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2012年2月17日金曜日

50回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例3−1


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75歳の女性。胸痛を主訴として緊急入院となり、急性心筋梗塞と診断された。
冠動脈造影で3枝病変かつ循環動態不安定であり、緊急CABGが予定され
た。既往に高血圧、10年前の心筋梗塞があり、15年前より慢性腎不全(無
尿)で週3回透析を行っている。
質問
1) 術前評価と管理
①一般的な血液検査や胸部エックス線写真以外で術前に評価すべきこ
とを述べて下さい。

2) 麻酔法および術中管理
①麻酔導入直前、血圧は80 / 50 mmHg で循環は不安定です。どのように対
応しながら導入しますか。
②この症例は、術中に容易に重篤な心不全への進行が懸念されます。術中
管理上の問題と対応を述べて下さい。

3) 周術期危機管理
①手術終了時の動脈血ガス分析はFIO2 1.0、pH 7.19、PaO2 98 Torr、
PaCO2 73 Torr でした。気管チューブから呼気時にピンク色泡沫状の気道分
泌物が吹き上がりました。診断は何ですか。
②この患者は心原性肺水腫でした。どのように対応しますか。


1)術前評価と管理
①術前評価
あまり時間的な余裕はないとは思いますが・・・
・AMPLE(アレルギー・内服薬・既往歴・最終飲食などの簡単な問診)は当然として
・NYHA評価、4METsあるか(2階まで普通に上がれてたか、自転車こげてたか)
・経胸壁心エコー
・透析中の心血管イベントの有無、血圧変動や失神などの有無、除水量、Kの変動
などでしょうか・・・

2)麻酔法および術中管理
①具体的な導入方法
・各種昇圧薬(カテコラミン含)の準備
・導入前に動脈ライン確保
・ミダゾラム、フェンタニルを分割投与し、バイタルを注視しながら導入。
・循環動態が大きく変化する他の静脈麻酔薬は使用しない。
・挿管は喉頭展開の刺激が少ないAWSを用いると若干やさしいかも?
・・・・などでしょうか?
②術中管理上の問題と対応
・心予備力は著しく低下しているために、不用意な輸液負荷で用意に心不全・肺水腫をおこしやすい。
・TEEで左室容量や壁運動を経時的に評価し、肺動脈カテーテルからの情報を参考にしながら、カテコラミンやPDEⅢ阻害薬を用いて心拍出量を確保する。
・・・・などでしょうか?

3)周術期危機管理
①診断
心原性肺水腫
②心原性肺水腫への対応
人工呼吸器:気道内圧(プラトー圧は30cmH2O以下で)に気をつける。PEEPを使用
薬物:尿量を看視しつつ利尿薬(フロセミドやカルペリチドなどの投与)、カテコラミンやPDEⅢ阻害薬投与による心拍出量確保。エラスポールなども用いたほうがよい?

などでしょうか・・・?

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