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2012年5月22日火曜日

まとめ:熱傷患者③ 各論−2 麻酔管理


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麻酔依頼は、亜急性期のデブリや減張切開や植皮術が多い

術前のチェックポイント
・一般的な評価(既往歴やアレルギー、家族歴、最終飲食などなど)
・熱傷面積
 ・Ⅱ度熱傷30%以上、Ⅲ度熱傷10%以上、気道熱傷例は重症
・現在の治療内容とその反応性 
 ・バイタルサイン
 ・血液検査、尿検査、血液ガス、胸部レントゲンもろもろ
・手術内容や準備輸血の確認
気道管理計画(既に挿管されているか、これからか、どのようにするか?)



□気道管理
・急性期の気道浮腫、閉塞は急速に生じるため、患者の搬送時に呼吸にたいして異常が見られなくても、気道熱傷を疑う場合は早めに挿管するのが安全である。
・通常熱傷患者は頻呼吸によりPaCO2は低下することが多いが、逆に上昇している場合は気道狭窄を疑う一材料となる。
・頭頸部熱傷では開口障害や頸部進展障害など、気道確保困難が疑われるため、必ず複数の医師で気道確保にあたる。
・気管支ファイバーを使用した意識下挿管がよく用いられる。
・気管狭窄はいったん発症してしまうと治療が困難になるため、予防が重要。カフ圧を上げ過ぎない(20cmH2O未満)、チューブの安定性を確保する(カフのずれなどを生じないようにする)、挿管の期間を短縮するなど。
・挿管チューブの固定は、顔面熱傷がひどい場合には、歯や歯茎に固定する方法もある(歯科口腔外科的処置)。
・挿管後は適切なPEEPで無気肺を予防する。
・筋弛緩薬については後述。

□麻酔管理の注意点
・確立された麻酔導入、維持の方法はない。基本的には慣れたもので。
・包帯の交換や小範囲の切開、デブリドマンはICUでケタミンの投与のみで行われることも多い。
プロポフォールやチオペンタールなどは、急性期では循環血液量の減少や低アルブミン血症による蛋白結合率の低下などにより過度の血圧低下を起こすことがある
ケタミンは交感神経賦活作用があるため、よく用いられるが、重症例ではケタミン自体の心筋抑制のために血圧低下を起こすことがある。また、術後精神症状が出ることもあるために、ベンゾジアゼピン系やプロポフォールを少量併用することで予防することがある。
・フェンタニルなどのオピオイドは循環に対する影響が少なく、こちらもよく用いられる。
・いずれにせよ、静脈麻酔薬は少量ずつ様子を見ながら分割投与するほうが安全である。すでに挿管されている場合は吸入麻酔で緩徐に導入することも有用である。
・術野で止血用に用いられるエピネフリンで、血圧上昇や頻脈、不整脈、肺水腫などが生じうる。
広範囲熱傷の植皮術では大量出血を起こすことが多いため、事前に太い静脈ラインの確保を行う。また、術野で用いられる生理食塩水や洗浄水、皮膚からの滲出液で出血の正確な測定は困難である。採血データや動脈ライン、中心静脈ラインなどを用いて適切に輸液、輸血を行う。
・ただし、熱傷急性期には血液濃縮状態であるため、赤血球輸血は原則禁忌
筋弛緩薬について
・受傷後24〜48時間以降は、スキサメトニウム投与により致命的な高カリウム血症を来すため、受傷後最低でも1〜2年は使用を控える(もうあまり使用されることはないかもしれませんが・・・)
・神経筋接合部外のアセチルコリン受容体が増加し、受傷後1週間前後から非脱分極性筋弛緩薬の必要量は増加(数倍になることも)し、作用時間も短縮する。この作用は受傷後70日程度持続する。

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