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※APE(急性肺血栓塞栓症)の原因となるDVTのスクリーニングと予防が非常に重要!
VTEはDVTとAPEをを合わせた概念
□DVTの危険因子
◯弱い
肥満 エストロゲン治療 下肢静脈瘤
◯中等度
高齢 長期臥床 うっ血性心不全 呼吸不全 悪性疾患 中心静脈カテ留置
癌化学療法 重症感染症
◯強い
静脈血栓塞栓症の既往 血栓性素因(プロテインS、C、ATⅢ欠損症、抗リン脂質抗体症候群など)、下肢麻痺、ギプスによる下肢固定
□DVTの好発部位
※ほとんどは骨盤〜下肢静脈(大腿静脈やひらめ静脈)
◯中枢型(腸骨型、大腿型):膝窩静脈より中枢側
※腫脹、疼痛、下肢の色調変化の所見がみられる
◯末梢型:膝窩静脈より中枢側
※疼痛が生じることもあるが、無症状のことも多い
□診断の順番
1.問診と診察
・危険因子のチェック
・上記症状や所見があるか
2.採血検査
・スクリーニングではd-dimerが最も普及
3.画像検査(確定診断)
・下肢静脈エコー(非侵襲)
・造影CT、MRV(低侵襲)
・静脈造影(侵襲的)
4.血栓性素因などの病因検査
□予防方法の種類
※周術期DVTの危険性は手術部位や術式に依存する!
・弾性ストッキング(ES:Elastic Stocking)
高リスク以上では単独では効果が弱い。
・間欠的空気圧迫法(IPC:Intermittent Pneumatic Compression)
高リスクにも有効(特に出血のリスクが高い場合)。原則として術前〜術中より開始。外傷では臥床初期より装着。十分な歩行が可能になるまで終日装着。
・低容量未分画ヘパリン
8時間〜12時間毎に5,000単位皮下注
・用量調節未分画ヘパリン
APTTを正常上限値に維持するように持続静注
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最初に約3,500単位の未分画ヘパリンを皮下注射し,投与4時間後のAPTTが目標値となるように,8時間ごとに未分画ヘパリンを前回投与量±500単位で皮下注射する。煩雑な方法ではあるが,最高リスクでは単独使用でも効果がある。
・用量調節ワルファリンPT-INRが1.5〜2.5になるように投与。効果が出るまでは3〜5日間を要するため、他の方法を併用する。最高リスクでも単独で効果あり。
・低分子ヘパリンおよびXa阻害薬(フォンダパリヌクス)
低分子ヘパリン:TKA/THA術後、股関節骨折術後、VTEリスクの高い腹部手術
Xa阻害薬:VTEリスクの高い下肢整形外科手術後、腹部手術
□手術別予防法
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リスク | 整形外科 | 婦人科 | 産科 |
低 | 上肢の手術 | 30分以内の小手術 | 正常分娩 |
中 | 脊椎手術 骨盤・下肢手術(高リスク以外) |
良性疾患手術 ホルモン療法中患者 |
高リスク以外の帝王切開 |
高 | 股関節全置換術 膝関節全置換術 股関節骨折 脊髄損傷 |
骨盤内悪性腫瘍根治術 VTEの既往、血栓性素因のある良性疾患手術 |
高齢肥満妊婦の帝王切開 VTEの既往、血栓性素因のある経膣分娩 |
最高 | VTEの既往、血栓性素因のある高リスク手術 肥満患者の高リスク手術 |
VTEの既往、血栓性素因のある大手術 | VTEの既往、血栓性素因のある帝王切開 |
リスク | 一般外科・泌尿器科 | 脳神経外科 | 外傷 |
低 | 60歳以下の非大手術 40歳以下の大手術 |
開頭術以外 | なし |
中 | 非大手術:60歳以上あるいは危険因子あり 大手術:40歳以上あるいは危険因子あり |
開頭術 | なし |
高 | 40歳以上の癌の大手術 | 悪性腫瘍の開頭術 | 重度外傷 運動麻痺を伴う完全・不完全脊髄損傷 |
最高 | VTEの既往、血栓性素因のある高リスク手術 肥満の高リスク手術 |
同左 | VTEの既往、血栓性素因のある高リスク手術 |
大手術は腹部手術もしくは45分以上の手術
・低リスクは早期離床・運動を促す
・中リスク(DVT発症20%以上):ESあるいはIPAC
・高リスク(DVT発症30%以上):IPCあるいは低容量未分画ヘパリン投与
・最高リスク(DVT発症40%以上):低容量未分画ヘパリン+IPCあるいはES、または用量調節ワルファリンのみ(単独で効果あり)、用量調節未分画ヘパリン投与のみ(単独で効果あり)
※合併症麻酔のスタンダードp98、ガイドラインより作成
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