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2014年10月13日月曜日

体験談⑤(第53回麻酔科専門医試験)




本格的に試験勉強を開始したのは3ヶ月前の7月からでした。
先生の資料や過去問をざっと眺めたところ、筆記試験の知識で他の科目もある程度カバーできると考え、そちらを優先しました。
正規の過去問3年分を2回、それ以前の問題は頂いた資料から確認し、ほとんどまとめファイルの記載を中心に勉強しました。
全く知らない領域や、ファイルの記載のみでは納得出来ない部分は、ミラーなど成書で再確認を行いました。

筆記試験
実際の筆記試験ですが、A問題は、ほとんどが「2つ選べ」でしたが、直近の過去問から出題されていることが多く、
過去問を中心に勉強した方は容易に取り組めたかと思います。
B問題、C問題の難易度は例年とさほど変わらない印象でした。
最近の話題から出題されることも多く、例えば「LiSA」のコラムにも直前に軽く目を通しておくことは有用ではないかと感じられました。
自分自身は時計を忘れて会場入りしてしまいましたが、真正面に掛け時計が設置されており、事なきを得ました。
しかし、あまり大きい時計ではなく、後部座席の受験生から見えたかどうかは疑問です。時計は自身で用意することを薦めます。

口頭試験
筆記試験から口頭・実技試験までの5日間で、頂いた青本を中心に対策を行いました。
5日間の猶予があったので、なんとか通読。

会場のポートピアホテルには集合1時間前に到着しました。
どこかのベンチで軽食でも、と思い用意してきましたが、ホテル内は店内を除き、飲食禁止です。食事は別の場所で済ませるのがよいですね。
コンビニで買ってきたおにぎりをバッグの中に押しこめつつ、待機。

待機室で簡単な説明があり、直前のトイレなどの案内も受けました。
説明後は、トイレに行く機会は1度。1列に整列して順番にトイレに入っていくのがなんだか滑稽でした
時間が来ると、業務用エレベーターにすし詰め(重量オーバー寸前、汗臭い)になり試験会場フロアへ。

各客室が試験会場になっていました。部屋前に椅子が二脚。一方には係員が掛けています。
順に移動し、椅子に係員と並んで掛けた状態で、試験の説明を受けます。この光景が長廊下の向こうまで続いており、奇妙な非現実感を覚えました。
最初の椅子で口頭試問の症例を記した用紙が手渡され、5分の時間が与えられます。この間、自由にメモして構わないとのことでした。
各症例の「問題点」になる部分に下線を引き、「追加の検査、モニタ」を数個記載しておきました。過去問通りならこの辺りは聞かれそう。

口頭試問①
高血圧、糖尿病もあったかな? の高齢患者。胸部大動脈瘤に対してTEVAR。確か過去問に同様の問題がありましたね。
この症例、いきなり最初からCT Angioの画像が供覧されました。
下行大動脈瘤。左鎖骨下にかぶっているような。あとの所見はわかりませんでした。
・この画像も含めて、症例の問題点を列挙してください。
といったことが聞かれたように思います。
・麻酔計画は。
プロポフォールで導入、ロクロニウムで筋弛緩、LMA挿入、維持はAOSーRemi。
ラインは末梢とAライン。なるべくフロートラック。モニタは必要ならTEE。。。
TEEはLMA管理なら入れられないね。と自分で気づいたあたりから大分パニックに。
試験官からは、Aラインを入れるタイミングと場所は?と聞かれ、TEEのことはツッコミなしでした。
・術者が、神経モニタリングしたいと言っています。
さっきセボフルランと答えたのにね。と思ったあたりからまた大分パニックに。
MEPモニタリング、BIS、rSO2  を提示し、麻酔方法もTIVAに変更。
・循環のモニタリング、「特別な」モニタリングを3つ。
3つもないよ!と思いつつ、Aラインーフロートラック、TEEを再度述べました。あと1つは結局思いつかず、け、血圧計。。。
試験官から、「じゃあ2つでいってみましょう」と言われ、更に凹む。
・神経保護の方法:「一般的に」と強調されました。
スパイナルドレナージを回答しました。その後、目標数値、流速も問われ、回答。

口頭試問②
高齢男性の腸管壊死。具体的な数字は忘れましたが、ショックバイタル、代謝性アシドーシス、貧血、SVO2低下の状態。
エンドトキシンの検査値も示されていました。
おそらく、SMA閉塞の症例でした。過去問と違ってワルファリンは飲んでいなかったと思います。
・この状態を一言で表すと?⇛敗血症性ショック
・問題点は?⇛ショック、アシドーシス、貧血、フルストマックetc…
・術後管理⇛EGDTそのまま。SVO2を上げるのには具体的には何をすればよいか?
・遷延するショック~エンドトキシン吸着療法について。
ほとんど過去問と類似しており、問題なく答えられました。

接遇問題
155cm 80g (くらいの肥満)、比較的若年女性の後頭蓋窩腫瘍、腹臥位。手術時間は10時間オーバー。
仰臥位にしたところ、舌、眼瞼の浮腫は著明。マスク換気、気管挿管は難しかった。
術者は、なるべく早い段階での抜管を希望している。麻酔科医としてこの術者とお話してください。

過去問に全く同じ問題があったような気がします。
・自己紹介
・相手の考えを聞いてみる。
・この患者の問題点を列挙する。
・抜管の危険性について説明する。術後鎮静管理を軽く勧める。
・上記を踏まえた上での相手の考えを再度確認してみる。
ここで、試験官は挿管帰室の上での鎮静管理に賛同してくれました。
その後、
・鎮静は何を使う?⇛プロポフォールあたりで。
・プロポフォール注入症候群はどういう・・・
・抜管のタイミング、判断基準 ⇛ ファイバーで喉頭浮腫の評価、カフリークテストなど
・カフリークテストは具体的にどうやるの?
と質問をたくさんいただきました。本当に接遇だけ見る問題だったのかは不明です。。。

時間が10分ほど余り、i-gelの使い方についてしばらく喋ってから退出しました。

実技試験
実技試験①
試験官は2人。挿管練習用マネキンと、DLTが置いてありました。
・右肺がんの症例で、研修医に教えるようにDLTを挿入してください。
組み立ては終わっている設定でした。緊張して喉頭展開がヘタクソでしたが、無事挿管。
カフ注入の順番や注入量を述べたところで、試験官がipadをいじって何かしていたようなので、細かいところも加点対象なのかもしれません。
これでここは終わり。。。ではなく、隣に新しいマネキンが登場。
・ブロッカーを使って片肺換気を行ってください。
入れるのは簡単!と自分に言い聞かせてかろうじて右主気管支に挿入。安心していたら、
・この状態から位置異常が起こった場合、どのようなことが考えられますか?
・・・??? 質問の意味がよくわからず、少し焦ってしまいました。
深すぎると上葉が換気されたり、分岐部まで浅くなると、右全体が換気されてしまったりというトラブルを答えればよいのか

実技試験②
試験官はやはり2人。挨拶をしても反応が全くない。マズイ。
と思っていましたが、非常に変わった先生で、終始試験官に指導を受けるような形で進んでいきました。
・脊髄くも膜下麻酔:清潔操作から薬液の注入まで。患者に声をかけながら。
 ここで自分は逆流を得ることができず、相当焦ってしまいました。
・新生児の気管挿管
 ブレードも、チューブのサイズも自分で選ぶ方式でした。
 ブレードはミラーの1,2、もう一つ上のサイズもあったかな。チューブも、2.5, 3.0, 4.0が用意。
 ミラーの1,チューブは3.0を選択しました。
 チューブの選択の時、「4,ではないよね?」と2回聞かれました。
 おそらく、4.0を選んだ時点で減点があるのではないでしょうか?わかりやすい禁忌が実技試験には転がっているのかもしれません。
・新生児の気道の特徴を言ってみて。
 声門下が一番狭い。あとは。。。と言いかけたところで、「あとは舌とかね。喉頭蓋とか・・・・」と先に言われてしまいました。
完全に向こうのペースに載せられてしまいましたが、禁忌さえ踏まなければ大丈夫な部屋。だったのでしょう。ありがとうございます。

実技試験③
試験官は2人。ACLSでした。
徐脈性PEAの蘇生で、試験官を研修医に見立てて。。。ということでしたが、試験官は胸骨圧迫をしてくれませんでした。
ここでも「研修医に指導するように」とのことで、呼吸回数、胸骨圧迫の程度などを述べながらエピネフリン投与まで。
エピネフリン投与後、vf。DCをかけたところで終了でした。ここは今まで通りで問題なかったと思います。

実技試験④
試験官は最後まで2人。上半身裸の若年男性が寝ていました。絶対エコーだ。
・TAPブロックのビューを出して、各構造物を説明してください。
・腕神経叢ブロックを斜角筋間でやりたいので、ビューを出して説明してください。
ここまで、青本記載どおりに全構造物を述べてクリアしました。
次に、水につかったコンニャクのようなものが登場しました。
・この中に神経が埋まっているので、平行法でブロックを行ってください。
市販の超音波ガイド下穿刺練習キットだったんでしょうか。コンニャクに埋まったゴボウのような構造物に針を進めて終了。
そしてまた男性モデルへ。
・上肢で筋弛緩モニタを装着してください。
尺骨神経に刺激電極を装着。と言いながら橈側に装着し、試験官に笑いながら訂正されました。
刺激の周波数、電流について更に質問を受けて回答。
・上肢以外ではどの部位で評価できますか?
し、皺眉筋。。。つけたこと無いけど。
・つけてみてください。
ムリです。。。とは言えず、適当に装着しました。

最後に完全に撃沈して、全過程を終了しました。
実技試験は、例年よりもバリエーションに富んでいたのではないでしょうか。

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