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2016年10月5日水曜日

体験談⑬(第55回麻酔科専門医認定試験)



無事に合格することができました。ありがとうございました。試験官の先生方には我々の試験のために貴重なお時間をいただき、この場を借りて御礼申し上げます。学会の事務の方、会場設営や運営にご尽力いただきありがとうございました。会場には小さな子供を連れた受験生やお腹の大きな方などいらっしゃいました。お疲れさまでした。大変だったでしょう。

筆記試験
ガイドラインは一切読まず、過去問のみです。7年分3周。昨年の問題が初見で8割以上取れたので大丈夫だろうと思って試験に臨みました。採点していなのであくまで出来た感触ですが、A85/90B20/55C25/55、全体130/200程度でしょうか。合格ギリギリラインでしょう。思っていたより出来なかったです。B問題の“重箱の隅つつき化”は例年加速しているようです。A問題でしっかりとって、気分よくBC問題に望むのが良いかと。あと、実際受けてみてBC問題は結構時間が足りません。一つの問題にこだわらず、次に進むことをおすすめします。

口頭試問
「早鐘のように・・・」というと、叙述的でどこかロマンチックな響きもありますが、試験前日の夜から緊張して眠れなかったです。通称ドナドナエレベーターに、まさにすし詰め状態で出荷。体験談の通りで思わず笑ってしまいました。
緊張していたので思い出せる範囲のものだけ記述します。
1、 糖尿病、人工透析中の高齢者。ASに対してAVR
まず画面で症例の血液生化学検査、血液ガス検査、心エコー、胸部CTの結果が提示。
「所見は?」貧血、代謝性アシドーシス、K正常上限、EF低下、E/e高値、大動脈弓部の石灰化。大動脈遮断時の石灰化病変による脳梗塞を危惧。(今から考えれば、上大静脈の虚脱なんかもあったかも)
「モニターは?」。Aライン、CVPPAPCISvO2体温、TEErSO2などなど。
「導入したら血圧下がった。原因と対策は?」麻酔薬の影響。TEEで前負荷、壁運動、左室流出路を評価。輸液。カテコラミン。種類と量。
FA送血をしたけど、送血圧が高いとMEに言われた。原因と対応は?」解離が起きたかも。TEEで確認。チューブの屈曲を確認。血管拡張薬を使う。「他は?」…答えられず。(今思えば、低体温かなー?)
「血糖336。どうする?」ヒューマリンR6単位皮下注。
術後ICUでの人口呼吸器の設定、術後鎮痛の方法、量など。
ICUCIはほぼ一定で安定している。SvO2の一過性の低下。原因は?」…答えられず。酸素消費量は一定とばかり思い込んでしまい、HbSpO2の方にばかり気を取られた。「実は痙攣発作でした。対処は?鎮静量を増やす。頭蓋内の検索。ICUへの申し送り。

2、 全前置胎盤に対して全身麻酔下で予定の帝王切開。
「術前の準備は?」輸血のオーダー、在庫確認、急速輸血装置(れば)、マンパワーの確保。「ほかに、術前日に行うことは?(しつこい!)…動脈の塞栓術?「どこの?」…内、内、子宮動脈?「内腸骨動脈でしたー()
迅速導入。方法、麻酔薬の量と種類。「児娩出までの麻酔維持の方法は?」セボ、BISでモニターなど。セボの濃度まで聞かれた。少なくて良い。1%程度。「児娩出からの麻酔維持は?TIVAに切り替える。「なぜ?子宮収縮を抑制したくないから。
「児娩出後、気になることは?」子宮収縮、オキシトシン10単位を急速輸液。少量でも良いという報告もあるから、術者と相談しながら適宜追加。他はSleeping babyなど。(子宮全摘についても言及しておかなければならないですね)
3000mL出血した。どうする?」急速輸液・輸血。同単位になるように。体温維持も。
「輸血の副作用は?」肺うっ血、TRALITACOアレルギー、酸塩基平衡障害、低体温、長期的な感染症etc
「児がぐったりしている。HR80(くらいだった気が)どうしますか?」気道確保、酸素投与、陽圧換気、SpO2刺激する、30秒ごとに評価するなど。「挿管するの?」します!
術後、患者はICUで人工呼吸器管理となった。設定の方法。術後鎮静、鎮痛に分けてそれぞれ。プロポかDEXフェンタとアセトアミノフェン。マルチモーダルに。フェンタの持続流量は術後少ししてから様子見に行って変更する。
5分程度時間が余る。雑談。「@@社がスガマデクスのゾロ出すらしいですよー」etc「よく答えられていたから大丈夫ですよー」(ニヤリ)
どちらの設問も担当麻酔科医として一つの症例を術前のリスク分析から術後管理までをきちんと診れるかどうかを問うような濃厚な問題構成でした。一問一答の知識だけを問うのではなく、考え方や思考のプロセスを評価しているのだと思いました。試験官の先生の誘導にうまくのれるかどうかも重要ですが、答えられるところをきちんと押さえておけば大丈夫な印象です。自分にとってはラッキーな設問でした。

実技試験
実際に受けた順番通りです。最後のブースは待ち時間が出るかもしれませんと事前に言われていたので、麻酔器の始業点検を予想していましたが出ませんでした。バイトのおにーちゃんは一人しか雇えないってことですね。
1      DAM
最初にモニター見せられる。マスク換気でSpO294%EtCO2閉塞性パターン。応援呼ぶ、2人方法で換気。
Triple Airway Maneuverって何?」は??LMA、ブジー、挿管チューブがそこにあったから、LMAブジースタイレット代わり→挿管する方法ですか()?正解は教えてくれない。LMA挿入→気管支鏡下に挿管チューブに入れ替える。チューブφ8だと通らない!やり直させてもらう。今度は挿管チューブのコネクタが邪魔でLMAを抜去できない!なり焦る。無事に挿管するも、かなりグダグダ。横の美人な先生もあまり手伝ってくれないし。平静を装って、気管支鏡で挿管チューブの位置を調整しますとか何とか言って誤魔化した。時間が余ったので、試験官にTriple Airway Maneuverてなんですか?って聞いたけど、ガイドラインに載ってるから。あとで読んどいて、と言われた。うーん、実技落としたなぁと思った。

2      EPI+TEE
胃切除術、EPI実演。穿刺部位とその理由。「肩甲骨は何番?C7です。「ほんと?落ち着いて。」…Th7です。「Th7は肩甲骨のどこ?」下極です。Medianで実際に穿刺、LORでチュービング。留置の長さ。
TEE4チャンバービューで僧房弁前尖、右室の場所。下降大動脈の長軸。
C7Th7を言い間違えて以降は落ち着いてできた。試験官の先生もはいはいという感じだった。時間余る。

3      ACLS+小児BLS
PEA。型どおりCPR。波形変化、VF→除細動。除細動器にはパッドが繋がっているというひっかけ。見事に引っかかる。奥のスペースに小児の模型。小児BLS一人法。型通り。「2分後どうしますか?BLSを続けます。「それ以外は?」応援呼ぶとかですか。終了。
実技はまじで落ちたと思った。

4      腕神経叢ブロック鎖骨上アプローチ+エコーガイド下神経ブロック(平行法)+エコーガイド下CV穿刺
おにーちゃんにエコーあてる。鎖骨上の解剖を一式。運針について。
神経のデモに実際に穿刺。平行法。運針について。注入、エコーフリースペースに針を進め、注入。局麻の注入のし方。
エコーガイドカCV穿刺、SGカテーテルのシースを入れる。ガイドワイヤーの長さ、注意点。逆血が引けないとき、不整脈が出たときの対処法。右房→右室→肺動脈→ウェッジの圧波形の変化をiPADに書く。はいはいというかんじでサクサク進む。時間余る。
どのブースの先生方も感じがよくて、圧迫感や早よしろ感は全くなかったです。私は1日目でしたが、2日目に受験予定の知り合いに内容を教えたんですが、Triple Airway Maneuverが出たらしいです。日をまたいで重複することもあるようですね。ガイドラインは必読です。

これから受験される先生方によっては単一施設で長く勤務されていらっしゃる先生も多いかと思います。一人一人医者年数や勤務してきた施設の特色なども異なると思います。専門医試験の内容は幅広いです。心臓手術、小児、TEEエコーガイド下神経ブロック。一般的な手術をこなしているだけでは通らないでしょう。ご自身がこれまでの経験を客観的に把握し、試験内容と照らし合わせた際にどの分野が弱いかを判断することが合格への第一歩かと思います。短期の研修、学会での講習会など工夫次第で対策は可能と思います。次回以降の試験と受ける方のお役にたてれば幸いです

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