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2012年5月19日土曜日

まとめ:心臓弁膜症 大動脈弁狭窄症(AS)


基礎知識
・現在ほとんどが加齢による石灰化が原因
・リウマチ性は激減しているが、その場合は高率に僧帽弁疾患合併あり。
・弁口面積と症状とは一致しないことが多い。
症状は狭心症、失神、心不全。症状が出てからの予後は悪い
・mPG40mmHg以上、AVA1.0cm2以下、有症状のASでは非心臓手術はリスクが非常に高く、先に弁膜症の手術が優先される。
・一度心停止に陥ると、蘇生は非常に困難!


病態の進行
・ASの進行は緩徐。最初は代償性に求心性心肥大が生じ、心拍出量は保たれる。
・病態が進行すると(AVA1cm2以下)、左室拡張終末期圧(LVEDP)が上昇し、左室肥大による心筋酸素需要の増加とあいまって、冠血流量の不足を生じて狭心症症状が出る
・さらに進行すると左室、左房ともに拡大し、心房細動などの上室性不整脈を生じる。心房収縮は左室充満の30〜40%を担うため、これが失われると心拍出量が減少し、肺うっ血や失神を生じる。

術前チェックポイント
心エコーでの評価(収縮能、拡張能、弁口面積、圧較差など)
冠動脈の評価
胸部レントゲン(心肥大、肺うっ血の有無)
日常活動度や運動耐容能の評価(NYHA、4METS)
心電図(洞調律か?)
症状が出ていないか?(呼吸困難や狭心痛、失神発作など)

□麻酔管理の注意点
・頻脈は非常によくないが、心拍出量が固定されているため、徐脈も心拍出量が低下し危険。心拍数は50〜70回/分に保つ
・十分な動脈圧と前負荷、体血管抵抗を維持し、洞調律を保つ。上室性の不整脈を生じたら早期に除細動を行う。左室充満のために十分な輸液が必要だが、過剰になると容易に肺水腫を生じる。
・前負荷や心拍数、体血管抵抗を維持しても心収縮力や心拍出量が維持できないときにはカテコラミンを使用する。
・心収縮力を抑制する薬物(プロポフォールやバルビツレートなど)は用いないほうがよい。ミダゾラムやフェンタニルを中心に導入する。血圧低下に対してはフェニレフリンなどのα刺激薬で対応する。




□参考文献・書籍・Web
1)合併症麻酔のスタンダード p290
2)MGH麻酔の手引き p438
3)麻酔術前評価・管理の手引き p77-79
4)心臓麻酔ポケットマニュアル p212
5)麻酔科エラーブック p559 
6)心臓手術の麻酔 p346-352  
7)麻酔科トラブルシューティングAtoZ p90-91
8)麻酔への知的アプローチ p377-379
9)続・麻酔科臨床の書 p15-28
など




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