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2012年5月10日木曜日

まとめ:輸血関連①輸血合併症(簡潔)


急性溶血性輸血副作用
ABO型不適合輸血で発症する。ほとんどが手続き上のミス。
・生成された抗原抗体複合体が補体を活性化することで血管内溶血を起こす。
・ブラジキニンの放出(血圧が低下)や、肥満細胞の活性化(セロトニン、ヒスタミン放出)も起こす。
最終的にショック、腎不全、DICを起こし、最悪死に至る
症状・徴候
・発熱、胸背部痛、呼吸困難⇒麻酔中はマスクされる。
低血圧、Hb尿、原因不明な出血、上昇しないHtなどもチェックする。
治療・対処
1.すぐに輸血中止
2.患者識別や照合ミスについて確認。
3.残りの血液製剤と患者血液を輸血部に送り再検査(クロスマッチ)
4.輸血セットも交換(カニューラ接続部で)。乳酸リンゲル急速投与。
5.輸血が必要であればO型(−)のRCC、あるいはAB型のFFPを使用する。
6.十分な輸液、利尿薬(フロセミド、マンニトール)により、尿量を十分に保ち、腎不全をできるだけ予防する。
7.DICについての観察、検査を行う。
8.溶血にはハプトグロビンを。


発熱性非溶血性輸血副作用(FNHTR)
・輸血関連合併症の中では最多
・赤血球輸血の1%、血小板輸血の30%以下で生じる。
・患者の白血球抗体が、ドナー血の白血球に反応して起きる。
症状
・発熱、悪寒、不快感
・悪心、嘔吐
・頻拍
治療
・輸血中止
・急性溶血性輸血副作用や血液製剤の細菌汚染などと鑑別する。
・発熱、悪寒についてはアセトアミノフェンとペチジンで対処する。

アレルギー性輸血副作用
・1〜3%に生じる
・患者抗体と血液製剤の血漿蛋白との反応による。
症状
掻痒を伴う蕁麻疹や紅斑が最も多い。発熱も伴うことが多い。
まれに気管支痙攣やアナフィラキシーをおこすので要注意。
治療
・輸血中止。
・重篤な副作用との鑑別。
・抗ヒスタミン薬の投与。
・症状がつよければステロイド投与
・気管支痙攣やアナフィラキシーにはそれぞれの対応で。

輸血関連急性肺傷害(TRALI)
・患者白血球とドナー血の抗白血球抗体との反応。
・RCC、FFP、血小板、クリオプレシピテートによって起こるARDSに似た(鑑別は難しい)重度の呼吸不全
・発熱、呼吸困難、低酸素血症、低血圧、肺水腫を起こす。
輸血後4時間以内に発症する
・頻度は少なくとも5,000単位に1回。輸血量が増えればリスクも増す。血小板、FFPではさらに頻度が上昇すると考えられている。
治療
対症的治療。ARDSに準じる。
・急性期は人工呼吸が必要になるが、4日以内に回復することが多い
今のところ予防方法はない・・・。

感染合併症
・B型肝炎:現在ほとんどない
・C型肝炎:現在ほとんどない
・HIV:米国ですらほとんどない




□参考文献・書籍・Web
1)MGH麻酔の手引き p655-659
2)SICUpearls p79-90
3)麻酔への知的アプローチ p238-262
4)麻酔科シークレット第2版 p37



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