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52歳の女性。身長158cm、体重45kg。変形性股関節症で股関節全置換が予定された。慢性腎不全がある。術前の血圧は180/70mmHg、心拍数は86/分、ヘモグロビンは9.5g/dL、血清クレアチニンは3.5mg/dL、血清カリウムは5.0mEq/Lであった。現在フロセミド、ジルチアゼム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート)を服用中。自己血を800ml準備している。
質問
1)術前評価と管理
①術前状態における問題点を列挙して下さい。
②麻酔科医としてさらに必要と思われる情報(検査等)を列挙して下さい。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔管理の要点を列挙して下さい。
②術中(術後)の腎機能増悪因子を列挙して下さい。
3)周術期危機管理
術前の心電図は正常でしたが、自己血が600ml輸血されたころから心電図が図(供覧)のようになってきました。Ⅱ誘導
①どのような所見がみられますか。
②心電図変化の原因として何を考えますか。
②血清カリウム値は7.0mEq/lで、心電図変化の原因は自己血輸血による高カリウム血症と考えられました。どんな治療をしますか。
4)術後管理
術後鎮痛で注意することは何ですか。
1)術前評価と管理
①術前状態における問題点を列挙して下さい。
・慢性腎不全(Cre 3.5↑);利尿薬、ケイキサレート内服中
・カリウムやや高め
・貧血
・高血圧
②麻酔科医としてさらに必要と思われる情報(検査等)を列挙して下さい。
・電解質やCreの推移
・クレアチニンクリアランス
・尿量は保たれているか?
・血液ガス
・心エコー
・慢性腎不全の原疾患(糖尿病の有無など)
・一般検査(血算、生化、凝固系など)
2)麻酔法および術中管理
①麻酔管理の要点を列挙して下さい。
・筋弛緩薬の使用は筋弛緩モニターを使用する(腎排泄依存が30%程度)
・抗生物質の投与量を考慮
・腎灌流圧をしっかりと保つ⇒血圧の管理。脱水を防止。
②術中(術後)の腎機能増悪因子を列挙して下さい。
・出血や循環血液量不足による腎灌流圧の低下(低血圧)
・交感神経系の緊張(腎血管の収縮が起こる)。浅麻酔、術後疼痛など。
3)周術期危機管理
術前の心電図は正常でしたが、自己血が600ml輸血されたころから心電図が図(供覧)のようになってきました。Ⅱ誘導
①どのような所見がみられますか。
・テント状T波(T波の増高)
②心電図変化の原因として何を考えますか。
・高カリウム血症
②血清カリウム値は7.0mEq/lで、心電図変化の原因は自己血輸血による高カリウム血症と考えられました。どんな治療をしますか。
※治療のポイントは、
①伝導遅延などの心臓に対する影響を軽減させ、
②細胞外から細胞内へのカリウムの移行を促し、
③体内総カリウム量を減少させる、こと
□グルコン酸カルシウムの投与
□グルコース・インスリン療法(具体的投与法は下記)
□ 炭酸水素ナトリウムや利尿薬(フロセミド)の投与
□過換気にする
□イオン交換樹脂(ケイキサレート50g+ぬるま湯200mlを注腸。効果発現は1時間)
□透析
□β刺激薬投与など
4)術後管理
術後鎮痛で注意することは何ですか。
・しっかりとした除痛(交感神経の緊張をできるだけ防止する)
・モルヒネは代謝産物のM6Gが腎排泄のため、腎機能障害があると副作用が出現しやすい。
・フェンタニルによるIV-PCAを用いる。
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