53回版の「まとめファイル」に関しては”こちら”を参照。
52回試験の結果の詳細・いただいた感想などについては”こちら”を参照。
52回受験者の方々の体験談は”こちら”を参照。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が専門医試験の勉強を開始したのは卒後6年目の半ばでした。受験の一年ほど前です。私の麻酔科での経験では、頭頸部・一般外科・泌尿器科の手術や、救急集中治療に当時在籍していたことから救急集中治療にも自信を持っていましたが、心臓外科・小児科・産科・神経ブロック・ペイン全般は限られた経験しか無く苦手意識を持っていました(今でも)。卒後7年目に受験した際は、口頭試問で腕神経叢ブロックとペインが出題されてしまい、あえなく撃沈してしまいました。やはりやったことが無い麻酔は相当の知識量が無いと太刀打ちできないと思います。その際、試験官に言われた言葉(「ブロックとペインはやったことないの?」)はトラウマとなって一年間私を悩ましました…。
翌年の受験に向けてまず強化したのは神経ブロック全般とペインに関する知識の強化でした。Q&Aシリーズ・LiSAのバックナンバー・Miller麻酔科学・実践24症例などを乱読し自分なりにまとめたりしました。また、心臓外科・小児科・産科に関してもQ&Aシリーズ・小児心臓麻酔マニュアル(by 森田潔先生)などを通読しました。当時在籍していた病院の母体医局にお願いして大学で心臓麻酔・小児麻酔をかけさせてもらったりもしました。卒後六年目から救急集中治療にいたので麻酔の知識のブラッシュアップ目的で「麻酔科学レビュー 2013―最新主要文献集」も通読しまとめました。そういう訳で過去問には試験半年前まであえて手を付けませんでした。ちなみに、口頭試問は第50回くらいから急に傾向が変わってきて難しくなっています。ここ二三年分については過去問だけではなく、関連分野について教科書を読んでおいた方がいいと思います。例えば、MRIにおける麻酔など。
試験半年前から過去問を復習し始めました。試験一ヶ月ほど前になったところで実際に口頭試問の練習を嫁さん(Ns)と始めました。その際役に立ったのが、Salaryman
anesthesiologist先生の「まとめファイル」でした。嫁さんに問題を出してもらい、私が答え、それをチェックしてもらうことで、効率的に勉強することが出来たと思います。稲田先生の「口頭試問の達人」にも記載がありますが、必ず他人と声を出して練習するのがポイントです。目線や声の大きさなど自分で気がつかない悪い癖などを指摘してもらった方がいいと思います。
Salaryman先生の本の口頭試問の分野以外は手を出さなかったのですが、筆記についてもいいと思います。
2回目の口頭試問では、リウマチ患者の意識下挿管とまたしてもペイン!が出題されてしました。完璧に答えられた訳ではありませんが、練習の成果と試験官が優しかったおかげで無事合格することが出来ました。2回目を受験して改めて思ったのは、経験したことがない分野についてスラスラ答えるのはかなり難しいということです。1回目の時は、試験の合格率が8割ということもあり、「きっと大丈夫だろう」と気楽に考えていました。また、初めての方は誤解していると思うのですが、麻酔科学会が開示している口頭試問の過去問は問題がすべて書いてありますが、実際の試験の時は2〜3行しか書かれていない紙(例えば「心臓に持病がある○歳男性が頸椎の手術を受けることになりました」)しか渡されないので、試験官が話す内容をきちんと聞いていないと問題を聞き逃すことになり、一時も気を抜くことが出来ないです。また、これは偏見かもしれませんが、女医さんの試験官は厳しいですので要注意。一般的に男の先生の方が優しいです。
専門医試験は過去問がきちんとしている筆記試験の方が勉強しやすいことから、多くの先生は口頭・実技は手薄な状態で試験に臨むのではないでしょうか。ですが、口頭・実技こそがピットフォールとなります。「まとめファイル」の良かったところは見やすい、持ち運びやすい、常識的な答えが載っているというところです。現在口頭試問対策の本としては「口頭試問の達人」しかありませんが、冗長に感じる点が多いのと、日本の試験にはぴったりマッチしているとは言えない気がします。もちろん勉強にはなるのですが。
「まとめファイル」は\15000とやや値が張りますが、作った先生の労力を考えるとかなり安いのではないかと考えます。麻酔バイトに行った方がずっと儲かるでしょうに。合格者の1人として購入をお勧めします。
以下に口頭試問を受験した際に感じた心がけを記します。
専門医試験心がけ
1、
救急・ICU分野では、「当たり前」のことしか出題されないと思うべし。
2、
分からなくても謝らない。
3、
堂々と返答する。
4、
出題してきた先生の方のみ向いて喋る。両方に視線を向けない。
5、
「このレントゲンの何を見ておきますか。ポイントを5つ述べておきなさい」という類の問題では、病変だけはなく、例えば、胸水無し、気胸無し、皮下気腫無し、縦隔偏位無しといった、「当たり前のこと」を聞いている事が多い。病変と関係ない事を聞いているので、それに注意。
6、
「この症例で注意すべき点を5つ述べよ」というときは、この症例特有な事意外に、「鎮痛をしっかりする」、「循環動態を保つ」などの当たり前の事も答える。
試験官への質問はあまり良くないみたい。
7、
大きな声で。
8、
常に冷静で。
9、
やったことがない分野でも「分かる」、「出来る」と思え。しょせん、どのオペの麻酔でも一緒!
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