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49歳の男性。身長182 cm、体重65 kg。肺野の異常陰影に対して胸腔鏡下肺生検術が予定された。9年前より経口糖尿病薬、4年前の一過性脳虚血発作後より塩酸チクロピジンを服用している。2年前に直腸癌で低位前方切除術を受けた。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を列挙して下さい。
②この症例の術前・術後における内服薬の指示はどのようにしますか。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔方法とその選択の理由について述べて下さい。
②チクロピジンは10日前に中止され、術直前までヘパリンが投与されていました。硬膜外麻酔を施行するとしたら、具体的にどうしますか。
3)周術期管理
①周術期脳血管障害の予防法について述べて下さい。
4)周術期危機管理
①術中に突然SpO2が90%以下に低下しました。どのように対処しますか。
②麻酔終了から1時間たってもなかなか覚醒しません。どのようなことが起ったと考えますか。
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を列挙して下さい。
・糖尿病
・TIA
・TIAに対するチクロピジンの内服中
②この症例の術前・術後における内服薬の指示はどのようにしますか。
・経口糖尿病薬は当日は中止し、当日朝、搬入前に血糖チェック。
・チクロピジンは主治医、神経内科(脳外科)と相談し中止できるならば7〜10日前に中止。必要ならヘパリンを使用。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔方法とその選択の理由について述べて下さい。
・全身麻酔単独(+硬膜外麻酔)※自分なら硬膜外はしません。開胸するならばしますが。
・胸腔鏡のみで手術可能であれば疼痛コントロールも比較的容易であるので。
・硬膜外麻酔併用で行うなら、やはり鎮痛効果が優れており、術後(抜管後)の浅呼吸も予防できる。
②チクロピジンは10日前に中止され、術直前までヘパリンが投与されていました。硬膜外麻酔を施行するとしたら、具体的にどうしますか。
・術前4〜6時間前に中止し、搬入前にACT測定。150秒未満なら硬膜外施行(施設によっては180秒まで可能なところもあるみたいです)。
・低分子ヘパリンの場合は穿刺まで12時間間隔を空ける。
3)周術期管理
①周術期脳血管障害の予防法について述べて下さい。
・脳潅流圧を保つ(極端な低血圧を避ける)
・脱水を避ける。
4)周術期危機管理
①術中に突然SpO2が90%以下に低下しました。どのように対処しますか。
・まずは回路・チューブトラブル(屈曲、分泌物による閉塞、回路の外れなど)、器機の異常(脱落や外れかけなど)を除外。
・片肺換気中に徐々にであれば、非換気肺に酸素を吹流したりCPAPをかける。換気肺にPEEPをかける。適宜両肺換気を。
・突然であれば肺塞栓や換気肺の気胸発生を疑う。肺塞栓、気胸の対応は既出なので割愛。
②麻酔終了から1時間たってもなかなか覚醒しません。どのようなことが起ったと考えますか。
大きく分けて患者要因、麻酔・薬剤要因
1)患者要因
Ø 肝機能・腎機能障害
Ø 甲状腺機能低下症(コントロール不良だと基礎代謝が低下しており、心拍出量低下、体温低下などで)
Ø 中枢神経系疾患(脳梗塞・脳出血)
Ø 高齢者(臓器クリアランスの低下と分布容量の増加により血中濃度が増加傾向。高齢者は薬力学的変化はほとんど認められないが、薬物動態は若年者とくらべて大きう変化する
Ø 肥満(吸入麻酔はほとんど関係ないらしい)
2)麻酔・薬剤要因
Ø 薬物過量投与
Ø 薬物相互作用
Ø 電解質異常
Ø 偶発的低体温
3)長時間手術
Ø 大量出血・輸血
Ø 脳外科手術など
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