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2012年3月17日土曜日

45回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例1

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29歳女性。身長152cm、体重87kg。妊娠39週初産婦。血圧158/97mmHg、心拍数103bpm、両下肢に浮腫が著明に認められる。蛋白尿2+。ヘモグロビンは12.2g/dl。胎児仮死の診断で緊急帝王切開が申し込まれた。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を列挙してください。
②術前に必要な検査を挙げ、説明してください。
2)麻酔法および術中管理
①胎児仮死の緊急度およびあなたが所属する施設のシステムを考慮して麻酔法を選択し、その理由を説明してください。あなたが選択しなかった麻酔法ではいけない理由も説明してください。
②輸液の投与法について具体的に述べてください。
3)周術期危機管理
①児娩出後、呼気終末二酸化炭素分圧低下と血圧の著明な低下を認めました。どのように対処しますか?
4)術後管理
①術後鎮痛の方法を具体的に説明して下さい。




1)術前評価と管理
この患者の術前状態における問題点を列挙してください
・高度肥満
・高血圧、浮腫、蛋白尿⇒妊娠高血圧症候群
・頻拍(β刺激薬の影響?循環血液量不足)
・胎児仮死
術前に必要な検査を挙げ、説明してください
・(余裕がある待機的手術であれば下肢静脈エコーも施行しておきたいが)
・採血(血算、生化、凝固系、D-dimer、血糖値、AST/ALTなど)
2)麻酔法および術中管理
胎児仮死の緊急度およびあなたが所属する施設のシステムを考慮して麻酔法を選択し、その理由を説明してください。あなたが選択しなかった麻酔法ではいけない理由も説明してください

                  Categorisation of urgency of Caesarean section
GradeDefinition (at time of decision to operate)
Category 1     Immediate threat to life of woman or fetus
Category 2     Maternal or fetal compromise, not immediately life-threatening
Category 3     Needing early delivery but no maternal or fetal compromise
Category 4     At a time to suit the woman and maternity team
   ※Anaesthesia 2006 Emergency caesarean section : best practice  Levy DM.

カテゴリー1(胎盤早期剥離など)では一刻の猶予もないので、全身麻酔を選択する。病態の進行によりDICを発症する可能性もあるため、脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔は施行しない。カテゴリー2以下では凝固系異常がなければ区域麻酔を行う。

輸液の投与法について具体的に述べてください
・18G以上で1〜2本。区域麻酔を行う場合は麻酔手技を施行しながら1本は全開で投与。その後は血圧を見ながら調節。適宜昇圧薬を使用。過剰輸液は浮腫を助長する。
・全身麻酔の場合は搬入時から全開投与。あとは適宜。
3)周術期危機管理
児娩出後、呼気終末二酸化炭素分圧低下と血圧の著明な低下を認めました。どのように対処しますか
・DVTによる肺塞栓(羊水塞栓の可能性も?)の可能性が高い。全身麻酔の場合は回路トラブルや測定機器の以上の有無をすばやくチェック。
・術者に対する報告と応援麻酔科医を呼ぶ。
・100%酸素投与、輸液、昇圧薬を使用。循環が保てない場合は緊急挿管、TEEで診断確定。
4)術後管理
術後鎮痛の方法を具体的に説明して下さい・フェンタニルによるIV-PCA。15~30μg/h。PCAとして15~30μg。ロックアウトタイム10分。
・硬膜外チューブを留置していれば0.2%ロピバカイン+フェンタニルによるPCEA。
・麻薬の病棟使用がためらわれる施設では適宜座薬やペンタゾシン静注で対応。

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