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2015年10月12日月曜日

体験談㉒(第54回麻酔科専門医試験)



<筆記試験>
過去問は取っ付き易いC問題  B問題  A問題の順にみていき、
1周目・2周目は時間がかかっても先生のまとめファイルに書いてある箇所を確認、
第何回のどの問題にその内容が出ていたのかを、まとめファイルに記入しておきました。
(→頻出内容が一目でわかり、知識の整理をする際に確認したい問題がすぐに見れて便利でした。
過去問の解説文や表で補充しておきたい内容があれば、まとめファイルの空いている部分に書き足し、最終的には6年分を45周。
また、選択肢はバラで解説部分をしっかり読み、時にはミラーで調べて、できるだけ理解するようにしました。
採点除外問題は解説が省いてありますが、自分で調べておいたことは本番で役立ちました。
昨年まで頻出していた敗血症、ARDSに関しては出題がなく、これはガイドライン変更に向けての動きかと思います。
日麻HPに出ているガイドラインはもちろんのこと、過去問題集の要点チェックに参考として載っているガイドラインは、ほとんどがネットで検索すれば出てくるので、最新のものをチェックしておくのもお勧めです。

結果、A問題はほぼ過去問の内容で95%、B問題・C問題は答えを調べきれていないのでわかりませんが、少なくとも50はとれていると思います。


<口答試験>
口頭試験対策は、ある程度筆記試験の知識が備わってからと思い、8月頃から見始めました。
口頭での考え方は筆記よりも実践的で面白くもあり、全く未経験の分野では雰囲気がつかめずに焦りを感じたりもしました。
しばらく筆記から手を引き、口頭対策に没頭していると、筆記試験の感覚がかなり飛んでしまったので、バランスよく平行して勉強した方がよかったかなと思います。


試験当日は、部屋に入ると奥(窓側)に長テーブルが1つあり、そこに試験官が2人。パソコンをそれぞれ1台ずつ前にして座られていました。
試験官と対面するように椅子が1つ置いてあり、そこに着席。
客室にあるテレビがモニター替わりとなり、追加の検査所見や画像が提示されます。

1問目:甲状腺全摘を受けるやや太った中年男性。他に合併症なし。仰臥位で寝るのがきつくなってきた。
 モニターで巨大な甲状腺腫瘍で気管の圧排も強いCT画像画像とTSHFT3FT4等の検査結果が提示される。
 ・採血や胸部Xp以外で術前にしておきたい検査は?
 ・麻酔の導入から術後で気を付けることは?
 ・挿管しても換気ができないときのために具体的にはどうする?
 ・麻酔導入はどうする?導入時の体位は?
 ・導入は意識下で経鼻ファイバー挿管することにします。その手順は?
 ・術中、突然体温が上昇し、モニターで示す状態(血圧・脈拍の上昇、EtCO230台)となりました。この状態は何ですか?
 ・どのように対応しますか?
 ・術後挿管のままICUに行くことになりました。内科Drが当直で抜管が心配だと言っています。どのように対応しますか?抜管するときは先生きてくれますか?
 ・血腫のほかに、外科医がやらかしそうなことは?
(反回神経損傷のことがすっかり抜けていて、ここまで全く触れていなかったので、試験官の先生がわざわざ聞いてくださったのに、最後まで思いつかず。気づいたのは帰りの市民広場駅に向かう途中でした。)
・まあいいでしょう。では2問目です。


2問目:80代の女性。穿刺時に痛みを感じた肘正中の採血部位に痛みが持続し、2週間ほどで治った。2か月してまた痛み、痺れ、運動障害が出現した。軽度腎障害がある。
 ・障害されている神経は?
 モニターにしびれの部位や肩関節や肘関節、手関節の運動障害の結果が提示される。
 ・どこの障害ですか?
 ・検査は何をする?
 ・モニターで頸部のXpとMRIが示され、この画像の所見は?
 ・治療はどうしますか?
 ・プレガバリンを投与してよくなりました。プレガバリンの作用機序は?
 ・プレガバリンの副作用は?
 ・プレガバリンを投与する際の注意点は?
 ・この患者さんだと、投与量はどれくらい?(尋ねても具体的なCCrの提示はなく、大体で と言われる)
 ・この患者さんに、今後の治療方針に関して説明してください。
 ・注射で痛んでいたところが今後また痛くなることはありますか?
 ・口頭試験は以上です。先生、おばあちゃんに抗うつ薬や麻薬を使うと言うとビビっちゃうよ。 とのコメントをいただきました。

会場に時計がなくて時間経過がわからないとの体験談から腕時計をつけていたところ、口頭試験は20分で終了していました。
53回のように濃厚な内容かつ、圧迫面接的なのを想像していたので、あまりにもあっさりした内容に肩透かしを食らったような感じ。
体験談を書くにあたり、詳細を思い出してみると、自信ありげに間違ったことも色々言っており、今更ながらに恥ずかしくなりましたが、
50回の講評に書いてある通り、口頭試験は考え方や問題解決力を評価するための試験なのだと実感しました。

<実技試験>
1.分離肺換気:150㎝台の女性に対して、右上葉肺癌に対して手術予定です。
 ・チューブは何を選択しますか?
 ・では挿管してください。
 ・ファイバーで正しい位置に挿管されていることを確認する方法は?
 ・適切な深さにあることはどうやって判断しますか?
 ・左の第二気管分岐はどこですか?
 ・左B6を見せてください。
 ・実際に分離肺換気をしてみてください(コッヘルを渡される)。
 ・次に気管支ブロッカーを使って分離肺換気をしてください。
 ・ブロッカーはどの位置にしますか?
 ・ブロッカーのカフはどれくらい入れますか?
 ・ブロッカーで管理した場合の注意点は?
 ・ブロッカーがずれるとどうなりますか?

2.満期の妊婦の帝王切開をします。脊髄くも膜下麻酔をしてください。
 ・手袋の大きさを尋ねられ、新品の清潔手袋を実際に装着。
 ・使う消毒薬を3種類
 ・いつも通りのやり方を説明しながらしてください。(局所麻酔をすると皮下が膨らみ、本穿刺でも液が返ってきます)
 ・生まれたての新生児に挿管してください。
 ・新生児の気道の特徴を3つ答えてください。

3ACLS730㎏  整形外科医が大腿骨の脱臼整復をしていたら、意識消失したので呼ばれました。
モニターはこうなっています(HR40)、橈骨動脈は触れませんが、頚動脈はかろうじて触知します。
除細動器はすでにそばにあり、モニターやリード接続の異常などはありません。
試験管の1人を研修医に見立てて指示をだしながら対処してください。
・この状態は?
・ではどうぞ。→洞性除脈で硫アトをいくのかな?と思いつつも、小児ですし血圧を問うと測れないと言われたのですぐにCPRを開始しました。
 途中で何か忘れてない?と訊かれましたがわからず。そういえば人を集めるようお願いするのを忘れていました。

4.バイトのお兄さんで超音波ガイドTAPブロックの解剖・薬液の注入場所、頸部の動静脈の描出・動静脈の見分け方、腕神経叢ブロック斜角筋間アプローチの解剖。
板こんにゃくで平行法の穿刺。人形で右内頸静脈穿刺(ガイドワイヤーの先端を12㎝挿入するところまで)。
 ・右内頚静脈カテーテルの深さはどれくらいにしますか?
 ・カテーテルの固定はどのようにしますか?


ACLSで部屋に入るなり、先生の持ち時間は8分ですと言われましたが、4つとも時間を余らせながら終了。あっけなく開放されました。

ペインや集中治療の経験はなく、気管支ブロッカーを触るのは初めて。普段CV確保やEpiをすることはなく、ルンバールをするのも年に12回程度の環境にいます。
実技の練習は神経ブロック以外できない環境下なので、かなり前の記憶をたぐり寄せつつ、やったことがないものは「使ったことがないのですが、こんな感じですかね~」と言い訳をしつつしました。
どの試験官も優しく、間違ったことを言うと訂正させようと訊きなおしてくださいました
それに気づかず流したりもして、反省するときりがないのですが、この問題でよかったなとつくづく思います。

合格への近道は他の受験者と同レベルであること。
周りに受験する人がおらず、かなり孤独な戦いでしたが、先生のまとめファイルをベースに、先輩方の体験談から試験当日のイメトレをすることで、対策を立てることができました。
salalyman先生に心から感謝しております。本当にありがとうございました。

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