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72歳の男性。身長168cm、体重74kg。直腸癌に対して、低位前方切除術が予定された。糖尿病と高血圧に対して、インスリン32単位/dayとアンギオテンシン受容体拮抗薬が投与されている。血圧146/92mmHg、心拍数88回/min、ヘモグロビン濃度9.8g/dl、血清クレアチニン2.2mg/dl、空腹時血糖182mg/dl、HbA1c8.8%であった。
質問
1)術前評価と管理①この症例の術前の問題点とその理由を挙げてください。
②この症例の症状をより良く把握するために、さらにどのような病歴聴取や検査を追加しますか。
③術前投与されていた薬剤はどうしますか。
2)麻酔法と術中管理
①麻酔はどのように行いますか
②周術期血糖管理の目的と方法について述べてください。
③術中輸液について述べてください。
3)術後管理
①術後疼痛管理について述べてください。
②術後合併症を述べてください。
1)術前評価と管理
①この症例の術前の問題点とその理由を挙げてください。
・高齢
・高血圧
・糖尿病(重症加算の)。コントロール不良
・腎機能障害(おそらく糖尿病性の)
・上記より虚血性心疾患のリスク大。
②この症例の症状をより良く把握するために、さらにどのような病歴聴取や検査を追加しますか。
・日頃の活動度。運動時の胸部違和感や圧迫感などの有無。
・心電図、負荷心電図や心筋シンチ、心エコー
・できればCAGや冠動脈CTなども。
・内頚動脈などの頸部動脈の狭窄の有無のチェック
・腎症以外の糖尿病合併症もチェック。網膜症や自律神経障害、末梢神経障害。起立性低血圧の有無など。
・電解質異常(低K血症)の有無など
③術前投与されていた薬剤はどうしますか。
・アンギオテンシン受容体拮抗薬は中止
・インスリンはスライディングスケールで使用。低血糖に注意。
2)麻酔法と術中管理
①麻酔はどのように行いますか
・硬膜外麻酔併用全身麻酔で行う。維持はレミフェンタニルとプロポフォールによるTIVA。
・術前評価で冠動脈狭窄や冠虚血の所見があれば冠動脈拡張薬(ニコランジルなど)を使用。
・動脈ライン留置。
・血糖を頻回に測定する。必要ならレギュラーインシュリンで200mg/dl以下にコントロール。
・尿量の確保。必要なら輸液を十分行いながら利尿薬の投与も。
②周術期血糖管理の目的と方法について述べてください。
□目的
・術後創感染のリスク上昇を抑える
・ケトアシドーシスの予防
・高血糖による浸透圧利尿を抑える。
□方法
・血糖値を測定し、血糖値を150~200mg/dl程度にコントロール
・糖は5g/h程度は投与
・低K血症に注意
※http://www.nms.ac.jp/hokuane/protocol_4.html 日本医科大学千葉北総病院麻酔科
③術中輸液について述べてください。
・ルートはボリュームラインに加えCVラインまたは維持輸液ラインを準備。
・維持輸液にはKと糖を含むものを。
・尿量を保つ。十分量の輸液を行なっているのに尿流出がない場合は利尿薬の投与も考慮。
・フロートラックやプリセップを用いていればよりよいかもしれない。
・出血に対しては通常通り外液やHESなどの膠質液を投与。
3)術後管理
①術後疼痛管理について述べてください。
・硬膜外チューブを留置していれば0.2%ロピバカインとフェンタニルによるPCEA。
・留置していなければフェンタニルによるIV-PCA。
②術後合併症を述べてください。
・創感染のリスク
・腎機能悪化のリスク
・IHD発症のリスク
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