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50歳女性。身長145cm、体重48kg。巨大卵巣腫瘍に対して、腹式子宮全摘術と両付属器切除術が予定された。腫瘍の径は約30cmで、仰臥位になれず、左側臥位で軽度の呼吸困難を訴えていた。術前酸素2L/min投与でpH7.46、PaCO2:46mmHg、PaO2:82mmHgであった。胸部X線写真で無気肺、胸水が認められた。
質問
1)術前評価と管理①この患者の術前状態における問題点を列挙してください。
②血ガス分析以外にどのような術前検査を検討しますか。
2)麻酔法および術中管理
①麻酔導入はどのようにしますか。具体的に述べてください。
②硬膜外麻酔を併用する場合の適応と注意点について述べてください。
3)周術期危機管理
①周術期肺血栓塞栓症の予防法を述べてください。
②麻酔中および周術期の肺血栓塞栓症の症状と治療法を述べてください。
③腫瘍摘出後、徐々に酸素分圧が低下し、気管吸引で泡沫様分泌物が吸引された場合、何を疑い、どのような処置をするかについて述べてください。
1)術前評価と管理
①この患者の術前状態における問題点を列挙してください。
・巨大卵巣腫瘍
・DVTの可能性
・仰臥位になれず軽度の呼吸困難あり
・若干のCO2の貯留
・無気肺、胸水の存在
②血ガス分析以外にどのような術前検査を検討しますか。
・スパイロ(できないかもしれませんが・・・)
・一般検査
・胸部腹部CTで胸水の量などもチェック
・下肢静脈エコー
2)麻酔法および術中管理
①麻酔導入はどのようにしますか。具体的に述べてください。
・巨大卵巣腫瘍があるためフルストマックとして対応する。
・仰臥位にはなれないので、座位もしくは左側臥位で十分に酸素化したのちに、仰臥位頭高位にしクリコイドプレッシャー下に迅速導入。仰臥位低血圧症候群も発生することを考え、太めの輸液ラインは留置しておく。その他動脈ラインを挿入。
②硬膜外麻酔を併用する場合の適応と注意点について述べてください。
・術前の凝固能異常がなく、側臥位をとることができれば施行可能(術前術後に抗凝固療法を行うのであればそれに対する対応をすれば可能)。
・術中の使用は仰臥位低血圧症候群を考慮すれば腫瘍摘出後からの使用か、手術終了前からの使用に留めておくのが無難か。
3)周術期危機管理
①周術期肺血栓塞栓症の予防法を述べてください。
・婦人科の骨盤内悪性腫瘍であるためVTEの高リスク群。
・間欠的空気圧迫法あるいはヘパリン投与でAPTTを対照値の1.5~2.5倍にコントロール。ACTなら250秒程度にコントロール。
②麻酔中および周術期の肺血栓塞栓症の症状と治療法を述べてください。
肺血栓塞栓症のまとめ参照。
③腫瘍摘出後、徐々に酸素分圧が低下し、気管吸引で泡沫様分泌物が吸引された場合、何を疑い、どのような処置をするかについて述べてください。
・下大静脈の慢性的な圧迫が急激に解除されたことによる静脈灌流の急激な増加により肺水腫を発症したものと思われる。
・あるいは慢性的な横隔膜挙上で圧迫されていた肺が、腫瘍摘出により急激に膨張し、再膨張性肺水腫を起こした可能性もある。
・吸入酸素濃度を上げ、PEEPをかける。
・TEEを挿入し心機能を評価。
・うっ血性心不全によるものであれば利尿薬も考慮。
・術後は挿管したままICUへ。
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