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2013年1月11日金曜日

51回麻酔科専門医試験 症例8−2【肺上葉スリーブ切除】

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症例【8−2】

66歳の男性。身長169cm、体重68kg。右上葉肺癌に対して右上葉スリーブ切除を予定した。施設に体外補助循環装置はないものとする。
肺活量:3.4L、%肺活量:99.3%、1秒量:2.61L、1秒率(FEV1.0/FVC):75.2%、%予測1秒量(%FEV1.0):85.3%。
肺血流シンチグラフィー:肺血流右:左=40:60
質問
1)術前評価
①この手術の麻酔を施行する前に、胸部レントゲン、胸部CTで何を見ておきますか。ポイントを5つ述べてください。
②心機能など全身状態に問題がなく血液ガスが正常であるとしたら、この患者では右肺全摘は可能ですか。根拠とともに述べてください。

2)術中管理
①図のような右上葉スリーブ切除術を想定した気道確保はどのように行いますか。
②1回換気量8ml/kg、呼吸数14回、FiO2:1.0にて一側肺換気を施行しています。スリーブ切除中にSpO2が85%に低下しました。チューブの位置を確かめ、吸引も行いましたが、改善しません。どのように処置しますか。

3)術後管理
血液ガスも覚醒状態も良好であり、胸部レントゲン上も問題がなかったので術者と協議の結果、抜管することになりました。
①もし抜管する場合、手術終了から抜管後にかけて避けるべきことは何ですか。3つ述べてください。
②Th4-5椎間より硬膜外カテーテルを挿入してあります。術後の硬膜外鎮痛法で用いるロピバカインの濃度と投与速度を述べてください。また、オピオイドの1日量を述べてください。フェンタニルかモルヒネのどちらかを答えてください。







66歳の男性。身長169cm、体重68kg。右上葉肺癌に対して右上葉スリーブ切除を予定した。施設に体外補助循環装置はないものとする。
肺活量:3.4L、%肺活量:99.3%、1秒量:2.61L、1秒率(FEV1.0/FVC):75.2%、%予測1秒量(%FEV1.0):85.3%。
肺血流シンチグラフィー:肺血流右:左=40:60

質問
1)術前評価
①この手術の麻酔を施行する前に、胸部レントゲン、胸部CTで何を見ておきますか。ポイントを5つ述べてください。

  • 心拡大の有無
  • 胸水の有無(特に健側)
  • 気管支分岐異常の有無
  • 肺気腫・ブラの有無
  • 肺うっ血の有無  など?

②心機能など全身状態に問題がなく血液ガスが正常であるとしたら、この患者では右肺全摘は可能ですか。根拠とともに述べてください。

  • 可能である。
  • 摘出後の肺機能としては、肺活量が1.9L前後、1秒量が1.6L前後と十分である(一般には術後の1秒量が0.8L以上あれば可能とされている)


2)術中管理
①図のような右上葉スリーブ切除術を想定した気道確保はどのように行いますか。

  • 左用ダブルルーメンチューブを使用した分離肺換気

②1回換気量8ml/kg、呼吸数14回、FiO2:1.0にて一側肺換気を施行しています。スリーブ切除中にSpO2が85%に低下しました。チューブの位置を確かめ、吸引も行いましたが、改善しません。どのように処置しますか。

  • PEEPを使用。
  • 無効であればジェットベンチレーションくらいか?


3)術後管理
血液ガスも覚醒状態も良好であり、胸部レントゲン上も問題がなかったので術者と協議の結果、抜管することになりました。
①もし抜管する場合、手術終了から抜管後にかけて避けるべきことは何ですか。3つ述べてください。

  • 高血圧(吻合部からの出血のリスク)
  • 咳・バッキング(気管支吻合部の破綻のリスク)
  • 無理な吸引

②Th4-5椎間より硬膜外カテーテルを挿入してあります。術後の硬膜外鎮痛法で用いるロピバカインの濃度と投与速度を述べてください。また、オピオイドの1日量を述べてください。フェンタニルかモルヒネのどちらかを答えてください。

  • 0.2%ロピバカイン
  • 投与速度は4〜6ml/hr程度
  • 当院ではフェンタニルをロピバカイン100ccあたり4〜8A使用。4ml/hの場合は0.4〜0.8mg。あとは投与速度に伴い計算。








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