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2018年11月1日木曜日

57回麻酔科専門医口頭・実技試験体験談㊼



<試問①>外傷による頚椎・頸髄損傷の麻酔管理
紙に書いてあったこと
75歳くらい?の男性 体格は普通
転落外傷で搬送。四肢麻痺。頸椎カラー巻いている。試験はじまる前の紙にはとくに既往歴などは書いていない。vital signsは書いてあり、収縮期血圧が170くらいと高いのと、呼吸回数が25回くらい?Satroomでとくに問題なし。その他の外傷部位については書いていない。
男性の試験官2人。どちらも時々笑顔みせてくれて自分としては比較的話しやすい雰囲気

①最初の紙の情報から、この患者について確認したいこと5つだか6つだか
 →一般的なSAMPLEや検査項目や他の外傷部位や最終飲食とか回答
②所見の羅列、予定術式などが書かれたスライドが画面に表示され、そこから挙げられる問題点を5つだか6つだか(画像などなし。文章で列記)
頸椎の所見(C1/2の亜脱臼)、四肢麻痺の所見など
既往歴:高血圧と糖尿病
常用薬:ARB(カンデサルタン?忘れました)、メトホルミン、あとDM1剤(忘れました)
一般採血(ちょっと貧血、HbA1c高い、などだった気がします)
後方固定を予定しているらしい
他に特記すべき外傷所見なし、胸部レントゲンも問題なし、FASTの結果とかもあったかもしれませんが忘れました。
 →上記のことなどを述べた
③この患者の後方固定術の麻酔を依頼され、意識下挿入をすることにしました。その手順を述べてください(特にやり方指定なし)
 →フェンタ呼吸と意識みながら少量ずつ追加しつつ、局麻しながらのファイバーを選択。舌のことを無意識にベロと言ってしまい、「舌ね、舌(笑)」と指摘されて訂正。ちょっと空気和む
④実際にはマックグラスを使って意識下挿管をしたらしいです。この患者の麻酔管理で注意することを5つだか6つだか
Spinal shockARBでの遷延性低血圧のリスクとかメトホルミンでの乳酸アシドーシスのリスクとか高血圧・糖尿病持ちで心血管リスク高い等を回答
⑤腹臥位になります。その上で注意点を5つだか6つだかと、その対策(変換するときの話なのか腹臥位になったあとの話なのか曖昧な質問だった印象。どちらの要素も答えたが特に突っ込まれたりせず。)
 →点滴や挿管チューブの事故抜去、腹部押されての呼吸循環への影響、圧迫部位の損傷(目とか胸とか陰部etc)。対策として減圧のことを述べるなどして終了
MEPします。どのようなことに気をつけますか?
 →筋弛緩はTOFもつけて導入時のみ、TIVAにする
MEPはどのように評価しますか?
 →ベースラインを確認しておいてそこからの変化や左右差に注意すると回答
MEPで波形が出なくなったらどのように対応しますか?
 →術野みる+術者と情報共有して原因検索、血圧低ければ血圧上げるなど
⑨手術は問題なく終わりました。抜管しますか?その根拠とともに述べてください
 →挿管管理継続でICUと回答。頸髄損傷の影響で術前から呼吸補助筋の運動は弱まっている可能性あり、手術でそれがさらに悪化している可能性や呼吸中枢を障害している可能性、今後浮腫が増悪して経時的に悪化してくる可能性などを理由として回答
10.ICUでの人工呼吸管理を行う上での注意点はなんですか?
 →意図が読めず少し沈黙していたら「あ、まあこれはいいです。次に行きましょう」と言われて終了

<試問②>
紙に書いてあったこと
50歳代後半くらい?60歳くらい?の男性。身長たしか170cmくらい体重50kg。週に3回透析。左下肢壊死性筋膜炎になった。

   所見の羅列スライド。問題点あげてください
→透析、糖尿病、貧血、透析、plt 7万台、CRP12WBC10000超えetcの問題あり、これらを回答
②膝上アンプタします。麻酔はどうしますか?
 →ブロックだけでしますと回答
③実際の手術もブロック+light sedationですることにしました。ブロックを主体にした麻酔のメリット・デメリットはなんですか?
 →メリットとしては全身麻酔と比べて呼吸や循環への影響を少なくできるこ  と、この患者さんのように細菌感染が関与している症例では硬膜外麻酔や脊椎麻酔と比べて麻酔施行部位に感染が起きたとしても悪影響が少ないことを回答。デメリットとしては十分な効果が得られるかどうかは施行者の技術に依存することと、上手くできているとしても効果不十分となる可能性を回答
④膝上アンプタをブロック主体でやるときにブロックすべき神経
 →大腿外側皮神経、大腿神経、閉鎖神経、坐骨神経と回答。「それ以外はありますか?」と聞かれ、「ん?他?」という顔をしていたら「まあそれくらいですかね。次に行きましょう」みたいな流れで終了
⑤そのうちの大腿神経ブロックを行うエコー画像がこちらでした(左側が外側の大腿神経ブロックを行うviewが画面に出される)。先生ならどのように薬液を打ちますか?解剖の名前と一緒に指で示しながら述べてください
 →腸骨筋膜の下に大腿神経がある部分を指で示し、外側から刺入してまず神経の下側、次いで上側に注入すると回答
0.375%ロピバカインを40cc使用してブロックしたら、口の痺れに引き続いて痙攣を起こしました。収縮期血圧も70mmHgくらいまで下がりました。何を考えますか?
 →局所麻酔薬中毒です、と回答
⑦診断は局所麻酔薬中毒でした。どのように対応するか5つくらい述べてください
 →人を呼ぶ、術者に状況を伝える、純酸素投与、循環動態の安定(輸液や昇圧薬投与)、脂肪製剤の投与(具体的な投与方法は聞かれず)、抗痙攣薬としてベンゾジアゼピン系の投与と回答
⑧対応の甲斐あって痙攣は収まり、呼吸循環も落ち着きました。この手術を含めて、今後の対応どうしますか?私を整形外科医と思って、今回起きたことの説明を含めて今後の方針を述べてください。
 →局所麻酔薬中毒が起きました。原因は神経ブロックで使用した局所麻酔薬が多かったためと思われます。ロピバカインは3mg/kgが極量ですが、今回は3.75×40ccでほぼ極量もしくはそれを超えた量が投与されています。現在は局所麻酔薬中毒に対する治療が奏功し、状態は落ち着いています。今後ですが、手術は一旦中止し今日は念のため術後ICU管理として、状態が落ち着いたことが確認できたら改めて手術の方針が良いかと思います。感染を制御する面でも早期の手術は重要なので、状態が安定したらできるだけ早期に手術を検討すべきと思います、と回答。
→このまま手術するのはダメですか?中
 →今は安定していますがショック状態にもなっていますし、意識レベルの確認のためという意味も含めてここは一度中止が良いかと思いますが、いかがでしょうか?と回答
→次回の手術はどのような麻酔をしますか?
 →(迷いましたが)次回もブロックのみで行おうと思います。次回は局所麻酔薬の濃度を薄くして極量を超えないように対応したいと思います。薄くした分効果が出るまでしっかり待ってから手術を行うようにすれば、薬液量を減らすことなく同じようにブロックのみで手術を施行できると思います。と回答

その後ちょっと雑談。「力を出し切れましたか?けっこう出し切れているように見えましたが。どの問題が難しかったですか?」など聞かれた。その後時間きて退室。

<実技①>
THAの手術で硬膜外麻酔します。正中法で、生食もしくは空気を用いた抵抗消失法で人形に行ってください。本人に声をかけつつ初期研修医に説明しながらやってください。
 →声かけと説明しながら、普通に場所をきめて、普通に刺して入れる。1回骨にあたって入らなかったので、刺入しなおして入った。その過程も口に出しながら普通に行った
→(入ったら)この人形は途中までしか入りませんが、カテ入れしてください
 →声かけと説明しながら普通に入れた。
質問された内容
・テストドーズはなにをどれくらい入れますか?
 2%リドカインを3cc入れます、と回答
・カテは硬膜外腔に何センチ入れますか?
 5cm入れます、と回答
・カテが浅いときのデメリット、深すぎるときのデメリットを述べてください
 浅いデメリットは本人が動いたりした際に抜けてしまうリスクがあること、深いデメリットは、深くいれたときに血管内やくも膜下腔に入ってしまうリスク、稀だが中でたわんで結び目ができてしまうリスク、片効きになってしまうリスク、神経根まで迷入して神経根症状が出るリスク、を回答

→その後時間が余って1分強くらい無言で待機

<実技②>
気道確保の人形が置いてある。その周りには組み立てられてない喉頭鏡やスタイレットが入っていない気管チューブ、スタイレット、バックバルブマスク、igelairQ、押し出し棒ファイバーなどが散乱
時間ないくせに色々盛りだくさんで、試験官もせかせか且つやっつけ仕事感満載で進行。なんとなく急かしてくるのでこっちもせかせかやる。そして試験官は無愛想無表情。

①身長低めだけど体重90kg超えの女性のATH?を初期研修医と担当することになりました。今から全身麻酔の導入します(画面に超肥満女性が仰臥位になっている様子を横から見た図が出て)体位どうしますか? 
 →ランプポジションにする説明をする
②実際に研修医と行うつもりで、物品の準備から含めて研修医に説明しながら行ってください
 →喉頭鏡の組み立てや明かりがつくことの確認、挿管チューブの準備、吸引の準備、薬剤の準備をすることを説明しながら実施
③この患者さんは全身麻酔を導入してマッキントッシュ喉頭鏡で挿管することにしました。挿管を研修医に説明しながら行ってください
 →滑りが悪くて少しやりづらい人形。てこずりながら声門が見えて、こんな感じに見えてます、と試験官に覗いてもらって終了
④実際にはこの患者さんは挿管困難でした。ここにあるものを使って挿管してください
 →これ見よがしに声門上器具とファイバーと押し出し棒が置いてあるのでそれを使うことに。igelいれて、モニターで視野がすでに映し出されていたファイバーをガイドにして挿管することにした。前日の人から、視野の上下がひっくりかえって準備されていたという情報を耳にしていたため警戒して確認したが上下はあっていた。ファイバーの視野は画面によく見えていたのでそのままファイバーを挿入開始。ファイバーを入れていく過程で途中から見えなくなり、四苦八苦していたら「見えない原因はなんでしょうか?」と言われ、ファイバー抜くとライトが付いてないことが判明(時間なくて急かすならあらかじめ付けとくか途中で教えてくれよ、と思ったが我慢)。ライト付けてやり直そうとしたら時間ないためそこで終了。
⑤挿管できました。正しく挿管できたか確認する過程を研修医に説明しながら行ってください
 →途中までいくつか述べて時間が来たので終了



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