52回まとめファイルについての最新情報は こちら から
51回専門医試験の体験記については こちら から
51回まとめファイル購入者の方々の結果と寄せられた声は こちら から
お問い合せ、体験談、筆記試験採点結果は classicanesthesia2@gmail.com まで
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
68歳の男性。身長 164 cm、体重 80 kg。胸椎椎間板ヘルニア(T7-8)に対して前方固定術が予定された。50年の喫煙歴(20本/日)がある。%VCが70%、 %FEV1.0 が60%で、胸部CTで気腫性変化と両側のブラが認められた。
質問
1)術前評価と管理
①術前状態における問題点を列挙して下さい。
②喫煙歴のある患者の術前準備の要点を列挙して下さい。
2)麻酔法および術中管理
①手術は左開胸で行われることになりました。この症例の麻酔管理の要点を術前の問題点と関連させながら列挙して下さい。
②麻酔法・気管挿管チューブ・モニターは何を選択しますか。
③術中の換気方法について具体的に説明して下さい。
3)周術期危機管理
100%酸素で片肺換気開始30分後に急に経皮的酸素飽和度が90%以下になりました。
①原因として何を考えますか。
②精査の結果、換気側に気胸が発生したことが低酸素血症の原因でした。どう対処しますか。
1)術前評価と管理
①術前状態における問題点を列挙して下さい。
・比較的高齢
・肥満
・長年の喫煙歴
・混合性換気障害
・肺気腫+両側のブラ
②喫煙歴のある患者の術前準備の要点を列挙して下さい。
・喫煙者では、気道分泌物の増加や気道過敏性の亢進(禁煙後24〜48時間で改善傾向を
示すが、十分な改善にはおよそ1週間以上を必要とする)が認められる
・禁煙後数日で気道刺激性の分泌物は低下するが、1週間程度から気道の粘膜線毛上皮の回
復に伴う一過性の喀痰排泄量増加が認められる。この時期に一致して術後呼吸器合併症の頻
度は逆説的に増加し、明らかな術後呼吸器合併症の低下傾向を認めるのは、禁煙4週後以降
である。
・わずか24時間の禁煙であっても、一酸化炭素ヘモグロビンには有意な低下が認められ
(一酸化炭素ヘモグロビンの半減期は通常3〜4時間とされ、禁煙後8時間を経過すれば動
脈血中酸素含量の増加が認められる)、酸素含量の低下や酸素解離曲線の左方移動のような
一酸化炭素ヘモグロビンに伴う不利を回避することができる。これは虚血性心疾患を伴う患
者では特に重要であり、ニコチン濃度の低下による頻脈や高血圧の減少も有利に働く
・去痰剤やうがいも励行する。
2)麻酔法および術中管理
①手術は左開胸で行われることになりました。この症例の麻酔管理の要点を術前の問題点と関連させながら列挙して下さい。
・肺気腫があり、両側にブラも存在していることから、呼吸時のプラトー圧が30cmH2O未満に抑える(PCV管理が望ましいか)。
・肥満による胸郭コンプライアンス低下もあるため回路内圧、PCVの場合は換気量低下に気をつける。
・肺気腫、肥満より換気血流不均等が生じやすいため、片肺換気時の低酸素血症に気をつける(非換気側に酸素吹流しやCPAPをかける。適宜両肺換気を行う。適切にPEEPをかけ、換気肺の虚脱を防ぐ)
②麻酔法・気管挿管チューブ・モニターは何を選択しますか。
・硬膜外併用全身麻酔。チューブは左用ダブルルーメンチューブ。
・モニターは動脈ライン。
③術中の換気方法について具体的に説明して下さい。
・上述
・酸素化が保たれていれば、高二酸化炭素血症は容認。(圧が高くならないように換気量を抑えたり、PCVで換気量が低下する場合)。
3)周術期危機管理
100%酸素で片肺換気開始30分後に急に経皮的酸素飽和度が90%以下になりました。
①原因として何を考えますか。
・徐々にであれば換気血流不均等によるものの可能性が高いため、上述したような方法で酸素化に努める。
・チューブトラブル(チューブのずれ、屈曲、分泌物による閉塞、回路の外れなど)
・手動換気したあとの、呼吸器の作動し忘れ。
・気管支喘息
・無気肺
・肺塞栓
・ブラの破裂による気胸 など
②精査の結果、換気側に気胸が発生したことが低酸素血症の原因でした。どう対処しますか。
・術者に知らせ、手術の中止。
・できれば術野をドレーピングし仰臥位に。
・時間的余裕がなく(緊張性気胸)循環が保てない場合は、16~18Gを鎖骨中線上の第2ー3肋間に刺す。
・胸腔ドレーンを挿入(中腋窩線上の第5−6肋間)
0 件のコメント:
コメントを投稿