52回まとめファイルについての最新情報は こちら から
51回専門医試験の体験記については こちら から
51回まとめファイル購入者の方々の結果と寄せられた声は こちら から
お問い合せ、体験談、筆記試験採点結果は classicanesthesia2@gmail.com まで
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生後20 日の男児。第一子、満期産で出生した。生後2 週間頃より無胆汁性の噴水状嘔吐を頻回に認めている。現在の体重3.0 kg、血清電解質:K 2.2mEq/L、 Cl 86 mEq /L、動脈血ガス分析:pH 7.68。肥厚性幽門狭窄症と診断され、粘膜外幽門筋切開術が予定された。
質問
1) 周術期管理
①この患児に周術期管理を行う上でポイントは何ですか。
2) 術中管理
①新生児では術中低体温にならないように管理を行いますが、その理由は
何ですか。
②新生児症例に対する気管挿管に際して麻酔導入から挿管操作で成人と
異なるポイントを上げて下さい。
③麻酔管理に際して、今回はジャクソン・リース回路を使うことにしました。そ
の長所、短所を述べて下さい。
3) 術後管理
①無事に手術が終わりました。体動が見られ、開眼したため抜管しました。し
かし、その後SpO2 の低下が見られました。何を疑いますか。
②更に陥没呼吸、チアノーゼの出現が見られました。どのような処置を行い
ますか。
<解答例>
1)周術期管理
①この患児に周術期管理を行う上でポイントはな何ですか。
・脱水の評価と電解質を含めた補正
補正は生食や1/2生食で。血清Na130mEq/l以上、血清Cl85mEq/l以上、尿量1〜2ml/kg/h。体液補正ができ、尿量が十分になった時点でカリウムの補正を行う。目標は3mEq/l以上。
・導入前の胃管からの吸引
・導入は急速導入または意識下挿管
2)術中管理
①新生児では術中低体温にならないように管理を行いますが、その理由は何ですか。
・新生児は、体重あたりの体表面積が大きく熱を喪失しやすい、皮下脂肪が少ない、筋肉量も少なくシバリングによる体温保持能力が未熟、分時換気量が多い、などの理由から低体温をきたしやすい。
・シバリングによらない熱産生は褐色脂肪細胞で行われるが、効率は悪く、酸素消費量を大幅に増加させる。また、寒冷ストレスは心血管抑制や低灌流性アシドーシスを引き起こす。また、不整脈の出現や痙攣の原因にもなる。
②新生児症例に対する気管挿管に際して麻酔導入から挿管操作で成人と異なるポイントを上げて下さい。
道具:新生児では一般的に直の喉頭鏡でチューブもカフなしを用いる。複数本用意。
解剖:新生児では、舌が大きい、喉頭蓋が短く幅も狭い、喉頭がC3~4のレベルで成人のC4~C5よりも高いため、喉頭展開が難しい。片肺挿管にもなりやすい。最も細いのは輪状軟骨部。
その他:新生児は低酸素をきたしやすく、速やかな挿管が必要・・・など?
③麻酔管理に際して、今回はジャクソン・リース回路を使うことにしました。その長所、短所を述べて下さい。
長所:肺コンプライアンスの低下や気道抵抗の増大を感知しやすい。一方向弁を含まないために、弁作動不良などで気道内圧の異常上昇などの不具合も起こさない上に、換気回数を増やしたりPEEP負荷も可能であるために肺酸素化能が不良な患者にも適している。
短所:新鮮ガス流量が少ないと再呼吸が生じやすい。自発呼吸の場合は分時換気量の2.5〜3倍の新鮮ガス流量を用い、人工呼吸の場合はやや少ない流量でよい。
3)術後管理
①無事に手術が終わりました。体動が見られ、開眼したため抜管しました。しかし、その後SpO2 の低下が見られました。何を疑いますか。
・喉頭痙攣に伴う無呼吸
・分泌物による気道閉塞
・無気肺
・覚醒不十分 など?
②更に陥没呼吸、チアノーゼの出現が見られました。どのような処置を行いますか。
・喉頭痙攣や分泌物、喉頭浮腫などによる上気道閉塞が疑われる。
・喉頭痙攣であれば100%酸素で陽圧を維持し、解除を待つか、筋弛緩薬を用いる。場合によっては再挿管。
・分泌物であれば吸引。 など?
0 件のコメント:
コメントを投稿