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2012年3月20日火曜日

45回麻酔科専門医試験:口頭試問 症例7


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75歳男性。身長160cm、体重75kg。上行結腸癌に対して右半結腸切除術が予定された。6ヶ月前に糖尿病による慢性腎不全とうっ血性心不全と診断され、フロセミド、グリペンクラミドを内服している。現在、浮腫や息切れはなく、血清クレアチニン6mg/dl、1日尿量1500ml、空腹時血糖220mg/dlであった。
質問
1)術前評価と管理
①術前状態における問題点を列挙してください。
②術前に必要な検査を挙げ、腎機能評価法について説明してください。
③糖尿病の評価について説明してください。
④術前投与されていた薬剤はどうしますか?
2)麻酔法および術中管理
①麻酔法を選択しその理由を説明してください。
②麻酔導入の方法とその理由を説明してください。
③慢性腎不全に対する処置、管理について説明してください。
④心不全患者の術中管理について述べてください。
3)術後管理
①術後管理で注意すべき点を述べてください。
②術後鎮痛の方法を具体的に説明してください。





1)術前評価と管理
術前状態における問題点を列挙してください
・高齢
・肥満
・消化管通過障害の可能性
・糖尿病
・慢性腎不全(糖尿病性腎症?)
・うっ血性心不全の既往
術前に必要な検査を挙げ、腎機能評価法について説明してください
・心エコー
・胸部Xp、スパイロ、一般採血(BNP、HbA1cも)、負荷心電図、Holter心電図で不整脈のチェック。活動度(NYHA)。
腎機能評価
・背景疾患の把握(今回は糖尿病と考えられる)
・クレアチニンクリアランス
・電解質異常の有無
・代謝性アシドーシスの有無
・腎性貧血の有無
糖尿病の評価について説明してください
・血糖の定時的な測定(低血糖発作の有無もチェック)
・HbA1c
・3大合併症(腎症、末梢神経障害、網膜症)
・無症候性心筋虚血の有無のチェック(負荷心電図、負荷心エコーなど)
・血管病変の有無(冠動脈、頸動脈)
・起立性低血圧の有無(自律神経障害)
術前投与されていた薬剤はどうしますか
・経口血糖降下薬は術当日は中止。血糖測定を行う。
・利尿薬は当日は中止(継続する施設もあるようです)
2)麻酔法および術中管理
麻酔法を選択しその理由を説明してください
・硬膜外麻酔併用全身麻酔。フロートラック、プリセップ挿入。TEE挿入
・硬膜外麻酔で十分な鎮痛を行い、術後も疼痛による頻脈などのバイタル異常を防ぐ。
・フロートラック、プリセップでSVVやScvO2をモニターすること、TEEによる評価で適切な輸液管理が行える。
・維持はプロポフォール、レミフェンタニルによるTIVA。適宜カテコラミンなどの循環補助薬を使用(硬膜外鎮痛をしっかりと行い、カテコラミン補助をしながら、少量フェンタニルを用いてもよいかもしれない)。
・術前心機能が悪化しているようであればフェンタニル中心の麻酔か。
・筋弛緩薬は筋弛緩モニターを用いながら使用。
麻酔導入の方法とその理由を説明してください
・フェンタニル、ミダゾラム、ロクロニウムで急速導入。循環抑制を最小限にする。
・術前心機能が問題ないようであればプロポフォールでもよいかと。
慢性腎不全に対する処置、管理について説明してください
・TEE、フロートラック、プリセップで必要十分量の輸液。
・精密尿量計による尿量測定
・脱水を避ける。
・hANPの使用もよいかもしれない。
心不全患者の術中管理について述べてください
・動脈ライン、CVカテーテル、TEEなどを用いて輸液の指標にする。
・収縮力の低下が見られるようであればカテコラミンやPDEⅢ阻害薬など投与を考慮
3)術後管理
術後管理で注意すべき点を述べてください
・血糖コントロール
・体温管理(シバリングで心筋酸素消費量増加)
・脱水による腎機能悪化を防ぐ。
・輸液過剰による心不全を防ぐ。

術後鎮痛の方法を具体的に説明してください
・フェンタニル+0.2%ロピバカインによるPCEA
・フェンタニルによるIV-PCA(硬膜外なければ)

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