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2012年3月17日土曜日

45回麻酔科専門誌試験:口頭試問 症例2

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45歳男性。身長169cm、体重52kg。手根管症候群に対して手根管開放術が予定された。糖尿病性腎症で血液透析を受けている。血圧170/80mmHg、心拍数84bpmであった。空腹時血糖は181mg/dl、血液透析後のヘモグロビン濃度8.1g/dl、血清カリウム4.3mEq/k、血清カルシウム8.4mg/dlであった。
質問
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を列挙してください。
②術前に必要な検査を挙げ、説明してください。
③貧血を是正しますか?
④低カルシウム血症をどうしますいか?
⑤糖尿病の評価、コントロールはどうしますか?
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択し、その理由を説明してください。
②麻酔導入の方法と使用する薬剤について具体的に述べてください。
③研修医が「スキサメトニウムを使いたい」と言った時、どうしますか?
3)周術期危機管理
①全身麻酔で管理し、終末呼気二酸化炭素分圧が25mmHgで経過していたときにSTがさらに低下した。どのように対処しますか?
②術前術後の透析スケジュールについて述べて下さい。
③一般に透析患者に輸液や薬剤を使用する際にどのようなことに注意しますか?
4)術後管理
①術後鎮痛の方法を具体的に説明してください。




1)術前評価と管理
この患者の術前状態における問題点を列挙してください
・糖尿病
・血液透析患者
・高血圧
・貧血
・低Ca血症
術前に必要な検査を挙げ、説明してください
・一般検査(レントゲンや一般採血、凝固)
・エコー(心臓、頸動脈、下肢静脈)
・スパイロ
・血液ガス
・透析に関する情報(Kの推移、透析中の意識消失や胸部症状の有無、平均除水量など)
貧血を是正しますか
・絶対的適応ではない
・手術的にはほとんど出血はない。
・透析中の胸部症状などのエピソードがある場合などはHb10g/dl程度を目標に輸血してもよいかもしれない。
低カルシウム血症をどうしますいか
・透析患者では低アルブミン血症が存在することが多い。
補正Ca濃度(mg/dl)=血清Ca濃度(mg/dl)-血清アルブミン濃度(g/dl)+ 4 
・みかけだけのものであれば積極的な補正は必要ないと思われる。
糖尿病の評価、コントロールはどうしますか
・200mg/dlを超えないように速効型インスリンでコントロール。
・HbA1cなどの記載がないが、空腹時血糖も180台と高値であるため、コントロールがよいとは言えないか。
2)麻酔法および術中管理
麻酔法を選択し、その理由を説明してください
・気管挿管による全身麻酔。
・糖尿病、透析患者であり、胃内容排出時間は遅延し消化管運動も低下している可能性があるため迅速導入が無難か。

・手術時間も短いため、上記のことをあまり気にしなければLMAを用いた全身麻酔もよいかもしれない。
・腕神経叢ブロックで行なっている施設も多数あるかと思います。
麻酔導入の方法と使用する薬剤について具体的に述べてください
・レミフェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムによる導入。維持はレミフェンタニル、プロポフォールによるTIVA。(薬剤量は個人個人の使用法で)
研修医が「スキサメトニウムを使いたい」と言った時、どうしますか
・許可しない
・ロクロニウム、スガマデックスが発売された現在となっては高カリウム血症などの副作用のあるスキサメトニウムを透析患者にあえて投与する有用性が見当たらない。とは言い過ぎでしょうか・・?
3)周術期危機管理
全身麻酔で管理し、終末呼気二酸化炭素分圧が25mmHgで経過していたときにSTがさらに低下した。どのように対処しますか
・術者に知らせる。
・応援麻酔科医を呼ぶ
・鑑別診断としては肺塞栓や虚血性心疾患か。過換気による冠動脈の収縮が原因であれば是正する。
・TEEを行い診断を得る。
術前術後の透析スケジュールについて述べて下さい
・当院では手術前日に透析を行い。術後は術中よほど出血したりCHDFを回したりするようなことがなければ翌日に行う。
一般に透析患者に輸液や薬剤を使用する際にどのようなことに注意しますか
・抗生物質に関しては腎機能に応じて減量。
・筋弛緩薬はTOFウォッチを使用しながら最低限の使用。透析患者に対するスガマデックスの使用に関してはいろいろ議論があるようです(排泄されないため)
・輸液は基本的には維持投与+不感蒸泄や出血を考慮した量で。
4)術後管理
術後鎮痛の方法を具体的に説明してください
・あまり疼痛の訴えが強くない手術ではあるが、積極的に鎮痛を図るのであればフェンタニルによるIV-PCAを。手術終了前や開始時に局所浸潤麻酔をしてもらっておく。

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