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2014年10月17日金曜日

体験談㉚(第53回麻酔科専門医試験)




筆記試験
 試験会場は神戸国際会議場2階。だだっぴろいホールに長机と椅子2脚で、二人が隣同士になる。左端から番号順になっていて、1000台、4000台の受験番号が。今年初めて受験は7000番台。
試験官は5〜6人。監督は近畿大学教授の中尾先生。マークシートが配られた後、受験番号・名前を記入。何回も受験番号をマークするように指示される。その後試験問題配布され、注意事項の説明の間、試験官によって顔写真のチェックが行われる。
試験はA問題120分からスタート。45分以降退出可となり、終了15分前をすぎると退出出来なくなる。
最初の方に計算問題が出たり、ん?と思うことも多々。ただ、不安な問題をチェックしても、8割は取れているはずなので、大丈夫かな、と安心。

昼食(45分)後、B問題。
難しいすぎる…回答に自信が持てないものに印をつけると8割がた印がつく。
ほとんどがX2問題のため、一つがわかっても、絞り込めない。
X2でなくても迷う…なんじゃこりゃ〜と思っている間に終了。
一応見直しは2回する。

15分?の休憩後、C問題。
最初に計算問題が出てあせる。酸素消費量?酸素運搬量?…
その後の問題はべらぼうに難しいわけではない。
まあなんとかなったかなあ…と思いながら終了。
最後の方は見直しをしながら、肩痛と戦う。

ということで、事前情報通り、A問題で稼いで、B問題は捨てる、的な感じでよかったのかと。
C問題は難易度は高くなかった。
ただ、計算問題など、生半可な知識だと太刀打ちできない。
きちんと理解が必要かと思う。


 口頭試問

3人ずつの組になり、各色のついたネームホルダーを首にかけておく。
私はみどりの3番目。
座席の縦2列ずつ、会場へ移動。
私は右端に座っていたので、最後のグループ。
1列でぞろぞろと業務用エレベーターで8階へ。

一人ずつ案内され、隣に座っているスタッフに受験票と確認用の盤を渡す。
名前と受験番号の確認。
試験問題とボールペンが渡され、5分の時間が与えられる。
その間に試験問題の紙にメモを書き込むのはOK。

症例1 30台男性、重症肥満。顔面のしびれ、耳鳴りを訴え、手術が予定された。血糖値200。

症例2 70台女性、悪性黒色腫の骨転移でオキシコンチン80mg/day, ガバペンチン100mg/dayの内服をしている。
膀胱直腸障害のため、腰椎固定術が予定された。

症例3 接遇問題
 アスピリン内服中の下顎骨腫瘍の患者。術者は経鼻挿管を希望している。


5分後、紙を回収され、しばし待つ。隣のスタッフが部屋の中の試験官に声をかけ、入室。
入室時紙を再度受け取る。

入室後、名前と受験番号をいい、着席。
試験官は2名。試験官1名にパソコン1台、受験者用のモニターが1台。

◎症例1 
症例は読みましたか?
この患者さんの頭部CTを示します。

  • 診断は▶︎小脳橋核部腫瘍、聴神経腫瘍です。
  • どんな神経が障害されているか ▶︎ 顔面神経、三叉神経、舌咽、迷走神経、でしょうか。顔面のしびれが三叉神経?と突っ込まれる…自信なし。
  • この患者の問題点 ▶︎ 肥満、睡眠時無呼吸が疑われる、糖尿病の検査。合併症の確認をする。
  • 診察時にみておくこと ▶︎ 挿管困難を疑う所見がないか
  • 体位はこんなのです(画像)、バークペンチです。この体位のいいところを1点、悪いところを3点▶︎ いいところは、術野がいいということ(?)欠点は、挿管チューブと麻酔器が遠く、チューブなどの管理が難しいこと、腕神経層麻痺の可能性、頭部が下がっていることによる気道浮腫。
  • 術野がいいというのは脳外科からだとおもうので、麻酔科からいい点はないですか▶︎ うーん…右下側臥位なので、もし事故抜管などがあったときにAWSなのでそのまま挿管できること、ぐらいでしょうか…
  • 神経モニタリングをすることになりました。2つあげて下さい。 ▶︎ 聴性脳幹誘発電位、感覚誘発電位?
  • 麻酔方法はどうするか ▶︎ SASなどがなく、挿管困難の可能性が少ないのであれば、通常通りの導入を行います。もしあれば、迅速導入でAWSを使用します。維持はプロポフォール、レミフェンタニルで維持をします。筋弛緩薬に関しては、少量投与、筋弛緩モニターを用いながら投与します。
  • 手術は無事終了しました。主治医は抜管してほしいといっていますが、舌の浮腫がみとめられました。どうするか▶︎ 舌の浮腫があるので、この方は肥満・睡眠時無呼吸症候群があるので、抜管後呼吸停止や低酸素血症をひきおこすことがあります。ですので、舌の浮腫が落ち着いてから抜管するのが良いと思います。
  • 術後ICUに搬送しました。申し送りで注意する点は ▶︎ 舌の浮腫があり、抜管をやめました。高度肥満、睡眠時無呼吸症候群がありますので、抜管時には自発呼吸・覚醒がしっかりしていることを確認して注意深くしてください。

◎症例2
  • 問題点4つ ▶︎ 高齢、骨転移、オピオイド使用中、膀胱直腸障害があること。
  • オピオイドについて、退薬症状を3つ ▶︎ 落ち着きがなくなる、流涙、…でつまる。頻脈?
  • ガバペンチンの副作用 ▶︎ 眠気、 ふらつき…でつまる、起立性低血圧、…セロトニン症候群?
  • 周術期はオピオイドをどうしますか ▶︎ 手術当日朝は通常通りの内服をして、その後は内服ができなくなるので、PCAで持続静注をします。
  • 夕方のオキシコンチンは? ▶︎ 内服できれば内服してもらいますが、できなければその分を上乗せしたPCAを使用します。
  • オピオイドの生物学的〜〜について ▶︎ 全くわからず。モルヒネの生体内代謝率は1/2~1/3です。というと、
  • それはどうして? ▶︎ え?換算式のことですか?
  • いや、その換算式がどうやってできてるかってこと。 ▶︎ あ・・・わかりません。
  • 術後ICUに入室しました。申し送りで注意すること。 ▶︎ オピオイド内服中で、PCAでコントロールしています。夕方内服できるようなら内服させてもらい、その分のPCAを減量してください。

◎接遇問題
主治医と話をして下さい。
主治医:そんなに大きな腫瘍ではないので、アスピリンを中止せずに手術したいと思うのですが、いいでしょうか。
▶︎ 先生は経鼻挿管を希望されていると聞きましたが…経鼻挿管であれば鼻出血の可能性がありますので、できればアスピリンを中止してからの方が良いかと思います。経口挿管ならいいかもしれませんが…
主治医;では、アスピリンを中止して延期した方がいいということですね?
▶︎ あ〜そうですね、緊急を要する手術ではないと思いますので…
主治医:経口挿管ならいいですか?
▶︎ はい。経口挿管でも出血したらどうなるねんと言われればそれまでですが、経鼻挿管よりは出血のリスクは少ないと思います。
主治医:わかりました。では、アスピリン中止や経口挿管も含めて検討してみます。

で終了。

思い出してみるとこれで良かったのかと思いますが…


 実技試験

1 ACLS
 麻酔導入後、挿管されている。モニターはHR30,sinus.脈がないことが告げられる。試験官を研修医と見立てて、
教えながら処置を行う。
 この波形はなにか▶︎『PEAです』
 では、処置を行って下さい▶︎『PEAなので胸骨圧迫をします。
 胸骨圧迫の場所、早さ、深さ
 呼吸回数は?
 薬剤は?▶︎アドレナリン1mgを投与、生食20mlでフラッシュ、上肢挙上20秒して下さい。
 2分間のCPR後、この波形になりました。▶︎VF。
 何をしますか?▶︎除細動します。
 この除細動器は単相性か二相性か▶︎二相性です。
 では、除細動の設定はこっちでしますから…では除細動してください。▶︎200Jで除細動します。離れて下さい。

 除細動をした後、終了。拍子抜け…

2 挿管困難
 麻酔を導入した後、研修医が挿管を試みたが、後屈困難であった。研修医に教えるつもりで、挿管して下さい。マスク換気は可能です。
 『エアウェイスコープを使用します。』
 ブレードのはめ方、チューブのはめ方、を説明。
 口腔内挿入。なかなか喉頭蓋がもちあがらない…試験官が「人形だからね〜もっと押し込んでいいよ〜』と手伝ってくれる。
 声門確認、チューブ挿入。カフを注入し、AWSを抜去。聴診します、といったところで終了。

 隣のテーブルへ。
 麻酔導入後、CVCIとなりました。外科的気道確保の第一選択はなんですか▶︎輪状甲状間膜穿刺です。
 では、2種類のキットがありますので、やってみて下さい。▶︎ミニトラックを選択。
 JATEC以来やったことなかったが…
 針を間違えるも、誘導してもらって、なんとか穿刺完了。ガイドワイヤーをいれたところで、このままでいいよ〜と言われる。
 このあと、チューブをいれたあと、どう確認しますか?▶︎ポートをつけて聴診します。皮下気腫がないかも確認しておきます。

 時間があまり、雑談。奈良県立医大の教授がいて、出身が奈良と言うと和やかに♪

3 脊髄くも膜下麻酔 新生児挿管
 妊婦さんの脊髄くも膜下麻酔を研修医に教えるつもりで行って下さい。
 まずは、消毒をして下さい。消毒薬にはどんなものがありますか?▶︎0.5%ヘキシジルアルコールや10%ポピヨンヨードを用います。
 アルコールだと何%ですか?▶︎うーん…10%ぐらい??
 テープつきの透明穴あきおいふを渡され、テープがない布のおいふだとおもってカバーをするように言われる
 局麻、穿刺、薬剤投与。声掛けをしながら行う。いつも通りやれば問題なし。

 その後、赤ちゃんが生まれたが、反応がなく、Apgar 2/4です。
 挿管して下さい。
 チューブは 3.0, 3.5, 4.0を用意してあります。どれを使う?▶︎3,0にします。
 ミラー型喉頭鏡で挿管。
 チューブの深さは?▶︎9cmにします。
 バッグ換気をして終了。
 新生児の挿管における、成人との違いを3つあげて下さい。

 で終了。

4 麻酔器始業点検
 麻酔器はエクセル250。高岡市民で使用したことあり。なつかしいなあ〜と思いながら開始。
 電源は差し込んである。電源オン。
 配管はしてある。
 酸素、空気、亜酸化窒素がでるか確認。(ここで圧の確認を忘れた!)
 純亜酸化窒素防止遮断装置の確認。酸素の配管を外そうとすると「外さなくていいです!」と言われる。
 気化器確認。充填されていないが、されていると思って施行。
 酸素濃度計。公正をします、といったところで、「できました」と言われる。フラッシュで酸素濃度が上昇することを確認します…実際は上がらないが、「上がりました」と言われる。
 二酸化炭素吸収装置。
 呼吸回路。
 リークテスト。
 麻酔器。テストラングが置いてある。
 麻酔ガス排除装置。
 完了。

 何か忘れていることはありませんか?「…大丈夫だと思います」
 終了し、雑談。
 「今日はどうでした?」『緊張しました…』
 「苦手なところはなかったの?」『いや〜口頭試問はこんがらがりそうになりましたが…』
 「ペインは?やってるの?」『いや、やっているわけではないですが、大学にいたころに緩和ケアをまわっていましたので…』
 「そうか〜やっぱり違うね!」と試験官同士納得される。
 ペインが出来なかった、と答えた受験生がいっぱいだったのかしら…?

 と思っているうちに終了。

全体的にいい雰囲気で、試験官はみな優しかったです。私がラッキーなのか?!はわかりませんが、無事終わってよかったです。

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