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2012年3月27日火曜日

43回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例1


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32歳女性。身長155cm、体重62kg。妊娠38週。前回帝王切開術の既往がある。前置胎盤の診断で3日前より入院し経過観察していた。本日昼食をとった後、15時頃腹痛を伴った約300gの性器出血と胎児徐脈を認めたため、緊急帝王切開術が予定された。術前血圧は150/100mmHgであり、尿蛋白は2+であった。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください。
②術前の問題点をさらに評価するための情報、身体所見について述べてください。
③その問題点解決のために、術前にすべきことを述べてください。
2)麻酔法および術中管理
①どのような麻酔法を行うかについて具体的に述べてください。
②その麻酔法が他の麻酔法に比べてこの患者で優れている点、および欠点について述べてください。
3)術後管理
①この患者が術後に起こす可能性のある合併症を列挙してください。
4)周術期危機管理
術中胎便による羊水混濁と臍帯巻絡を認め、かつ娩出された児は気道吸引、皮膚刺激などに対する反応が極めて乏しかった。
新生児の状態を定量的に評価する方法について述べよ。






1)術前評価と管理
この患者の術前状態における問題点を、重要と思われる順に列挙してください
・前置胎盤症例で出血、胎児仮死
・フルストマック
・妊娠高血圧症候群の疑い
術前の問題点をさらに評価するための情報、身体所見について述べてください
・血算、生化、凝固系採血。FDPも。DICの徴候がないか。
・胎児心拍モニタリング、胎児エコー。胎盤早期剥離になっていないか
・昼食の内容
・最近の血圧コントロール状態、妊娠糖尿病の有無やコントロールなど
その問題点解決のために、術前にすべきことを述べてください
・太い静脈路の確保(大出血のおそれあり)。輸血の準備や在庫の確認。
・時間に余裕があれば(ないと思うが)胃管を入れてできるだけ胃内容を吸引。
・H2ブロッカーやメトクロプラミドを投与。
2)麻酔法および術中管理
どのような麻酔法を行うかについて具体的に述べてください
・時間に余裕がない、また大出血の可能性もあるため全身麻酔。挿管は迅速導入で行う。
・導入薬はプロポフォール、ロクロニウム(0.9mg/kg以上)で行う。維持は児娩出までは少量セボフルランと笑気で行い、児娩出後からはレミフェンタニルおよびフェンタニルを使用する。
その麻酔法が他の麻酔法に比べてこの患者で優れている点、および欠点について述べてください
・手術開始までの時間が短い。
・大量出血やそれに伴う凝固障害、大量輸血・輸液にも対応しやすい。
・フルストマックであるため、誤嚥のリスクまた気道確保困難のリスクがある。
3)術後管理
この患者が術後に起こす可能性のある合併症を列挙してください
・術後出血(弛緩出血含む)、凝固障害
・大量輸血していればそれに伴う肺障害(TRALI)の可能性
・誤嚥を起こしていれば誤嚥性肺炎
・肺塞栓血栓症など?
4)周術期危機管理
術中胎便による羊水混濁と臍帯巻絡を認め、かつ娩出された児は気道吸引、皮膚刺激などに対する反応が極めて乏しかった。
新生児の状態を定量的に評価する方法について述べよ
・APGARスコア
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点数 0 1 2
心拍数 欠如 <100回/分 ≧100回/分
呼吸努力 欠如 緩慢、不整 良好、啼泣
色調 蒼白 躯幹はピンク、四肢蒼白 全身ピンク
反射興奮性 欠如 しかめ顔 咳嗽、くしゃみ
筋緊張 弛緩 四肢軽度屈曲 活発な動き
※Miller:pp2349より

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