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2012年4月30日月曜日

まとめ:糖尿病患者


周術期の高血糖、低血糖、急性期合併症を予防することが目標


糖尿病患者の術前チェック項目
・糖尿病の病型(1型、2型、妊娠糖尿病)
合併症の把握高血圧、高脂血症、無症候性心筋虚血、脳血管障害、末梢神経障害、自律神経障害、網膜症、腎症、電解質異常などなど) ⇒詳細は下記
・最近の血糖コントロールの状況把握(空腹時、随時、HbA1cなど)
・治療内容(内服薬、インスリン、運動・食事療法)
・DKA、HONK、低血糖発作などの急性合併症の発症歴の有無
各種検査(心電図、必要なら負荷心電図や心筋シンチ、虚血があるならCAGなど)
頸動脈狭窄のチェックも。


糖尿病によくある術前合併症
高血圧
周術期の冠動脈疾患や心不全に注意
虚血性心疾患
自律神経障害のため、無症候性ないし非定型的な症状を呈することが多い
自律神経障害
心血管系や消化管の反射が損なわれ、起立性低血圧、胃不全麻痺(誤嚥のリスク)や腸閉塞、尿閉などが起こる。
末梢神経障害
腎機能障害
糖尿病性網膜症

周術期高血糖の弊害
・術後感染症
・創傷治癒の遅延
・高浸透圧(高血糖)による浸透圧利尿、脱水
・急性期合併症のリスク(DKA、HONKなど)
・血液粘度の上昇により血栓形成傾向
・インスリン使用による低カリウム血症 など

自律神経障害のチェック
交感神経
臥位から起立したときの収縮期血圧:正常なら10mmHg以下の低下、異常があれば30mmHg以上低下する場合がある
臥位から起立したときの拡張期血圧:正常なら16mmHg以上上昇、異常があれば10mmHg未満の上昇。
副交感神経
深呼吸による心拍数:正常なら15回/分以上増加、以上なら10未満。
心電図装着し、Valsalva手技でR-R間隔の比をチェック:1.2以上で正常。
※自律神経の異常が見られれば、H2ブロッカーやメトクロプラミドを投与する。

麻酔に関する注意
・DKA、HONK、代謝異常などがあれば手術前に治療しておく。
・経口血糖降下薬やインスリンは術当日朝は中止(することが日本では多い)
血糖コントロール
 術中は120〜180mg/dlを目標にコントロールするのが一般的。適宜インスリンでコントロール(下記)。高血糖、低血糖に注意
心筋虚血に注意(5極心電図、重症糖尿病ならTEEなどで壁運動をチェック)
・高浸透圧による脱水に加え、降圧薬を投与されている患者では慢性的に循環血液量が減少しており、麻酔導入後の血圧変動が大きいことがある。自律神経障害は血管拡張に対する代償機転が障害されており、血圧変動を増悪させる。
・胃不全麻痺により、フルストマックとして対応したほうがよい症例がある。
・体位や圧迫により皮膚傷害を起こしやすいため、保護をしっかりと行う。
・感染症に対して脆弱なため、清潔操作をしっかりと
気道確保困難の可能性
  側頭下顎関節や頚椎の可動性が低下することがある。また、肥満、睡眠時無呼吸、咽頭部の余剰な軟部組織による狭窄が、メタボリック症候群患者によく見られる。

血糖コントロール例
目標は120〜180mg/dl程度
血糖測定は少なくとも1〜2時間毎に行う(特にインスリン使用患者は)
[速効型インスリン使用例]
・120~180mg/dl ⇒様子見
・180~250mg/dl ⇒インスリン2単位静注 あるいは 1~2単位/hで持続開始
・250mg/dl<    ⇒ インスリン5単位静注 あるいは2単位〜/hでインスリン開始
・以後50mg/dlを超えるごとに0.5〜1単位/h増加させる
※施設や麻酔科医毎に様々だと思います・・・。





□参考文献・書籍・Web
1)MGH麻酔の手引き p79-87
2)患者術前評価・管理の手引き p133-138
3)合併症麻酔のスタンダード p135-139
4)麻酔科シークレット第2版 p345-350
5)麻酔科研修チェックノート第3版 p179-181
など


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