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30歳の女性。身長155cm、体重87kg(非妊時75kg)。妊娠32週。血圧180/105mmHg、脈拍103回/分、両下肢に浮腫が著明で、蛋白尿(+)が認められた。子癇発作のため緊急帝王切開術の麻酔が依頼された。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態の問題点を列挙して下さい。
②術前の高血圧の対応について説明して下さい。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法として何を選択しますか。その理由について述べて下さい。
②選択した麻酔方法を具体的(使用薬剤の種類および量も含む)に述べて下さい。
3)周術期管理
①脊髄くも膜下麻酔後に血圧が著明に低下しました。考えられる原因を挙げて下さい。
②仰臥位低血圧症候群の病態と対処法について述べて下さい。
4)周術期危機管理
①術前訪問時、患者に子癇発作が生じていました。どのように治療しますか。
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態の問題点を列挙して下さい。
・高度肥満(妊娠してなくても)
・高血圧、浮腫、蛋白尿⇒妊娠高血圧症候群
・子癇発作⇒緊急事態
②術前の高血圧の対応について説明して下さい。
・ヒドララジンなどを用いて降圧。目標は120~140mmHg程度。下げすぎると子宮胎盤血流の減少を来す。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法として何を選択しますか。その理由について述べて下さい。
・脊髄くも膜下麻酔。
・高度肥満、妊婦の気道の特殊性(粘膜浮腫など)のリスクを考慮すると、迅速導入による全身麻酔は避けたほうがよいと考える。
②選択した麻酔方法を具体的(使用薬剤の種類および量も含む)に述べて下さい。
・Th12/L1程度付近より硬膜外チューブ留置。テストは1%メピバカイン3ml。
・L3/4付近より脊髄くも膜下麻酔。等比重マーカイン2.2〜2.5cc程度使用。
3)周術期管理
①脊髄くも膜下麻酔後に血圧が著明に低下しました。考えられる原因を挙げて下さい。
・局所麻酔薬の過量投与による血管拡張。
・仰臥位低血圧症候群
②仰臥位低血圧症候群の病態と対処法について述べて下さい。
・腹腔内(巨大)腫瘤や妊娠末期の妊婦の妊娠子宮により、仰臥位をとった際に大血管(大動脈や下大静脈)を圧迫することで静脈灌流が減少し、それに伴い心拍出量が低下し低血圧を起こす病態。特に全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔により腹壁の緊張が取れると起こりやすい。
・対処は昇圧薬や急速輸液、子宮の左方移動(用手的もしくは左側臥位を一旦とったり、ベッドを左に傾けたり)。
4)周術期危機管理
①術前訪問時、患者に子癇発作が生じていました。どのように治療しますか。
Ø 予防にはマグネシウムが使用される(4〜6gを15〜20分で静注後、2g/時で持続静注
Ø 痙攣が起きたらジアゼパムを10mg静注。鎮静が得られるまで繰り返す。重積するなら筋弛緩薬投与、挿管、人工呼吸管理。
Ø 痙攣再発予防にはフェニトインも有用
Ø バイトブロックをかませる(舌・口唇の咬傷予防)
Ø 母体最優先であるが、胎児モニターも。胎児徐脈が続く場合は常位胎盤早期剥離が疑われる。
Ø 分娩子癇では基本的に経腟分娩。分娩終了まで時間がかかる場合には帝王切開。
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