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12歳の女児。身長150cm、体重43kg。右膝前十字靭帯損傷に対して膝関節鏡および靭帯再建術が予定された。気管支喘息に対して5年前から治療を受けている。患者は術中に意識がないことを強く希望している。
質問
1)術前評価と管理
①術前訪問で患者および家族に確認することを列挙してください。
2)麻酔法および術中管理
①患者の両親から「局所麻酔と全身麻酔の喘息に対する危険性について説明してもらいたい」との話がありました。どのような説明をしますか。
②全身麻酔を施行する場合の手順を説明してください。
③全身麻酔単独の場合、術後鎮痛はどのように行いますか。
3)周術期危機管理
全身麻酔導入時、気管挿管施行直後に気道内圧が上昇し、バッグが硬くなった。
①気管支喘息と鑑別するものを列挙してください。
②喘息発作が確認されたあとの対応を列挙してください。
③もし、手術前日に喘息発作が起きた場合(直ちに内科医により治療が施行された後に麻酔科医が術前訪問した)は、どのように対処(外科医と家族への説明を含む)しますか。
1)術前評価と管理
①術前訪問で患者および家族に確認することを列挙してください。
・普段の発作の頻度と程度
・発作時の治療内容(吸入や内服、入院の有無など)
・最終発作
・他のアレルギー疾患の有無
・現在の症状
2)麻酔法および術中管理
①患者の両親から「局所麻酔と全身麻酔の喘息に対する危険性について説明してもらいたい」との話がありました。どのような説明をしますか。
※局所麻酔は脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔として。
局所麻酔の場合
・背中からする麻酔で下半身を麻痺させる麻酔であること。・基本的には喘息に対しては影響は少ないが、麻酔高が上がりすぎると、気管支収縮を起こし喘息発作が生じてしまう危険があること。
全身麻酔の場合
・気道確保のための道具(LMAや気管挿管)の刺激で気管支喘息発作を誘発する可能性がある。
②全身麻酔を施行する場合の手順を説明してください。
・12歳であれば点滴はとってきているものと考える。
・もし点滴がなければ酸素吸入後にセボフルランによる緩徐導入するか、点滴をとったのちに、レミフェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムで導入し、維持はプロポフォール、レミフェンタニルによるTIVAを行う。
③全身麻酔単独の場合、術後鎮痛はどのように行いますか。
・覚醒前にフェンタニルを投与しておく。フェンタニルには気管支収縮作用や気道内圧上昇作用があると言われているが、臨床的にはほとんど問題なく、抗原性の気管収縮を抑制するというデータもあるため、覚醒前にフェンタニル100μg程度投与しておくか、アンヒバ座薬を挿肛しておく(200mg)。術後は病棟で適宜座薬を使用するか、疼痛が強い場合はペンタゾシンなどを投与。
※Anesthesia&Analgesia・104巻5号 1103-1108 2007年 西岡健治ら
3)周術期危機管理
全身麻酔導入時、気管挿管施行直後に気道内圧が上昇し、バッグが硬くなった。
①気管支喘息と鑑別するものを列挙してください。
・チューブの屈曲
・分泌物の貯留
・気管支痙攣
・食道挿管・・
②喘息発作が確認されたあとの対応を列挙してください。
・吸入麻酔薬(セボフルランなど)を投与
・ステロイド、気管支拡張薬投与考慮
・発作が重症の場合はエピネフリン皮下注考慮
③もし、手術前日に喘息発作が起きた場合(直ちに内科医により治療が施行された後に麻酔科医が術前訪問した)は、どのように対処(外科医と家族への説明を含む)しますか。
・手術の緊急性は社会的理由以外は皆無であると思われるため延期を勧める。
・家族にも喘息の重積発作による死亡や比較的長期の人工呼吸管理の危険性があるため延期を勧める。
・気道の過敏性が亢進しており危険。
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