お知らせ

・57回版(最新)については”こちら"を参照
・55回の皆様の報告は"こちら"を参照
・55回の体験談については"こちら"を参照
・54回の結果と皆様の報告は”こちら”を参照
・54回の体験談については”こちら”を参照
・53回の結果と皆様の報告はについては”こちら”を参照
・53回の体験談については”こちら”を参照
52回試験の結果の詳細・感想については”こちら”、体験談は”こちら”を参照。
おすすめの本の紹介は”こちら”を参照。

2015年10月8日木曜日

体験談③(第54回麻酔科専門医試験)



<体験記>
3科目合格しました。口頭試問対策に資料を使わせていただきました。

筆記試験
過去問5年分を繰り返し、解きました。最初の1-2周は解説をよんで、理解しました。間違える問題は決まってきますので、そこだけメモをとって覚えるようにしました。以後は問題と答えをタイムトライアルのような感じで、空いている時間に解きました。問題と答えを覚えてしまうような感じになりますが、年度ごとに「でないのを選べ」など、出題形式が若干違うので注意が必要でした。特に過去問A, B問題は同じ問題が出題される可能性が高いとのことでしたので、重点的に繰り返しました。タイムトライアル形式だと、3時間ぐらいで1年分が終わりますし、「ページをめくることで勉強した感じ」があるので、試験前に焦っている時には精神的にも安定材料になります。実際の試験では、A問題で見たことのない問題は100問中1-2問ぐらいでしたので、ほぼとりこぼしていないと思います。B, C問題は難しい問題ですので、あまり差がでないかと思います。合格対策するには、A問題をとりこばさない過去問重視がよいかと思います。

口頭試問
一番の難関だと思いました。出題問題によって解答できるかどうかが大きく分かれますので、勉強法としては「自分の一番弱いところをかさ上げしていく」のがよいと思います。得意分野の問題であれば、ある程度は答えられますのでそこを強化するよりも、大幅な減点を避ける勉強法が合格への近道かと感じます。ペインや集中治療、緩和に関しては、その領域の基本的問題が出題される傾向にありますが、最近は具体的な薬剤量や副作用の対策なども問われますので、少なくとも過去問に出ている内容は語れるようにすべきと思いました。また、「術中低酸素」「覚醒遅延」「血圧低下」など、どの麻酔でも生じうるトラブルに関しては、鑑別リストや対策を整理しておく必要があると思います。もちろん現場では、無意識に対処してしまうことなのですが、言葉で表現するというのは難しいものです。口頭試問症例では、ほとんどの場合で麻酔中にトラブルが生じてくるので、必須の対策かと思います。




出題① 肥厚性幽門狭窄症
生後1ヶ月程度の噴出性嘔吐。小児外科医から手術が申し込まれる。
<術前の問題点と診察項目について述べてください>
<麻酔方法はどうしますか?注意点は?>
<チューブはどのサイズを使いますか?>
<術後鎮痛は?>
<病棟で低酸素血症になりました。原因を5つ挙げ、対策を述べてください>

出題② AS(問題文では弁膜症としか書かれていない)合併患者の胃出血に対する緊急手術
<試験官を術者とみなし、麻酔上必要な術前情報の聴取を行ってください。>
A圧と左室圧のグラフ → 診断は?>
<麻酔導入方法を具体的に述べてください>
<麻酔導入後に血圧低下しました。鑑別を5つ挙げて対処法を述べて下さい>
<術後覚醒遅延です。鑑別と対処法を述べてください。>

   非常に温和な試験管二人でした。質問の前に「リラックスして質問に答えてくださいね」と声をかけてもらいました。質問に答えている間も、うなずいてもらえたので安心できました。試験官によって雰囲気はだいぶ違うかもしれません。
   答えが足りない時などは、「他にはどうですか?」「○○という状況ですが、他には考えられませんか?」「××mg/kgでよいですか?」と聞き返してくれます。基本的には+αを求められているので、何か答えた方がよいです。
   他の体験記にも書かれていましたが、あまり長く答えると時間がなくなって最後の方を飛ばし気味に進めることになります。なるべく簡潔に答えるのがよいと思います。

実技試験
分離肺換気(DLT, Bloker)、B6の同定、分離換気の方法
ACLS
硬膜外+TEE(四腔像と左室短軸の描出、右室同定、M弁前尖同定)
神経ブロック(TAP, 鎖骨上)、CV穿刺(ガイドワイヤーまで)、神経ブロックの針描出

普段やっている通りにやれば問題ないです。ただ、TEEや神経ブロックなど経験が少ない人は苦戦する(というか知らなければ考えても分かるものではないです。)かと思います。過去問の内容は練習しておいた方がよいかもしれません。質問内容は、その手技をやっていれば答えられる内容になっています。ですので、手技の実力よりも「やったことあるの?」「後輩におしえられる?」という視点での評価だと思います。また、時間がなく、せかされます。ゆっくり説明していると、「そこはやったことにして進めてください」と言われたりします。

注意すべきなのは、「一応、設定があること」です。私は、ACLSは脊髄くも膜下麻酔後に心停止した症例でした。てっきり挿管している状況だと思い込んで、30:2の換気ではなく、6-8秒に一回と指示していました。プロトコールが決まっているものはそのとおりにやらないと大幅減点と聞いていたので、試験後に気がついたときには落ち込みました。合格したのでほっとしています、本当に。緊張するとは思いますが、「症例の状況設定」は最初に読み上げられますので、注意して聞いた方がよいかと思いました。勘違いしている場合は「誘導」が入り修正してくれますが、手技をやっていると他の状況を想定することができなくなりますので、混乱します。口頭試験の項目でも述べましたが、試験官が聞き返したり、何度も確認してくるところは「間違っているという指摘」ですので、冷静になって(難しいですが)状況を確認した方がよいかと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿