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2012年5月11日金曜日

まとめ:褐色細胞腫


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基礎知識
・10%病(悪性、転移性、副腎外、両側性、正常血圧患者、MENの割合)
・ノルアドレナリン優位型とアドレナリン優位型がある。
・高血圧患者の0.1-0.2%に見られる
周術期の循環管理が大変
・他の手術中に、異所性褐色細胞腫が疑われた場合は決して摘出しようとしてはいけない(周術期死亡率が非常に高い)。一旦手術は中止し、下記の処置をした後に、改めて手術をすることが強く勧められる。

症状
高血圧、頭痛、発汗過多、頭痛
・不安、振戦、体重減少
耐糖能異常(高血糖)
脱水状態で血液は濃縮状態である。
・高血圧のみ見られる患者や普段は正常血圧のこともある
・カテコラミンによる拡張型および肥大型心筋症患者が20−30%に見られる。
・うっ血性心不全、頭蓋内出血、高血糖、腎不全などの合併もありうる。


診断
24時間尿中カテコラミン分画(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)
・局在診断のためCTやMRI、MIBGシンチグラフィなどを撮影。
・循環血液量の測定は必須ではない。適切に補正されたかどうかは、体重の増加やヘマトクリット値の低下で察する。

□術前循環管理
十分な輸液を行いつつ、α遮断薬(プラゾシン1〜6mgを4回/dayなど)で降圧を図る。十分なコントロールには10〜14日間かかることもある。
十分にコントロールがついてからのみ、頻脈や不整脈がある場合にはβ遮断薬の投与を行う(注意深く開始。α遮断薬投与で十分遮断される前にβ遮断薬を投与すると、高血圧を悪化させる)。
・プラゾシンは手術12時間前に中止する。
血圧安定化の目安
・48時間血圧が165/90mmHgを上回らない。
・起立性低血圧が起きる(ただし80/45mmHg以下にならないこと)。
・変動するST-T変化がないこと。
・心室性期外収縮が5分に1回以下。
・心電図変化を1〜2週間認めないなど

術中管理・麻酔
麻酔方法にこれというものはない。
・術前には高血糖、術後には低血糖になりやすいので注意。
・アトロピンやケタミンなどの交感神経優位になる薬物の使用は慎重に。
・プロポフォールには交感神経抑制作用があるため、プロポフォール、レミフェンタニルによるTIVAによる管理が多く行われている。腫瘍摘出後に生じる血管拡張により急激に血中濃度が低下することがあるので、BISモニターを使用する。
循環動態は動脈ライン(フロートラック®)や中心静脈ライン(プリセップ®)や肺動脈カテーテルなどを利用して管理する。TEEを用いて前負荷の評価や心機能評価に役立てる。
・一番の目標は導入時、腫瘍操作時の高血圧と、腫瘍摘出後の低血圧に対して適切に対処すること(どちらの状態でも副腎クリーゼを起こしうる)。
・硬膜外麻酔は交感神経系の反応を抑制できるため有用ではあるが、カテコラミン放出を抑えることはできない。
・術中高血圧にはニトロプルシド50-100μgやフェントラミン1-5mg、ニカルジピン1-2mg、PGE1製剤、マグネシウム(40-60mg/kg投与後2g/hで持続。必要に応じて20mg/kg追加投与。覚醒遅延と筋力低下に注意)、頻拍には超短時間性β遮断薬(ランジオロール)などを用いる。
・術中低血圧には、急速輸液・輸血を行いながらフェニレフリンやノルアドレナリン、ドパミンを使用する。

術後管理
・血中カテコラミン濃度の正常化には時間が多少かかり、術後も昇圧薬の投与が必要になることが多い。
・摘出後は低血糖を起こす可能性があるため、血糖チェックを適宜行う。
・術後鎮痛はしっかりと行う。




□参考文献・書籍・Web
1)合併症麻酔のスタンダード p43-44
2)MGH麻酔の手引き p98-100
3)患者術前評価・管理の手引き p158-161
4)手術別麻酔クイックメモ p206-207
5)麻酔への知的アプローチ p87
6)麻酔科シークレット第2版 p355
7)麻酔科トラブルシューティングAtoZ p188











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