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2012年5月11日金曜日

まとめ:ショック状態の患者(外傷)


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大事なこと
太い静脈ライン(最低でも18G以上)を入れる。
・各種輸血10単位以上の準備、オーダー
・とにかく応援の医者(麻酔科、救急医など)を集める。マンパワー!
・出血のコントロールができていない状態で深部体温35度未満や凝固系延長などが生じている場合は手術を継続しても予後が悪い。ガーゼパッキングなどで一次閉創で手術を一旦終了し、復温、凝固系が回復した後に二期的に手術をした方がよい場合がある。麻酔科医は外科医にダメージコントロール手術とする提案する判断が求められる

ダメージコントロール麻酔という概念
致死的外傷の3徴を予防する
アシドーシス⇒凝固障害悪化
低体温(輸液、環境温度などで低下)⇒凝固障害
凝固障害⇒出血血圧低下低体温、アシドーシス
※この3者は死の悪循環を引き起こす
麻酔薬の選択
・重要臓器(脳、心、腎など)の灌流を保つために末梢血管は限界近くまで収縮しているため、血管拡張作用が強い麻酔薬の選択は状況をさらに悪化させる可能性がある。
導入は交感神経刺激作用があるケタミンや、循環抑制の少ないミダゾラム、フェンタニルなどが好んで用いられる。ロクロニウムは循環動態に影響を与えないので安全に使用できる。
維持亜酸化窒素、フェンタニル、ミダゾラムやケタミンの持続静注が行われることが多い。
術中の循環管理
・過剰な胸腔内圧は避ける(静脈還流の減少)
・出血性ショック時にはほとんどの麻酔薬の必要量は減少する。BISモニターを使用し、麻酔薬の量を調節する。
・多発外傷による手術の場合、ERですでに相当量の輸液(細胞外液メイン)が行われれている事が多く、高度の血液希釈を来している場合がある。適宜採血し、早期の輸血開始をためらわない(希釈が高度でない場合、出血のコントロールまでは粘るかどうかは、麻酔科医の考え方や血液入手の状況による)。
・出血が続いている場合に、血圧を必要以上に上昇させると出血を増大させる可能性があるため、収縮期血圧は100mmHgを超えないように(まぁ上がらないことが多いですけどね・・・(^^ゞ)
循環管理の目標

※出血のコントロールができていない場合。
・収縮期血圧 80-100mmHg(収縮期血圧70mmHg、平均血圧40mmHgまでは容認)
・Ht値 25−30%
・凝固系:できるだけ正常に近い状態で
・血小板:5万以上を維持
・深部温度:35度以上
・末梢循環:パルスオキシメーターで拾える程度に
・アシドーシスの進行の防止
※出血のコントロールができてから
・収縮期血圧 100mmHg以上(ただし、十分な血圧が必ずしも十分な臓器灌流の指標にはならない!)
・Ht値:普段の輸血開始値(麻酔科医による)以上に
・凝固系:正常範囲で
・深部温度:普段なみに上げる
・尿量:利尿をつける
・アシドーシス:補正する








□参考文献・書籍・Web
1)麻酔科トラブルシューティングAtoZ p109-111
2)麻酔科シークレット第2版 p375-379
3)麻酔科エラーブック p135-137 など

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