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2012年5月21日月曜日

まとめ:脊髄損傷①


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□基礎知識
外傷によるものが最多
・好発部位はC5-6や胸腰椎移行部
・関節リウマチの環軸椎亜脱臼によるものも
急性期と慢性期で管理の注意点が異なる
気道管理と循環管理がポイント



□脊髄ショックとは
・脊髄損傷直後から生じ、3日〜数週間持続する、血管拡張と低血圧が特徴の病態。
・障害がT1-4の心臓交感神経を含む場合は迷走神経が優位となり、徐脈や房室ブロック、最悪心停止が起こることがある。
・徐脈にはアトロピンで対処、低血圧には輸液(場合により輸血)と昇圧薬で対処する。

□脊髄損傷急性期
・受傷8時間以内にメチルプレドニゾロン30mg/kgを15分かけてdiv。45分かけて5.4mg/kg/hrで23時間持続投与で二次的障害が抑制されるという報告もあるが、異論も多く、採用していない施設もある。マンニトールやグリセオールも使用される。
呼吸管理
・横隔膜の支配神経はC3-5であり、ここを損傷すると自発呼吸に障害が生じ、人工呼吸管理が必要になる可能性が高い。C6以下の障害でも肋間筋麻痺による奇異性呼吸が起こり、換気が障害される。場合により補助換気が必要になることもある。
・気道確保は頚椎への負担をできるだけかけないように施行する。
・上喉頭神経ブロックや4%リドカインの気管内投与なども行われるが、咳反射を完全に抑制できるわけではないため、挿管介助者が首〜肩の動きを抑えこみ、両側の乳様突起を指で把持して環椎−後頭関節の動きを抑えこむ方法もとられる(詳細は麻酔科診療プラクティス3緊急手術の麻酔 p189-193参照)
・気道確保のためには喉頭鏡をはじめ、各種挿管用デバイスが使用される(トラキライトやファイバースコープ、AWSなどなど)
・意識下挿管や鎮静下での挿管は、麻酔科医の経験や状況により決定する。場合によっては気管切開も考慮する。
・脱分極性筋弛緩薬のスキサメトニウムは受傷後24時間以内なら安全に使用できる。それ移行では著しい高カリウム血症を引き起こすことがあるため禁忌となる。
循環管理
交感神経緊張低下による血管拡張や出血により循環血液量が不足し血圧が下がる(脊髄ショック)。徐脈も生じる。また、神経原性肺水腫も起こりやすい。
・慢性期の自律神経過反射(autonomic hyperreflexia)には降圧薬が必要になる。
・輸液や輸血、カテコラミンなども使用し循環を安定させる。
・必要に応じて各種モニターラインを留置する。
DVTの有無をチェックし、肺塞栓症を予防する。

□脊髄損傷慢性期
体性神経反射および自律神経反射の過剰反応が特徴
・脊髄損傷から6週間後から、脊髄ショックの急性期から移行する。
自律神経過反射(autonomic hyperreflexia)とは膀胱や直腸の拡張、それ以外でもTh6以上の損傷時に障害レベル以下での侵害刺激(手術など)で異常高血圧や徐脈が生じること。また障害レベルより上では血管拡張による潮紅と発汗などが起こる。
・低体温や高体温、四肢の拘縮、褥瘡や尿路感染、尿路結石などに注意が必要になってくる。



□参考文献・書籍・Web
1)合併症麻酔のスタンダード p239-245
2)MGH麻酔の手引き p490 515
3)麻酔科シークレット第2版 p380
4)麻酔科専門医認定筆記試験問題解説集各年度

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