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2012年4月24日火曜日

まとめ:術後低酸素血症の鑑別と対処


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全身麻酔では低酸素、高二酸化炭素状態に対する換気ドライブが抑制され、低換気におちいる(特に吸入麻酔薬や麻薬などの使用により)術後もこの効果はしばらく持続する

まずは気道が確保されているかを確認。舌根沈下、術後出血(甲状腺手術やCEA、頸部の郭清術後など)、気道浮腫によるものを鑑別。再挿管をためらわない
最も多いのは手術直後では低換気。
パルスオキシメータの動作不良(末梢低体温などや器機のエラー)は危険な低酸素血症の原因が除外されてから考慮する。
 検査としてはポータブルレントゲン、血液ガス採取、CT、エコーなどを必要に応じて施行する。




術後低酸素の原因と対処
無気肺:FRCの減少により生じる。
特に肥満患者や胸部、上腹部手術ではFRCが著しく低下する。十分な鎮痛(硬膜外鎮痛など)を行うことで軽減できる。
対処酸素投与 深呼吸 ネブライザー 気管支鏡などによる分泌物吸引 
     呼吸器リハ NIPPVなど

低換気:全身麻酔(特に吸入麻酔薬、麻薬の影響)
換気ドライブの抑制や呼吸筋不全により生じ、肺胞虚脱を進行させる。
対処:酸素投与 深呼吸励行 麻薬やベンゾジアゼピンによるものであれば拮抗を試みる。 必要なら人工呼吸管理

上気道閉塞:筋弛緩薬の残存などにより、気道筋力低下と協調運動の低下によって舌根が沈下し、気道を閉塞。
対処筋弛緩薬の拮抗 酸素投与+気道確保(用手、エアウェイ、再挿管など)
睡眠時無呼吸患者などでnasal CPAPを使用している場合は使用する。

気管支痙攣、喘息発作: COPDや喘息、最近の上気道感染のある患者での発生が多い。気管挿管や気管内吸引などの気道への機械的操作により誘発されることが多い。薬物やアナフィラキシー様反応でも見られる。
対処: β2刺激薬の吸入やステロイド投与。重篤な場合はエピネフリンの皮下注やケタミンの使用など考慮。必要なら人工呼吸管理を。

誤嚥:覚醒不十分な場合や、麻酔薬や筋弛緩薬の効果残存により気道反射が抑制されている患者などで起こりやすい。
対処: 胸部レントゲンやCTなどで確認。できる限り吸引。こちらも参照

肺水腫:心不全や肺毛細血管の透過性亢進により生じる。
心原性肺水腫は、心疾患患者(心不全患者や虚血性心疾患など)や過剰な輸血・輸液により主に生じる。低酸素血症、呼吸困難、頸静脈怒張、喘鳴などの症状がある。
血管透過性による肺水腫は、敗血症や誤嚥、輸血合併症、アナフィラキシー、上気道閉塞によるもの(陰圧性肺水腫)により起こる
対処:心原性肺水腫であれば、原因に応じた処置を(利尿薬や虚血ならエコー、CAG、冠血管拡張薬など)

気胸:開胸手術、縦隔鏡・気管支鏡手術、腎摘・副腎摘出での高位後腹膜切開、腹腔鏡手術などに合併することが多い。その他CVC留置や上肢の神経ブロックなどの合併症として生じる。
対処:レントゲン等で診断(緊張性気胸であれば臨床診断で即治療!)後、胸腔ドレーン留置。 こちらも参照
肺塞栓症:DVT、悪性腫瘍手術、多発外傷、長期臥床患者の低酸素血症では必ず鑑別する。術直後よりも、初回歩行開始時などに生じることが多い。
対処こちらを参照



□参考文献・書籍・Web
1)MGH麻酔の手引き p674-679
2)SICU pearls p310
3)麻酔科臨床の書 p33
 など


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