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2012年3月15日木曜日

46回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例3


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70歳の女性。身長158cm、体重52kg。S状結腸癌に対してS状結腸切除術が予定された。肝硬変があり腹水も認められている。血小板数6万/mm3、血清アルブミン2.5g/dl、プロトロンビン時間(PT)18.0秒(PT-INR 2.0、PT% 35%)であった。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を列挙して下さい。
②術前に必要な検査を挙げ、肝機能評価法について説明して下さい。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択し、その理由を説明して下さい。
②全身麻酔に用いる薬物を選択する上で考慮すべき点を述べて、具体的な方法について教えて下さい。
3)術後管理
①術後鎮痛の方法を具体的に説明して下さい。
②一般的に、フェンタニル持続静注、またはモルヒネの持続皮下注を行う場合には、どのくらいを用いますか?
4)周術期管理
①術後覚醒遅延が生じました。考えられる原因を列挙して下さい。




1)術前評価と管理
この患者の術前状態における問題点を列挙して下さい
・肝硬変(腹水、血小板減少、低アルブミン血症、PT-INR2.0と延長)
・腹水の量にもよるがフルストマックとして扱う
・高齢
術前に必要な検査を挙げ、肝機能評価法について説明して下さい
・腹部CT
・心、腹部エコー
・スパイロ
・背景疾患(ウイルス、アルコールなど)
・腹水の有無
・静脈瘤の有無
・肝肺症候群、肝腎症候群の有無、可能性
・ICG15チェック
・血液ガス
・スパイロ
Child分類
Child-Pugh分類

1
2
3
脳症
ない
軽度
ときどき昏睡
腹水
ない
少量
中等度
血清Bil
2.0
2.03.0
3.0
血清Alb
3.5
2.83.5
2.8
PT
>超
4070
40
A56 B79 C1015
※周術期死亡率(30日以内)A10% B30% C80
コリンエステラーゼ
肝で合成・分泌。半減期34日のためタンパク合成能の鋭敏な指標。正常値の1/3以下で予後不良
アンモニア
門脈−体循環シャントや肝内シャントあるとき上昇
ICG試験
10%以下なら正常です。
2)麻酔法および術中管理
麻酔法を選択し、その理由を説明して下さい
・全身麻酔単独。モニターは動脈ラインと中心静脈ライン。
・硬膜外麻酔は血小板減少と凝固能低下があるため行わない。
全身麻酔に用いる薬物を選択する上で考慮すべき点を述べて、具体的な方法について教えて下さい
・肝機能が低下していることを考慮すれば、レミフェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムで導入し、維持はイソフルランとレミフェンタニル、あるいはプロポフォールとレミフェンタニルのTIVAで行う。術中ロクロニウムを間欠的に用いたり、持続静注する場合には筋弛緩モニターでモニタリングを行う。
3)術後管理
術後鎮痛の方法を具体的に説明して下さい
・フェンタニルによるIV-PCAで行う。
一般的に、フェンタニル持続静注、またはモルヒネの持続皮下注を行う場合には、どのくらいを用いますか
・フェンタニル:15〜30μg/hをベースにPCAとして15~30μg。ロックアウトタイム10分
・モルヒネ:5mg/hをベースにPCAとして1mg。ロックアウトタイム20分。
※あくまで例です。施設ごとに色々な方法があると思います。
4)周術期管理
術後覚醒遅延が生じました。考えられる原因を列挙して下さい
大きく分けて患者要因、麻酔・薬剤要因
1)患者要因
Ø   肝機能・腎機能障害
Ø   甲状腺機能低下症(コントロール不良だと基礎代謝が低下しており、心拍出量低下、体温低下などで)
Ø   中枢神経系疾患(脳梗塞・脳出血)
Ø   高齢者(臓器クリアランスの低下と分布容量の増加により血中濃度が増加傾向。高齢者は薬力学的変化はほとんど認められないが、薬物動態は若年者とくらべて大きう変化する
Ø   肥満(吸入麻酔はほとんど関係ないらしい)
2)麻酔・薬剤要因
Ø   薬物過量投与
Ø   薬物相互作用
Ø   電解質異常
Ø   偶発的低体温
3)長時間手術
Ø   大量出血・輸血
Ø   脳外科手術など

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