さらりーまん麻酔科医の専門医試験対策ページです。これからもよりよい対策資料を作っていきたいと思っています。 何かご相談などあればいつでもメールください。 ※ブログ引っ越しました。
2012年3月18日日曜日
45回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例6
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71歳女性。身長154cm、体重82kg。子宮脱に対して膣式子宮全摘術が予定された。10年前から高血圧で内服治療を受けている。術前の血圧は166/89mmHg。脊髄くも膜下麻酔が施行された。
1)術前評価と管理
①この患者の術前の問題を列挙してください。
2)麻酔法および術中管理
①通常は同手術で、脊髄くも膜下麻酔単独で施行する場合はどのように行いますか。
②15分後に右優位のS領域の知覚低下のみが得られただけであった。脊髄くも膜下麻酔施行後の麻酔効果が十分に得られない原因を列挙してください。
③上記のような場合、どのように対処しますか。
3)周術期危機管理
翌日朝、外科医から連絡があり両側大腿部後面に知覚鈍麻と尿閉があるとの報告を受けた。
①鑑別診断を列挙してください。
②脊髄くも膜下麻酔で手術後の神経障害の考えられる原因を列挙してください。
③麻酔科医としてどのような指示をするか列挙してください。
1)術前評価と管理
①この患者の術前の問題を列挙してください。
・高齢
・高度肥満
・高血圧(術前も比較的高い血圧)
2)麻酔法および術中管理
①通常は同手術で、脊髄くも膜下麻酔単独で施行する場合はどのように行いますか。
・L3/4もしくはL4/5から0.5%高比重(等比重)ブピバカイン2〜2.5ml程度使用。
・必要麻酔高はT6以下が必要(子宮を下方に牽引するため)。子宮自体の支配神経は体部がT10-L1、頸部がT11-12およびS領域。
②15分後に右優位のS領域の知覚低下のみが得られただけであった。脊髄くも膜下麻酔施行後の麻酔効果が十分に得られない原因を列挙してください。
・脊柱管狭窄症で十分な広がりが得られなかった
・正中ではなかった(根部に近い場所に投与)
・局所麻酔薬がきちんとくも膜下腔に投与されなかった(硬膜外腔に入った)。
・体位の不良
・肥満のため仰臥位にした際に、脊椎が右に傾いていた(特に背部の脂肪が厚い場合)
・・などでしょうか。
③上記のような場合、どのように対処しますか。
・再穿刺は基本的に行わず、全身麻酔に切り替える。
3)周術期危機管理
翌日朝、外科医から連絡があり両側大腿部後面に知覚鈍麻と尿閉があるとの報告を受けた。
①鑑別診断を列挙してください。
・CSEAで行なっていれば薬液注入を中止して様子を見るが・・
・脊髄内血腫
・馬尾症候群
・一過性神経症候群
・脊髄虚血
②脊髄くも膜下麻酔で手術後の神経障害の考えられる原因を列挙してください。 ・馬尾症候群:局所麻酔薬の神経毒性による下肢運動麻痺、会陰部の知覚異常、膀胱直腸障害を症状とする下部脊椎神経根障害(ジブカインやテトラカインに多い)。感染や消毒液などによるとの説もあり。
・一過性神経症候群:リドカインで多い。下肢の痛みやしびれを主訴とした感覚障害優位な神経障害。一過性。
・脊髄虚血:フェニレフリンやエピネフリンを添加した場合に起こることがある
・脊髄内血腫:穿刺針による直接障害
③麻酔科医としてどのような指示をするか列挙してください。
・馬尾症候群であれば多くの場合数日で軽快する⇒経過観察。患者にそのように説明するが、場合によっては長引くこともありうることを伝える。
・脊髄内血腫、脊髄の直接損傷によるものが考えられる場合にはMRIで診断⇒ただし、症状が完全に治癒することは厳しい。
※麻酔科研修チェックノート第3版 pp295など
※手術別麻酔クイックメモ pp254-255
※痛みと鎮痛の基礎知識
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/pain-spinal.html#TNS
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