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2014年10月13日月曜日

体験談⑫(第53回麻酔科専門医試験)



筆記試験
神戸で受験しました、スーツの人はほとんどいませんでした。
A問題は例年通り過去問から出題されており8割は取れた感じでした。
5年ほど過去問をしていればよいと情報がネットに回っており、まとめノートの10年分の過去問は量が多すぎではないのかと思っていましたが
実際かなり前のものも出題されておりいくつか問題を拾う事が出来ました、助かりました。やはりここでポイントを稼いでおくのが大切です。
B問題は事前から聞いていましたが新作問題かつ思考問題のようなものもあり30%くらいしか自信を持って答えられませんでした。
ここは対策建てるのが難しいような気がします。ただ組み合わせの選択肢(a 1,2,3 b 1,2,5‥)がほとんどなので断片的に何かを知っていれば絞ることができます
C問題は80%くらいは取れたかと思います。純粋な手術室での麻酔以外の知識が結構問われた感じがします。

自分としてのポイントは
①計算問題は結構出る、しっかり対策しておくべき
②A問題で逃げ切るのは例年通り、過去問をしっかりしておけば筆記は取りこぼさない
③問題が終了してもすぐに退出せず一回は見返す
などでしょうか?

口頭試問
スーツで行きました、受講者9割がスーツでした。40分くらい控え室で待たされた後、みんなでぞろぞろ試験会場へ行きました。
口頭試問(内容に曖昧な部分があります)
太った男性 右顔面の軽度の麻痺、聴力障害、嗄声、嚥下障害あり 脳外科で手術となった。
高血圧がある、食前血糖200

  • まずはMRIを見せられて診断名を答えさせられました。
  • A:聴神経腫瘍
  • Q:そうですね、では障害されている神経を5つ教えて下さい
  • A:聴神経、顔面神経、迷走神経、三叉神経、舌咽神経です
  • Q:そうですね、麻酔はどのようにしますか?またその際の問題点を挙げてください。
  • A:まず全身麻酔で行います。太っているのでSASなどの症状を聞いて重度であれば意識下挿管を行います。高血圧があるのでそのコントロール状態を聞きます、臓器血流が高めでないと還流しないかもしれないので注意します。それほど重要ではないかと思いますが脳圧を上げないためTIVAで管理します。糖尿病がありそうでHbA1cチェックしてコントロール不良であれば強化インスリンでコントロールをしっかりつけてから手術に挑みます。嚥下障害、肥満、糖尿病の可能性でフルストマック、迅速導入で挑みたいですがSASの状態も聞いて考えます
  • Q:手術はこのような体位で行われます、なんといいますか(パークベンチ体位の写真を出される)
  • A:えーーと、ビーチチェアじゃなくてえーーと あの知ってはいるんですが出てこないです汗
  • Q:先生の言いたいことは分かります(笑いながら)パークベンチですね、この体位の利点欠点を述べてください。
  • A:欠点は心臓より高い位置の部位なので空気塞栓が起こる可能性、腋窩神経障害が起こる可能性など、利点は手術視野が取りやすく肩が邪魔にならないことなどでしょうか?
  • Q:そうですね、腋窩神経障害を起こしにくいと言われています、空気塞栓はそれほど心臓から高いわけでもないので可能性はそれほどないのかもしれません。術中神経を温存したために行う方法として何かありますか?
  • A:えーーとABRですか
  • Q:そうですね、もう一つないですか?
  • A:わかりません
  • Q:さっき述べてもらった5つの神経を守りたいのですよね?その中で刺激するものはないですか?
  • A:んーー顔面神経ですか
  • Q:そうですね、では手術終了後、舌が腫れていましたが脳外科からは神経症状も見たいので覚まして抜管してくださいと依頼がありました。どうしますか?
  • A:舌が腫れている、肥満、もともと嚥下障害があることから抜管で気道のトラブルが起こる可能性があり寝かしたままICUが無難かと思います。
  • Q:そうですね、では最後にICUの担当医師にこの事案を申し送ってください。
  • A:上記で述べた問題点をまとめて喋っておしまいになりました

高齢女性 乳がん?の腰椎転移でオキシコドン80mg プレガバリン120mgを内服している 馬尾症候群が出現して椎弓切除術、後方固定の予定となった。


  • Q:問題点を5つ挙げてください
  • A:高齢女性 ガンの転移がある 強いオピオイドを内服している 馬尾症候群が出現している 腹臥位で出血の多い手術である
  • Q:術前オキシコドンは中止しますか?
  • A:退薬症状が出るので続けます
  • Q:では退薬の症状を3つ答えて下さい
  • A:下痢、不穏、発熱、発汗などですか
  • Q:そうですね、では当日何mgくらい飲ませますか
  • A:うーーん40mgくらいですか(自信なさげ)
  • Q:(うなづきながら)いいですよ、ではプレガバリンの副作用を教えてください
  • A:ふらつき、めまい、複視、腎障害などですか
  • Q:もう一つなにかありませんか?
  • A:わかりません
  • Q:むくみですね、では術中の気をつける事を教えてください
  • A:腹臥位にするので回転時にルートやモニターに気をつけます、眼球圧迫や神経障害を起こさないように体位を気をつけます。出血が多くなる可能性あるので輸血の準備、Alineを準備します。また麻薬が効きにくいと思うのでバイタルに注意して痛みのコントロールをしっかりします
  • Q:(うなづきながら)いいですよ ではbioavailabilityについて述べて下さい
  • A:え?えーと、うーーん
  • Q:聞いた事はありますか?
  • A:あっはい(なんとなくだけど)
  • Q:モルヒネは静注と経口で同じ量で同じ鎮痛効果がありますか?
  • A:いえ、そんな事はないです。腸管からの吸収や代謝によるので投与経路で効力が違います
  • Q:そうすよね、(その後試験官によるbioavailabilityの簡単な講義が30秒ほど開催させた汗) 最後にこの内容をICUの担当医に申し送ってください
  • A:上記の問題点をまとめて話しておしまい

③接遇問題
中年男性 下顎腺腫瘍?に対して口腔外科で手術予定 頚動脈狭窄があってバイアスピリンを内服している
経鼻挿管の依頼

  • A:麻酔科の○○です、よろしくお願いします
  • Q:口腔外科の○○です、よろしくお願いします。
  • A:経鼻挿管希望との事なんですがバイアスピリンもあり鼻出血のリスクがあります、バイアスピリンは切れませんか?
  • Q:脳外科から切らないでくれと言われているんです。
  • A:では経口挿管では手術はできませんか、当科では気道のリスクを最小限にしたいです。
  • Q:(うなづいて)経口でもできます、ではそのようにさせて頂きます。
あっさり終了となった。

実技試験
DAMと輪状甲状靭帯穿刺
研修医に教えるようにして下さいと言って始まりました。

DAM
全身麻酔導入してマスク換気はできるが挿管できない状態に陥った
目の前にある機材を自由に使って挿管して下さい。
AWS、BF、McGrathなどが置いてありAWSを使用して挿管しました。
評価のポイントがあるみたいで説明している中でポイントが抜けていたら、研修医から質問があります。(~だったらどうするんですか?等)
ここは難なく終了しました。

輪状甲状靭帯穿刺
ミニトラックが置いてあり人形に実際に穿刺して留置という手技となりました。
ここも難なく終了です。ダイレーターや気管切開チューブを留置すると穴があくからか入れたふりでいいですと言われて
結局輪状甲状靭帯に穿刺してガイドワイヤーを入れただけで終わったような感じでした。

②脊髄くも膜下麻酔と新生児の挿管
こちらも研修医に教えるように言葉にだして下さいとの事でした。

脊髄くも膜下麻酔
満期産の妊婦に帝王切開が行われます、脊麻をして下さいとの設定でした。
清潔手袋をはめ人形に消毒をして実際に穿刺、薬液を入れるところまででした。
消毒液は1%クロルヘキシジンでしますと答えたあと、
その他にはどんな消毒液がありますか?→Aポピドンヨード
その際には何分くらい待ちますか?→A2分ほど 必ずしも乾くまで待たなくてもよい
試験官頷く
みたいな流れがあった以外は特に主義に対して突っ込まれることもなく終了しました。

新生児挿管
直前の脊麻の帝王切開で生まれた子が挿管が必要になりました、人形に対してして下さいとの設定でした。
ミラーの1型?が置いてあって喉頭鏡を選ばせることはなかったです。
チューブは3種類くらい(3.0 4.0 5.0?)3kgだったので3.0mmのカフなし挿管をして12cmで止めました。
その後試験管から新生児が成人と違う気道の特徴を3つ答えて下さいと質問がありました。
①頭が相対的に大きい
②舌が大きい
③声門下が狭窄している
と答えたのですが試験管から何かもう一つと言われて(多分3つのうちどれかは想定ではなかったようで)
喉頭が成人より頭側にある、喉頭蓋が逆U字で長いと答えて試験官がそうですねぇと頷いて終了となりました。

③ACLS
全身麻酔で挿管中にPEAになって2分間のCPR後Vfとなり除細動をするシナリオでした。
深く強くCPRしていたら人形が壊れるのでもっと優しくして下さいと言われました(それでいいのかと心の中で思いましたが‥)
除細動後CPR再開して終了となりました。

④麻酔器始業点検
これも例年通りで補助ボンベはないのでそれを飛ばして始業点検をと言われました。
①N2Oの圧がO2より高くなっていた
②セボフルランの残量がなくなっていた
③ソーダライムが少し少なめだった。
事を指摘したのですがこの麻酔器はテストのためにそうなってるんです、気にせず続けてと言われました(発言の意図がよくわかりませんでした)
バックや回路のリークはなかったです。
全体的に時間は余った感じです。

総括
受験勉強を始めたのは9月に入ってからでした汗
周りで麻酔科医の同僚がほぼおらず試験の情報を得ることができない状態でネットで情報を集めていた所、6か月前から準備するのが普通と書いてあったりしてかなり焦りました。

その際にこのサイトにたどり着き『まとめノート』なるものを知りました。
知識のまとめ②で各項目を暗記した後に③でそれに対応する過去問を解くというスタイルでやっていきました
1周に3週間かかってしまい、2週目が終わったのが筆記試験の前日でした。
ipadにもデータとして入れられるので隙間を見つけては見返して暗記しました。

筆記が終了して1週間後に口頭、実技試験でしたが筆記終了から対策しました。(というか口頭、実技まで時間が回らなかったです)
その際には通称青本(口頭試問の過去問と想定問題が記載してある)を読み返しました。
筆記試験である程度知識は蓄えられており設問と回答を読めば納得できるのですが、実際設問に対して声に出していうのは難しいです。
つまりは筆記試験のように問題を読んでそれが正しいかどうかを判断するのは簡単ですが、~について述べよと言われて、すらすら口頭で答えるには練習が必要だと思います。
後輩に問題を読ませて、練習しました。これも復習2週目が終わったのは試験の前日でした。
対策資料がないと絶対落ちていました。ありがとうございました。

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