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2012年4月17日火曜日

まとめ:気腹の生体に与える影響


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※現在さまざまな手術が内視鏡下または補助下で行われるようになっている。
※鏡視下手術にはガスによる気腹法と吊り上げ法とがあるが、気腹によるものが現在一般的。筆者がつり上げ式で麻酔を行ったのは、妊婦の胆嚢摘出術の時だけです(胎児モニタ−下でCSEAでしました)。


気腹のガスは二酸化炭素なワケ
・CO2ガスは酸素のように可燃性もなく、ヘリウム、アルゴン、窒素などと比べて血液に溶けやすく、消失も速い(換気で容易に調節可能)。



気腹の生体に与える影響
呼吸器系に与える影響
・横隔膜が挙上することにより、機能的残気量(FRC)減少や気道内圧が上昇する。PCVで管理していると換気量が低下するので注意。
肺コンプライアンスも低下する
・以上より、無気肺の発生やそれによる低酸素血症の可能性がある。
・CO2ガスの吸収により高二酸化炭素血症が生じる。PaCO2の正常化には分時換気量を増加(1.5倍程度)させる必要がある。

[まとめ]
増加・上昇するもの:気道内圧、胸腔内圧、腹腔内圧、呼吸抵抗、PaCO2
減少・低下するもの:機能的残気量、肺コンプライアンス

循環器系に与える影響(心疾患患者では要注意
・腹腔内圧(IAP)の上昇により、静脈還流が減少⇒心拍出量低下。ただし健常者ではほとんど変化はみられない。
・IAPの上昇は動脈系の圧迫や、カテコラミン、アンギオテンシンやバソプレシンの分泌も増加させる。⇒後負荷の増加により平均血圧(MAP)と全身血管抵抗(SVR)は上昇する。
・腹腔内圧の上昇は胸腔内圧も上昇させ、CVP、PAPの数値は修飾されるので注意。 胸腔内圧の上昇は心臓の充満圧を上昇させ、SVRの上昇と相俟って左室壁ストレスは増大する。
CO2ガス自体に交感神経刺激作用がある⇒循環動態の賦活化⇒心拍数増加、心拍出量増加、血圧上昇。心筋酸素需要も増加するため、冠動脈疾患患者では注意!
・高二酸化炭素血症、それによるアシドーシス、カテコラミン分泌上昇などが心筋の被刺激性を高め、不整脈が生じる可能性がある。 また気腹自体の刺激で迷走神経反射が起こり、徐脈性不整脈も生じる可能性がある。
・以上より、腹腔内圧の上昇による循環抑制は(IAPにもよるが)、CO2ガス自体の効果により打ち消される傾向にある。ただし、心予備能が低下している患者では循環抑制が強くでる場合もありIAPを注意して管理する。
・気腹による循環動態への影響は気腹開始後5〜15分以内に急速におこり、その後一部回復しプラトーに達する。
健常な患者では左室機能に影響はほとんどないが、心血管疾患のある患者では気腹により悪影響が出ることがある

[まとめ]
増加・上昇するもの:MAP、SVR、CVP 左室壁ストレス 静脈還流(IAP<10mmHg)
減少・低下するもの:心拍出量(気腹開始時減少、その後増加する)静脈還流(IAP>10mmHg)

腎機能に与える影響
尿量、腎血流量、糸球体濾過率が減少する
・尿量減少にはバソプレシン分泌増加の影響が考えられている(気腹が終了すれば尿量は回復する)

頭蓋内圧(ICP)への影響
・PaCO2が20〜100mmHgで変化するとき、脳血流量は直線的に増加する。
通常PaCO2上昇はICPを増加させる
・通常ICPを測定することはまずないが、ICPがもともと上昇している患者では注意する。
・ちなみにICPの規定因子としては、脳実質量、脳脊髄液量、脳血液量がある。




□参考文献・書籍・Web
1)手術に欠かせない臨床麻酔のスキル  p92-101
2)MGH麻酔の手引き p377 597
3)手術別麻酔クイックメモ p196-197
4)麻酔への知的アプローチ p469-475
5)麻酔科エラーブック p300-302
6)麻酔科シークレット第2版 p527-533
7)麻酔科研修チェックノート第3版 191-194
8)麻酔科臨床の書 p117

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