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2012年4月6日金曜日

まとめ:高カリウム血症への対応


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※以前のまとめ+αです。

治療のポイント
①伝導遅延などの心臓に対する影響を軽減させ、
②細胞外から細胞内へのカリウムの移行を促し、
③体内総カリウム量を減少させる、こと
補:できるだけ採血から時間が経過していない(5日以内)赤血球製剤を入手するように努める。





□原因
・排泄の低下(主に腎不全)
・細胞外への移動(アシドーシスや挫滅症候群、横紋筋融解、スキサメトニウムの副作用)
・輸血(特に急速大量輸血)※特に採血から時間が経過しているもの
などが麻酔科医が経験する高カリウム血症で多い。
・血液サンプルの溶血による見せかけの高カリウム血症(”かたい”動脈ラインなどで強い陰圧をかけたときなどに起こりやすい)


□症状(慢性的な高カリウム血症よりも急激な上昇で生じやすい)
・脱力、異常感覚
・心筋伝導障害(6~7mEq/lを超えてくると危険)。徐脈、心室細動、最終的に心停止
・心電図所見(正常⇒テント状T⇒PQ間隔延長⇒wideQRS、P波消失⇒心室細動

□治療
※まずは輸液をカリウムフリーのもの(生食や半生食など)

心臓に対する影響を軽減
カルシウム(グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム)
※カルシウムには心筋細胞膜安定化作用があり、増大した心筋の興奮性を抑制する。
※ジギタリス服用中の患者ではジギタリス中毒のリスクが増大するため注意する。
・血清カリウム濃度を下げるわけではないことに注意。
・塩化カルシウム20mlやグルコン酸カルシウム10mlを緩徐(2〜3分かけて)に静注。心電図変化などが持続するなら5〜10分後に追加投与。
・効果発現までは数分、30〜60分間効果が持続する。


細胞外から細胞内へのカリウムの移行

グルコース・インスリン療法(いろいろな人のいろいろな施設でいろいろな方法がある)

※骨格筋のNa+/K+ATPaseを活性化することで、カリウムを細胞内に移動させる。
※インスリン静注では効果発現は10〜20分。効果持続は4〜6時間。適宜血糖測定を!
・ 超緊急事態で高血糖なら速効型インスリン10単位静注
・10%ブドウ糖200ml+速効型インスリン5単位(30分でDiv)
・10%ブドウ糖50ml+速攻型インスリン5単位を様子を見ながらDiv
・10%ブドウ糖500ml or 50%ブドウ糖200mlに速攻型インスリン10〜20単位を様子みながら点滴静注(100ml/h〜全開で)
・50%ブドウ糖50mlのみを静注し、急速なインスリン分泌を促す
・50%ブドウ糖50ml〜100mlに速効型インスリン10単位を60秒で静注
・50%ブドウ糖50mlに速効型インスリン10単位で1時間で投与
・50%ブドウ糖50mlに速効型インスリン50単位で少量持続投与。
・・・・・・・などなど

炭酸水素ナトリウム(8.4%メイロン® 1000mEq/l)
※pHを上昇させることでカリウムを細胞内に移動(アシドーシスでKが上昇する機序の逆)。
・20ml〜60ml程度を緩徐に静注。Na負荷となるため心不全や腎不全患者には注意して投与する。
・上記の製剤だと20〜60mEq/l。
β刺激薬(ベネトリン®など)
※日本では一般的には行われていない
・サルブタモール10〜20mgを15分かけて吸入(重症喘息に用いる量の数倍なので心臓への負荷増大に留意)
・アルブテロール20mgなど。
・30分以内に血清カリウム濃度が低下する。
過換気にする
※アルカローシスにすることでカリウムを細胞内に移動させる


体内総カリウム量を減少させる(カリウムの排泄)

ループ利尿薬

※腎臓でのナトリウムの再吸収を阻害するが、その過程でNa/K交換系によりカリウムを消費(排出)することで血清カリウムを低下させる。
・フロセミド(ラシックス®)10〜20mg投与。
陽イオン交換樹脂
※作用発現が遅く(1時間程度)、術中の高カリウム血症の緊急治療には向かない。
・ケイキサレート50gをぬるま湯200mlに混ぜて注腸。
透析(HD、CHDF)
※一番効果が期待でき確実な方法。他の治療が奏功しない場合には術中からも行うことがある。







□参考文献、図書、Web

1) MGH麻酔の手引き p53-54
2)SICU pearls p74
3) 麻酔への知的アプローチ p410
4)麻酔科エラーブック p277-280
5)麻酔科シークレット第2版 p30 87 163
6)ICU実践ハンドブック p282
7)レジデント初期研修資料ヒントブック p193-194
8)問題解決型救急初期検査 p206-209








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