さらりーまん麻酔科医の専門医試験対策ページです。これからもよりよい対策資料を作っていきたいと思っています。 何かご相談などあればいつでもメールください。 ※ブログ引っ越しました。
2012年3月17日土曜日
46回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例11
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56歳の男性。身長178cm、体重55kg。左橈骨骨折術後の抜釘術が予定された。小児期から気管支喘息があり、一年に数回、特に季節の変わり目に喘息発作が起こる。1ヶ月前にも発作が起こり、ステロイド吸入と気管支拡張薬の吸入療法を受けた。
質問
1)術前評価
①術前回診で必要な問診と検査について述べて下さい。
2)麻酔法および術中管理
①この症例で選択する麻酔方法について理由を付けて説明して下さい。
②この症例を腕神経叢ブロックで行う場合どのようなアプローチがありますか。
あなたが選んだアプローチの利点と合併症を挙げて下さい。
③この症例を全身麻酔で行うとすればどのような麻酔管理をおこないますか。
④術後鎮痛はどのようにしますか。
3)周術期危機管理
①術中に突然SpO2が90%以下に低下しました。どのように対処しますか。
1)術前評価
①術前回診で必要な問診と検査について述べて下さい。
気管支喘息についての問診
・発作の頻度と程度
・最終発作
・治療内容(吸入や内服薬)、治療の反応性
スパイロ
2)麻酔法および術中管理
①この症例で選択する麻酔方法について理由を付けて説明して下さい。
・LMA(アイジェル)挿入による全身麻酔(少量フェンタニルとセボフルラン)。発作が起きれば気管挿管に切り替える(LMAを通して挿管可能)。
・吸入麻酔薬は強力な気管支拡張作用を持つため。
・気管挿管による気管の刺激を避けるため(完全に発作を抑制できるわけではないが)。
・施設によってはマスクホールド(酸素・笑気・セボフルランなど)と局所浸潤麻酔だけでされているところもありました。
・最近では腕神経叢ブロックも積極的に行われていると思います。
②この症例を腕神経叢ブロックで行う場合どのようなアプローチがありますか。
あなたが選んだアプローチの利点と合併症を挙げて下さい。
・腕神経叢ブロックには、斜角筋間、鎖骨上、鎖骨下、腋窩法アプローチがある。
・このうち鎖骨下、腋窩アプローチは撓骨神経領域の麻酔が不十分になる傾向があるためブロック単独でするには不安が残る。
・斜角筋間アプローチか鎖骨上アプローチが望ましい。気管支喘息のことを考慮すれば横画神経麻痺必発の斜角筋間よりは横隔神経麻痺発生率が約半数の鎖骨上アプローチがよいだろうか。
・鎖骨上アプローチの合併症としては、気胸、横隔神経麻痺、血管内注入、星状神経節ブロックが起こりうる。
※こだわりの局所麻酔 高崎真弓著 pp28より
③この症例を全身麻酔で行うとすればどのような麻酔管理をおこないますか。
・上述
④術後鎮痛はどのようにしますか。
・NSAIDsは避けたい。
・アセトアミノフェン、疼痛が強ければ(抜釘の場合あまりいたがらないですが・・)ペンタゾシンを併用。
・フェンタニルIV-PCAをするほどではないと思います。
3)周術期危機管理
①術中に突然SpO2が90%以下に低下しました。どのように対処しますか。
・全身麻酔中であれば、回路・チューブトラブル、気管支喘息発作、肺塞栓など。
状況的には喘息発作が考えやすい。回路トラブルがなく、聴診で気道狭窄音が聴取でき、回路内圧が上昇していて喘息発作が最も疑わしいのであれば、吸入酸素濃度、吸入麻酔薬濃度を上昇させ、ステロイドや気管支拡張薬の使用を考慮する。
・腕神経叢ブロック施行後であれば、鎖骨上・斜角筋間アプローチなら気胸の発生が疑わしい。酸素吸入。胸部聴診し左右差があるようならば気胸。余裕があるならば胸部レントゲンで確定診断を得る。
・急速に循環動態が悪化する(緊張性気胸)ようであれば、トロッカーの準備に時間がかかるようであれば16〜18G針を鎖骨中線上の第2〜3肋間に穿刺し脱気する。
・トロッカーの準備ができれば中腋窩線第5〜6肋間に挿入。
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