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57歳の女性。身長154cm、体重58kg。肝癌に対して肝右葉切除術が予
定された。血清ビリルビン2.2mg/dl、血小板10.3万/mm3、血清アルブ
ミン2.9g/dl、PT-INR1.2、プロトロンビン時間95%、腹水なし、脳症
なし、HCV抗体陽性であった。
質問
1)術前評価と管理
①肝臓の術前評価について述べてください。
2)麻酔法および術中管理
①本症例で硬膜外麻酔の適応についてどのように考えますか。
②全身麻酔管理中に注意する点について述べてください。
3)術後疼痛管理
①術後鎮痛について説明してください。
②PCA(patient-controlled analgesia)について説明してください。
③本症例の術後鎮痛を持続硬膜外ブロックにPCEA用いて行う場合どのようにし
ますか具体的に述べてください。
4)周術期危機管理
①術後覚醒遅延が生じました。考えられる原因を列挙してください。
1)術前評価と管理
①肝臓の術前評価について述べてください。
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・背景疾患(ウイルス、アルコールなど)
・腹水の有無
・静脈瘤の有無
・肝肺症候群、肝腎症候群の有無、可能性
・ICG15チェック
・血液ガス
・スパイロ
Child分類
Child-Pugh分類
1点
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2点
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3点
| |
脳症
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ない
|
軽度
|
ときどき昏睡
|
腹水
|
ない
|
少量
|
中等度
|
血清Bil
|
<2.0
|
2.0〜3.0
|
3.0<
|
血清Alb
|
>3.5
|
2.8〜3.5
|
2.8>
|
PT%
|
>超
|
40〜70
|
40>
|
A:5〜6 B:7〜9 C:10〜15
※周術期死亡率(30日以内)A:10% B:30% C:80%
コリンエステラーゼ
肝で合成・分泌。半減期3〜4日のためタンパク合成能の鋭敏な指標。正常値の1/3以下で予後不良
アンモニア
門脈−体循環シャントや肝内シャントあるとき上昇
ICG試験
10%以下なら正常です。
2)麻酔法および術中管理
①本症例で硬膜外麻酔の適応についてどのように考えますか。
・数値的には適応を満たしていると思われるが、肝硬変が進行している場合は、硬膜外腔の静脈が怒張して出血をきたしやすい可能性もあるため、適応的には境界であるかと思われる。
②全身麻酔管理中に注意する点について述べてください。
・肝門部処理〜肝臓切除中の出血に留意する。
・アルブミンも低いため血管内容量が不足しがちであるため、細胞外液の無策な投与よりはアルブミン(施設によって初めからFFP)投与を行い、容量を保つ。
・筋弛緩薬の効果が遷延する可能性あり。筋弛緩モニターを使用。
3)術後疼痛管理
①術後鎮痛について説明してください。
・硬膜外麻酔を併用している場合は0.2%ロピバカインとフェンタニルによるPCEAで行う。フェンタニルは当院では4μg/mlになるように混ぜ5ml/hで投与。3mlのPCAキット付。
・硬膜外チューブを留置していなければIV-PCAで行う。フェンタニル15~30μg/hで投与し、PCAは15~30μg。ロックアウトタイムは10分程度で。
②PCA(patient-controlled analgesia)について説明してください。
・術後疼痛に対してベースとなる鎮痛投与に加え、傷みが強い場合に患者自身が鎮痛薬を追加投与する方法。過量投与を防ぐためにロックアウトタイムが設けられている。
③本症例の術後鎮痛を持続硬膜外ブロックにPCEA用いて行う場合どのようにし
ますか具体的に述べてください。
・上述
4)周術期危機管理
①術後覚醒遅延が生じました。考えられる原因を列挙してください。
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大きく分けて患者要因、麻酔・薬剤要因
1)患者要因
Ø 肝機能・腎機能障害
Ø 甲状腺機能低下症(コントロール不良だと基礎代謝が低下しており、心拍出量低下、体温低下などで)
Ø 中枢神経系疾患(脳梗塞・脳出血)
Ø 高齢者(臓器クリアランスの低下と分布容量の増加により血中濃度が増加傾向。高齢者は薬力学的変化はほとんど認められないが、薬物動態は若年者とくらべて大きう変化する
Ø 肥満(吸入麻酔はほとんど関係ないらしい)
2)麻酔・薬剤要因
Ø 薬物過量投与
Ø 薬物相互作用
Ø 電解質異常
Ø 偶発的低体温
3)長時間手術
Ø 大量出血・輸血
Ø 脳外科手術など
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