともなうPTE)、IHDの発症など
覚醒直後(抜管前)に痙攣を起こした場合の対処法について述べてください
・ジアゼパムあるいはミダゾラムを投与(止まるまで)。
・再発予防にはフェニトインを。
・抜管せずに頭部CT。
4)周術期危機管理
2000ml出血した時点で、執刀医から静脈性の出血を抑えるために頭側を挙上したいとの依頼がありました。
どのような対応をとるかについて述べてください
・バイタルが維持されていれば許可。軽度低血圧にする。
・術野には生食を満たしておいてもらう。
・下肢は挙上してもらう
空気塞栓の予防法を列挙して下さい
・術野に生食を満たしておいてもらう(特に頭高位の場合)。
・頭低位左側臥位(左に傾ける)。別名Durant体位
空気塞栓が起きたら
・経静脈の圧迫
・CVカテ留置していればできるだけ吸引

・100%酸素
・上記体位
・バイタルの維持

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