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65歳男性。身長170cm、体重65kg。2年前に急性心筋梗塞を起こし、ステントが留置された。以後ワルファリン、アミオダロンを内服している。胃がんに対して胃全摘術が予定された。PT活性30%、PT-INR2.0である。心エコー図検査では左室駆出率は30%であった。
質問
1)術前評価と管理①この患者において心合併症を起こす周術期リスクについてどのように説明しますか。
②術前のワルファリンと抗凝固療法について述べて下さい。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法は何を選択しますか。
②基本的モニタリング以外に術中モニターは何を使用しますか。また、その理由はなんですか。
3)周術期危機管理
①術中に門脈を損傷し、出血量が1,500mlとなった。どのように輸液・輸血管理を行いますか。
②もし、MAP血を輸血すると、何単位くらい必要ですか。出血20分後のヘモグロビン濃度は7.5g/dlであったとします。
1)術前評価と管理
①この患者において心合併症を起こす周術期リスクについてどのように説明しますか。
虚血性心疾患の既往があり、通常の腹腔内手術であることから中等度リスク(5%以下)であると考えられる。しかし、アミオダロン内服中であるということは重症不整脈の発症も念頭に置きつつ、慎重に管理する必要があると思われる。
②術前のワルファリンと抗凝固療法について述べて下さい。
・ワルファリンについては5〜7日前に中止。未分画ヘパリン1万単位/day程度で開始。APTTを対照値の1.5〜2.5倍にコントロール。ACTの場合は200秒〜にコントロール。ヘパリンは手術開始前4〜6時間前に中止する。
・術後は外科医との協議で出血コントロールがOKならヘパリン再開。内服可能になればワルファリン内服再開。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法は何を選択しますか。
・全身麻酔単独
・硬膜外麻酔併用全身麻酔(搬入前にACT測定150秒以下であれば穿刺(施設によれば180秒まで)
②基本的モニタリング以外に術中モニターは何を使用しますか。また、その理由はなんですか。
・動脈ライン+中心静脈ライン(フロートラック、プリセップ)。心収縮能力がかなり低下しているため、心拍出量と輸液の指標をモニターしたい(CO、SVV、ScvO2)
3)周術期危機管理
①術中に門脈を損傷し、出血量が1,500mlとなった。どのように輸液・輸血管理を行いますか。
・心予備能はかなり定価していると考え、貧血を避けるために出来るだけ早く輸血を開始。準備できるまではHESなどの膠質液で急速出血時は対応。ただし、輸液過剰による心不全、肺水腫には留意する。出血のコントロールがつかないようであれば早めのFFPのオーダーも視野に入れる。
②もし、MAP血を輸血すると、何単位くらい必要ですか。出血20分後のヘモグロビン濃度は7.5g/dlであったとします。
・出血のコントロールがついていないようであれば、この時点での輸血必要量は正確には困難。自分であればRCC10単位FFP9単位程度はオーダーしておくが・・・。
・この時点で出血がある程度コントロールされていれば・・・
上昇Hb濃度(g/dl)=投与ヘモグロビン量/循環血液量(dl)
・RCC2単位のHb量はおよそ50g。この患者の循環血液量をおよそ5L、Hb濃度を10g/dl程度にしたいのであれば、上の式より4〜6単位のRCCが必要である。
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